概要
シャドウ/シドが盟主を務める陰の組織。
魔人復活をもくろむ『ディアボロス教団』を潰すことを目的としている。
『七陰(しちかげ)』という7人の最高幹部がおり、その次の精鋭に『ナンバーズ』と言う幹部集団がおり、更にその下には無数の構成員がいる。
メンバー全員が『悪魔憑き』の元罹患者であるため、シャドウ以外は全員女性。
ディアボロス教団が社会の闇に完全に潜伏しているため、世間的には『シャドウガーデン』の方がテロリスト扱いされているのが現状である。
実態
シドがアルファを救った際にノリと思いつきで作った団体。組織としてきちんと形にしたのはアルファ達『七陰』である。
更に言うとシャドウ/シドは物語の中で大抵、単独行動とデウス・エクス・マキナ的に事態を解決する行動をとっており、組織の命令系統の中に在することはほとんど無い。そのため、実質的な組織のトップはアルファが務めている。
その為、シャドウが組織内で担っている役割は遊撃手に近いものとなっている。
ディアボロス教団の被害者達がシドを勝手に崇めている集団と言ってもいいだろう。
『七陰』を筆頭に構成員の各々が得意とする分野に精通したスペシャリストが数多く存在し、そこをアルファの裁量で得意とする職務及び任務に合わせて適材適所に配置してその人物の能力を最大限に発揮できるような体制を作りあげたことで組織の団結力と柔軟性、構成員の質においてはディアボロス教団を既に凌駕している。
反面、組織のバランスは個々のスペシャリストの能力で支えているに等しく、人員の融通度とシステマチックさに欠け、そのせいで構成員たち(特に盟主と『七陰』と『ナンバーズ』といった首脳陣)は替えが効かず、特に問題なのは組織を管理と運営するための基盤がシドの人徳と求心力、アルファの指導力と統率力に依存しているせいで、二人に何かあると組織は瞬く間に機能不全に陥ってしまうことにある。ガーデン所属の構成員達は、シドへの恩義に基づく忠誠心及び信仰心と自分達を『悪魔憑き』に貶めたディアボロス教団への復讐心のおかげであちらのように構成員同士がその我意我欲から足を引っ張りあう合うような深刻な対立に陥ることなく纏まることが出来ているが故に、シドの存在が喪われると即座に互助意識を始めとする協調性が失われてしまい、急速に凋落と崩壊への道筋を辿ってしまう可能性が高いことやゼータが懸念しているように教団打倒ばかりに目を向けその後のビジョンを構築していないせいで、教団壊滅の目的達成後に存在意義を失って組織が迷走の果てに空中分解しかねず、最悪の場合『シャドウガーデン』が悪い意味で『ディアボロス教団』に成り代わる形になりかねないことなど組織の陣容の厚さと基盤の安定性や継続性という点では『ディアボロス教団』に劣っており、そこが弱点と呼べるものとなっている。
本拠地は古の都アレクサンドリア。かつてシャドウが屈服させた『霧の龍』の毒の吐息で守られており、『ミツゴシ商会』の製品の製造・栽培や、構成員の戦闘訓練も行っている。
構成員は『シャドウガーデン』に救出され治療を受けた『悪魔憑き』の女性たちであり、『悪魔憑き』になった時点で家族友人から捨てられ居場所がなくなっているため、ほぼ全員がそのまま『シャドウガーデン』に属する事になる。その際に所持品やかつての名前を捨て、『七陰』とその次の上位メンバーである『ナンバーズ』以外は名前を名乗ることは許されず加入時の番号で呼び合う(ローズで666番)。
アニメ版ではシャドウの巨大な石像のようなものが立っている。
活動目的は盟主たるシャドウの目的である『ディアボロス教団の壊滅』の達成及びこれ以上『悪魔憑き』が迫害されることの無い未来の獲得であり、その為ならば「ある程度表社会に被害を出しても構わない」といったある種の傲慢な側面も見せている(アニメではリンドブルムが聖域消滅の際に被った水害にて、アルファとイプシロンはシャドウの行動の結果生じたそれを意に介さず、逆に主の活躍を讃えながら優雅にカヌーに乗っている等、他にも『シャドウガーデン』の活動によるパニックが押し出されて描写されている)。
これは『悪魔憑き』というだけで存在を否定されるレベルで迫害され、尚且つその迫害の根源が教団のプロパガンダに踊らされての結果という事を知っている為であり、その為『悪魔憑き』の救済に関しては妥協せず情が深いものの、逆を言えば『悪魔憑き』になっていない表社会の人々の救済に関してはそこまで注力していない。
あくまで「悪魔憑きでない表社会の人々に関心をあまり注がない」というだけで積極的に被害は出さないものの、悪魔憑きを運搬している馬車の係については直接の教団員でなくとも処分しており、教団の被害者であれば悪魔憑きでなくともその情を注ぐ事もある、良くも悪くも身内と判断した者を中心として回っている組織である。
盟主
シド・カゲノー/シャドウ
悪魔憑きの女性達にとって強大無比な戦闘能力で敵戦力を一蹴し、神の如き慧眼と叡智で敵対者のあらゆる策謀を凌駕する崇拝と敬愛をほしいままにする超人。
尚、シドことシャドウ本人としては『シャドウガーデン』は『七陰』を巻き込んだ、空想の設定を設けての遊びに過ぎなかったため『シャドウガーデン』が秘密結社として存在している事すら知らない。
なお、知識は異世界から転生してきた故の産物、つまりは自分が考えたモノではないのだが慧眼についてはあてずっぽうが何故か悉く状況を好転させるように最適解になっているという『悪運が強すぎる』という域を超えたナニカである。
そして戦闘能力は紛れもなく現状作中最強。
『シャドウガーデン』の運営や統治そのものにはかかわっておらず、組織内での役割は御旗として振る舞う事と『七陰』がプランニングした作戦に盟主の権限で介入し、最良の結果に落ち着くよう修正する遊撃手(本人は己の目的の為に動いているだけで前述の通り実在する組織としての行動をしている自覚は皆無)。
『七陰』
シドから直接力を授かった、もとい正確にはシドに『悪魔憑き』を治してもらった女性達7人で構成される最高幹部。
殆どが幼少期にシドに救出されたため、シャドウとの幼馴染とも言える。
中でも最初にシドが悪魔憑きを治したアルファは唯一シャドウを呼び捨てにしており(と言うより他が呼ばないだけであり、たまに呼ぶメンバーもいる)、他の『七陰』もアルファを様付けで呼ぶ程のカリスマと実力を有する(こちらも実際は組織間における反抗を見せなければ呼び捨てで呼んでも気にしておらず、デルタが何度か呼び捨てで呼んだ際は咎めなかったが、その後の軽率な発言にはキレている)。
その実績からアルファは『七陰』のトップを務める『シャドウガーデン』のNo2にして最高位指導者の立ち位置についており、他の『七陰』がNo3という形になる。
シドの趣味により「洗練された地球製の戦闘技術」とギリシャ文字αからηをコードネームとして与えられている。
組織への加入時期的にも古株であると同時に、才能的にも極めて高いものを持っている者が揃っている。
才能の種別としては
・アルファ――総合的な能力。『シャドウガーデン』の統括運営能力を誇る完璧超人。
・ベータ――何事も『堅実』にこなせる程の記憶力と理解力。人気小説家としての地位と情報網。
・ガンマ――シャドウの雑な説明から『陰の叡智』を再現させ、それを商品として売り出せる商才。ミツゴシ商会による財政確保。戦闘面ではその明晰な頭脳による戦略眼。
・デルタ――卓越した身体能力と抜群の戦闘センスによる獣の如き体術を用いた迫撃戦。
・イプシロン――精密な魔力操作及び社交界における地位の確立によるパトロンと情報源の確保。
・ゼータ――諜報・隠密にあらゆる物事を要領良く修める天賦の才。
・イータ――建築と研究開発。
等が代表される。
また、「シドから直接力を授かった」という点でも部下からは特別扱いされている(他にシドに直接力を貰った=『悪魔憑き』を治してもらったと明言されているのは現状559番=ウィクトーリアと666番=ローズ・オリアナのみ。尚559番はイプシロンから「近々七陰の次の立場についてもらう」と言われており、『シャドウガーデン』のNo4=『ナンバーズ』の地位に就いてもらう事が明言されているほどの実力者)。
7人の共通点として「人間がいない(エルフ5人獣人2人)」ということが挙げられるのだが、種族による肉体の寿命差が原因であり、エルフ>獣人>人間の順に寿命に格差があり、また世代が進むごとに血が薄まっていく(影響が低くなっていく)為、それにより人間の『悪魔憑き』は数が非常に少なく、いる事自体が極めて珍しい。
また、いわば悪魔憑きとなった事で『世界から捨てられた・拒絶された』とでも言うべき筆舌に尽くしがたい迫害・差別を受けて絶望の底に落ちていたのは他の悪魔憑きと同じであるが、彼女らは直接シドに手を差し伸べられ救われた事からシドに対する忠誠心・心酔ぶりが他のナンバーズを明確に上回る描写が多数存在している。
彼女らと匹敵するシャドウへの忠誠心を有するのは同じく直接シドに救われたウィクトーリア位のもの。
また、シドに救われた者同士である魂の姉妹というべき間柄であるため、七陰間の絆は相当に深い(デルタとゼータは仲が悪いが、本気で嫌い合っている訳ではない。例としてはゼータは『七陰間の内偵をやるならデルタとやり合うのも面白そう』と闘争の相手前提であるがデルタの存在を楽しげに上げている=存在を容認している、等)。
『ナンバーズ』
シャドウガーデンの幹部格で、『七陰』に次ぐ精鋭で構成されている。盟主シャドウが直接治療したのは『七陰』と一部の人物達のみの為、彼女達の多くは『七陰』による治療を受けている。
『七陰』同様ギリシャ文字から取られ、Θからωの呼称が与えられているが後述の事情などもあり、必ずしも与えられた文字通りの構成員番号ではない。
『七陰』と違って実力によって構成員が替わるまたは加入する事が可能で、単純な番号読みの『シャドウガーデン』構成員は実力で勝ち取る事で『ナンバーズ』入りとなる(番号読みの構成員は構成員同士の戦闘で実力を示し、それが認められたら次に『ナンバーズ』への挑戦権を手に入れ、その挑戦権次第で『ナンバーズ』入りとなる)。
尚、現時点でそれによる入れ替わりなどが起きているかは不明。
アプリ『マスターオブガーデン』内の外伝ストーリー「七陰列伝」の描写によれば、ラムダやニューは過去の経歴や種族などの出自から何らかの職務や役割を期待され、『悪魔憑き』から治療された直後に名前を貰っているため、他の『ナンバーズ』も同様の可能性がある。
コミカライズ版では番号読みの構成員含めて全員が『ナンバーズ』となっている(アニメにおいて監修に原作者がクレジットされるミニアニメ『かげじつ!』で「ナンバーズは666人まで拡大された」旨の発言があるが、アニメ公式サイトでは原作同様『ナンバーズ』は主要メンバーの扱いで紹介されているので、現在原作以外での定義において混乱が続いている)。
ミツゴシ商会
『シャドウガーデン』のフロント企業にして資金源。運動音痴だが頭脳明晰なガンマが代表を務めている。
元ネタ通り百貨店を経営しているが総合商社としても運営している。
シドが『陰の叡智』と称してガンマや他の『七陰』に話した地球の技術や文化を再現したものを商品として売り出しており、売り上げは絶好調である。また、信用貨幣の概念を教わったことでミツゴシ銀行も作っており、アニメではデベロッパーもやっている様子が描かれている。
各支店の屋上にはシャドウを迎えるためだけに作られた豪邸と玉座が用意されており、シャドウに献上するための大金も常備してある。
その圧倒的な売り上げから大商会連合を筆頭とした既存の商会から目の敵にされ、商会と裏で繋がっているディアボロス教団の活動資金の激減に成功している。そのため何度も刺客を差し向けられているが、ミツゴシ商会の店員は全員『シャドウガーデン』の構成員であるため返り討ちにしている。
それにより、業を煮やした大商会連合と背後にいるディアボロス教団は遂に全面的に経済戦争を仕掛けることを決意し、偽札を用いたミツゴシ商会包囲網を展開して叩き潰さんとしたところに『世界の商を支配する陰の大組織のボス』になることを目論んだシドが無法都市では色町を支配する雪狐商会の長であるユキメと手を組んで先んじて偽札をばら撒いたことで両商会の信用崩壊を引き起こしたことであわや共倒れ寸前においこまれるが、シドが用意していた新しい商会の設立に用いる資金を手紙でアルファ達に場所を教えてしまっていたことで回収されたため、ミツゴシ商会が生き残ったまま大商会連合だけが壊滅。
この事件を経て、ミドガル王国の経済が完全にミツゴシ商会こと『シャドウガーデン』に支配されてしまうことになり、その気になれば王国の経済をいつでも崩壊させ、合法的に亡国に追いやれるという実質権力面では王家すら凌駕するにまで強大化することになってしまった。
ただでさえ、ブシン祭の件でシャドウを目の敵にしているアイリスが既に彼の率いるガーデンに国の生殺与奪までも握られてしまったこの全貌を知れば、よりシャドウへの憎悪を暴走させかねない。
アニメでは百貨店のロゴや内装も元ネタを真似ており、元ネタで吹き抜けにある巨大天女像は、シャドウと七陰の集合像になっている。あれでバレないのだろうか…?
余談
陰の実力者の二次創作が作られる際、かなりの割合で原作では所属していないキャラがガーデン入りする。
その対象となるキャラとしてシェリーやミリア(※最序盤でシャドウが倒すオルバの娘)が挙げられ、専らガーデン入りは一種の鬱フラグブレイカーとして機能している節がある。
関連タグ
灯 - 同じ出版社にしてほぼ同時期にアニメ化された作品に登場する陰の組織。