演:大塚れな
概要
大津馬中学3年の生徒。主人公・野咲春花の同級生で、彼女をいじめていたグループのメンバー。
作中の女子、特に容姿の優れた妙子や春花とは対照的に、根暗な雰囲気を漂わせる冴えない顔立ちをした少女。
性格も陰気かつ臆病で、顔色窺いの卑屈な態度が目立つことから、春花の転校以前は妙子達のグループのいじめを受けていた。このため、いじめっ子の仲間ではあるものの、標的が変わったのでいじめから逃れたに過ぎない存在であり、グループ内のヒエラルキーは最低に位置する(他のメンバーからも蔑視されている)。
自分をいじめるクラスメイト達を嫌う反面、そのリーダー格である小黒妙子には百合に近い憧憬・崇拝の感情を抱いている(小説や実写映画ではそれがさらに強調されている。小説版では妙子を隠し撮りした写真と彼女の毛髪をフォトフレームに入れて保管したり、妙子が好きなキング・キャロルのCDを収集していた)。
妙子に気に入られようと躍起になっており、妙子のご機嫌取りのみならず、彼女からのいじめ(暴力などによる嫌がらせ)すらも受け入れているほど。
しかし、当の妙子からは、自身への執着心に気付かれていたこともあって非常に嫌悪されており、学校においていじめの標的となる要因になっていた。
普段は大人しいが、精神的に追い詰められると、残虐な行為すら平然と行う衝動的かつ凶悪な面を併せ持ち、作中ではその危険性が暴走していくことになる。
母子家庭で暮らしており(小説版では父親が亡くなっていることが判明している)、母・佐山敦子はいじめっ子の保護者の中では珍しく、娘思いで優しく善良な人物である。
母との親子仲は良好であり、自宅では、互いに穏やかで柔和な表情を見せている。
それ故に、シングルマザーとなっている母に心配をかけまいとする(いじめの事実を隠してでも支える)親思いの一面も持つ。
結末(ここからはネタバレになります)
実は彼女が野咲家に放火した首謀者であり、一連の復讐劇の元凶。
春花が登校拒否をしたことで、再び妙子達にいじめられるようになり、長かった髪を短く切られる。
その後、「(妙子以外のクラスの連中の)いじめの標的から外れたい」「妙子にとって(実際は妙子以外のクラスの連中から)邪魔な存在と目される春花を消すことで、妙子に気に入られたい」という理由で、いじめっ子達に野咲家の放火を宣言し、妙子以外の面々を引き連れて春花の家に赴いた。
最初は少し家を焼くだけのつもりだったが、偶然と不運が重なり、久賀が春花の母に火をつけてしまう。その場に春花の父と妹がいたことから、口封じのために彼らを閉じ込め、家にも火を放った(妙子の「頑張って」「期待しているから」という皮肉を真に受けてしまった結果でもあり、それが妙子の罪悪感のきっかけになっている)。
野咲家を襲撃後はグループの面々に認められ、いじめっ子の地位から脱却したことで、それまでとは一変して強気で堂々とした態度を取るようになる。
しかし、いじめっ子達が次々に消息を断ったこと、更に裏山で行方不明になっていた橘吉絵・三島ゆり・加藤理佐子の遺体を発見したことで、春花が復讐鬼と化していたことを知る。自分の罪が暴かれる恐怖から、春花の犯行を警察へ通報することも母に相談することも出来ず、春花の影に怯えるようになった。
挙句の果てには、助けを求めた妙子に拒絶されたことで、自分に無意味に罪を犯させたと、彼女を激しく逆恨みする。そして春花と和解した妙子を襲撃し、妙子との死闘に勝利すると同時に彼女を殺害した。
妙子殺害後は歪んだ自信をつけ、妙子のことも「所詮は人を踏み台にして優位になっていたつまらない存在」と断じる。
クラスメイト達の生贄として散々「犠牲」にされ続けてきた怨みから、今度は自分が人を犠牲にして生きること、目の前の脅威である春花、更にいじめられていた自分を助けなかった同級生全員を殺すことを決意した(小説版では学年集会中の学校の体育館への放火を実行し、同級生を皆殺しにした)。
母から「何があっても味方だから」と声をかけられるも、既に後戻りは出来ないことを理由に犯行を続行する。春花の妹の祥子を襲撃するが、春花に見つかり、失敗。
その後は春花が相場といたところに乱入し、放火の際の様子を話すことで春花を激しく動揺させ、隙を見て包丁で彼女を刺す。
しかしそれが相場の逆鱗に触れてしまい、本性を剥き出しにした彼に顔を激しく殴打された上に、最後は相場を標的にすえた春花の包丁に、相場の盾にされる形で首を刺され死亡した(実写映画版では、春花を傷つけられたことで怒り狂った相場から暴力を振るわれた末に、惨殺された)。
死の間際、彼女が見ていたのは、自身の支えでもあった母の幻であった。
全てが終わった後、流美の母は変わり果てた娘の遺体を前に泣き崩れていた。
春花の復讐における7人目の犠牲者(実写映画版では相場の敵討ちによる唯一の犠牲者)。人を「犠牲」にする生き方を決心した彼女が、最後の最後には相場の「犠牲」にされてしまう死に様や、拒絶した会話を最後に、大好きな母と再び会うことも出来ずに息絶えたことは皮肉である。
彼女の存在は一連の事件において全ての元凶であるが、春花と同じくいじめの被害者であり、そばに味方がいながらも、助けを求められず自分一人で抱え込んでしまい、暴走してしまった哀れな存在でもある。