概要
バービー人形の実写版化した映画。2023年公開。
主演はマーゴット・ロビー。
アメリカでの宣伝文句は「バービー人形なんて嫌い。この映画は、そんな貴方の為の作品です」
あらすじ
そこはすべてが完璧で、毎日がハッピーな<夢>のような世界!
ピンクに彩られた街でバービーとボーイフレンド?のケンが連日繰り広げるのはパーティー、ドライブ、サーフィン!
ある日ふたりはそんなバービーランドから、完璧とは程遠い“人間の世界リアルワールド”に迷い込んでしまい−?!
登場人物
- バービー:バービーランドの女性は人種・職業を問わず全員バービー。
- ケン:バービーランドの男性は人種を問わず1人を除いて全員ケン。なお、基本的に「バービーの添え物」なので、バービー達の中には仕事・職業が割り当てられている者も居るが、ケン達はほぼ全員無職。
- アラン:ケンの親友という設定で作られたが全く売れなかった人形が名前の由来。バービーランドに居る1人だけ名前が違う男性。
作風など
開始早々『2001年宇宙の旅』のパロディが始まり、赤ちゃん人形しか知らなかった子供達の元にモノリスの如くバービーが降臨、月を見るものが叡智を授かった場面のように子供達が赤ちゃん人形を叩きつけて粉砕して放り投げるというショッキングなシーンが流れる。
もちろん、これは「バービー人形の存在が、かつて有った『女性には母親になる事以外の社会的役割など無い』という固定観念を打ち砕くのに一役かった」事を映像で示したものである。ただし、露悪的にも程が有るやり方で。
なお、このシーンにショックを受けた人に対して、下手に「このシーンには元ネタが有ってね……」などの解説しようものなら、一歩間違うと、本作で「男性がやりがちな駄目な行為」の一例としてあげられている事を自分でやってしまう、というメタな事態を引き起しかねない、というオマケ付き。
他にも女性の理想像としては時代遅れ扱いされる主役バービー、バービーの付属品でしかない自らの存在意義に悩むケン、拝金主義の化身のように描かれるバービー人形の販売元のmattel社CEOなど、現実のバービー人形を取り巻く環境を皮肉ったブラックコメディの要素が強い。
コメディ映画としての完成度は概ね好評である反面、描かれるテーマについては大きく賛否を分けている。
余談
- 出演者の1人であるシム・リウは「シャン・チー/テン・リングスの伝説」に出演(主演)した際にディズニーの重役から「ヒーローというよりサラリーマンにしか見えない」という酷い事を言われた過去が有るが、本作では「ケン」の1人として、いわばアジア系のイケメンの代表を演じる事となった。
- アメリカの映画公式Twitterがバービーと原爆投下を揶揄するミームに好意的なリプライを送ったため日本で大炎上した。後にワーナージャパンから謝罪ツイートが発表された。同年、東京都の地下鉄内で外国人ユーチューバーが「また原爆を落としてやる!」などと騒いだ件に続き、世間がポリコレで騒がれる中、悪魔の兵器をどう考えているのか?についてその意識を再び問われていると言える。
- 「バービー」や監督の「グレタ・ガーウィグ」主演の「マーゴット・ロビー」等をgoogleで検索すると煌めくようなエフェクトと共にピンクを基調とした色合いに変化するという演出が仕込まれたが、表示されるトップニュースは上記の原爆関連の不祥事ばかりで、余計にイメージダウンにつながっている。
- 映画がアメリカで大ヒットしたのを踏まえてラーム・エマニュエル駐日米国大使が「バービーは全ての女性の代表」と称して絶賛したが、日本では上記の騒動の真っ最中だった上にそもそもバービー人形の人気がないため、アメリカ人の身勝手な価値観の押し付けとして非難された。
- 皮肉にも本作のオチは「バービー人形が必要とされなくなった現実の世界」を肯定するもの。
- 主役的立ち位置の「ケン」を演じたライアン・ゴズリングが本作への出演を決めた理由は「娘が捨てたケンの人形を見て『こいつの為の物語を作ってやらねば』と思ったから」。
- ちなみにアメリカではPG13指定。日本語の吹き替えや字幕ではボカされた表現になっているが「私にはヴァギナは無いし、ボーイフレンドのケンにもペニスは無い」などのセリフが平気で出て来る為。
- つまり、予告に有った「今晩、君の家に泊まっていい?」「泊まって何するの?」の場面だが……2人は穴も竿も無いので、何も出来ないのである。