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海原神の編集履歴

2023-09-14 00:59:42 バージョン

海原神

かいばらしん

海原神とは「シティーハンター」の登場人物である。

「……うん美しい…… すばらしい花火だよ…」

「ショータイムの幕開けにふさわしい…」


CV:堀内賢雄(映画「天使の涙(エンジェルダスト)」)

概要

シティーハンター』における実質的なラスボス(後日談にまだ敵が出て来るため)。

名前から分かる通り、日系人。年齢は50代から60代くらいだと推測される。

中南米を本拠地とする麻薬密売組織「ユニオン・テオーペ」の総帥にして長老(メイヨール)と呼ばれる人物。


作中の重大な事件の黒幕であり、物語初期で依頼を断った槇村秀幸に刺客を差し向けて殺害、後に冴羽獠を抹殺する仕事の依頼を反故にしたミック・エンジェルが乗ったジャンボ機を爆破して瀕死にさせた後、最新型のエンジェルダストで彼を狂人化させ操り、獠と戦わせた。

主役の二人にとって、冴羽獠は後述の因縁があること、槇村香は兄の槇村秀幸の死が裏社会の人間として生きるきっかけになったことから、『シティーハンター』と云う物語全ての元凶とも言える存在である。


作中の序盤ではシルエット(横顔や顔の下半分くらいが蝋燭の薄明かりでぼんやり見える程度)のみ登場。

当時、急激に勢力を拡大していた麻薬密売組織であるユニオン・テオーペの日本進出を企てるも、槇村を殺された復讐の為に新たな『シティーハンター』としてコンビを組んだ獠と香から日本支部にかなりの打撃を与えられ、組織の幹部であり最強の戦士でもあった将軍(ジェネラル)までもが追い詰められ、執念で自らエンジェルダストを使用するも獠には敵わず完全敗北した事から、これ以上のシティーハンターへの深入りは危険として日本から一時撤退を余儀無くされる。


それから5年以上と、かなりの長期間物語からは退場していたが、連載最終盤に当たって最大にして最凶最悪の強敵として再登場を果たす。

麻薬シンジケートの枠を遥かに超えた軍需的な事業にまで手を広げたことで、全米を勢力下に置くほど組織を発展させる。

更に強力な新型エンジェルダストの開発にも成功し、終盤では各国の軍から注文が殺到するなど、国家とも手を組もうという段階に来ていた。そして再び日本進出を目論見、本格的に物語に登場する。


左足は義足になっており、高性能爆薬が仕込まれていて海原の身体に生命活動が困難になる程のダメージが発生した場合は自動的に起爆するように設定されている。

しかし、海原は足が不自由とは思えないほど支障なく行動していた。


仕方のないことだが、北条司氏の画風の変化によって海原の顔つきが連載初期の頃と連載末期の再登場時で大分変ってしまっている。


性格

犯罪組織のボスらしく冷酷で、殺人に対する躊躇いは皆無。たった一人の裏切り者であるミックを殺すため、エンジェルダストを投与した工作員を使いジャンボ機を爆破し、乗客と乗組員もろとも皆殺しにするほど。

海原の船に侵入したブラッディ・マリィーに対しても、狂気に満ちた目と冷酷かつ残忍な顔つきを見せ、海中へ逃げたマリィーに手榴弾で追い撃ちをかけるなど容赦がない。

失態を犯した部下にも情け容赦がなく、熱した指輪で額に最後通告である「死の烙印」を施した上で、制限時間内に任務を全う出来ない場合は如何なる理由があろうと抹殺している。

また、戦闘を「ショー」と呼び、標的に精神的苦痛を与えて残酷な状況を楽しむ悪趣味な面も持つ。


一方で冴羽アパートを訪ねた時など、時折その行動に似つかない穏やかな表情を見せることもある。また話し方自体は丁寧で、学識が感じられる。


狂人ではあるが、ただの新興の麻薬密売組織だったユニオン・テオーペを大国への軍事介入が出来る程の国際的犯罪組織の規模にまで急激に成長させる、上記のような恐怖政治を敷きながらも多数の忠実な部下を従えているなど、トップとしての手腕やカリスマはある模様。


その容姿は香のよく知る人物とも似ているのだが…。



人物(ここからはネタバレになります)

過去

かつて海原神は中米の小国の反政府ゲリラに所属し、ブラッディ・マリィーの父と並び、部隊でも一二を争う勇猛な戦士だった。

ゲリラの村に拾われた、飛行機事故で両親を失った日本人の少年の名付け親にして育ての親でもあり、マリィーの父と共に彼に戦い方の全てを教え、鍛え上げる。

その少年のことを実の息子同然に愛しており、ヘマをして敵の捕虜となった少年を助けるため、部隊の制止を聞かず一人敵陣に乗り込み助け出したほど。

この時の逃走中に左足を失うも、その少年を責めるようなことはせず、まるで「自分の足一本でお前の命が助かるのなら安いものだ」と言うように、ただ黙って優しく微笑んでいた。


しかし、長すぎた戦いにより、海原の精神は次第に狂気に侵されていってしまう。

敗戦の色が濃くなった際に、巻き返しのためと海原は非人道的な作戦を提唱する。

それはエンジェルダストにより不死身の狂人兵団を作るというものだった。

仲間を使い棄ての手駒のように扱うその非人道的な作戦は当然否決されたが、海原は自分を父親のように慕う前述の少年を騙してエンジェルダストを投与し、独断で戦場に送り込む。

そして、その少年はたった一人で政府軍の小隊を壊滅させた。

戦果自体は凄まじいものであったが、その余りにも凄惨で残酷な戦闘後の惨状には目を背けたくなるものがあり、投与された少年も禁断症状で死線を彷徨い正常に回復するまでにはかなりの月日を要した。

この海原の狂った凶行に恐れをなしたゲリラ部隊は彼を追放したのだが、その後も海原の狂気は止まる所を知らず、ユニオン・テオーペの総帥にまで登り詰め、世界中に悪意をばら撒き続ける事になる。


ここまで説明すれば分かると思うが、海原を父親のように慕っていたその少年こそが冴羽獠であり、彼は海原に対し愛情と悲哀、憎しみが入り混じった複雑な感情を抱いている。

また全滅したと思われていた政府軍の小隊、唯一の生き残りが海坊主である。

彼の失明の原因は、エンジェルダストで狂戦士と化した獠のナイフ攻撃で負った傷によるものだった。


戦闘能力

使用する拳銃はコルトアナコンダの6インチバレルに「First edition」の刻印があるもの。

獠の戦いの師匠であるため、彼の射撃の癖や速さを全て知り尽くしており、その実力は獠と同等かそれ以上だとされている。

かつて海原に裏切られ、怒りに任せて復讐に来た獠をいとも簡単に返り討ちにしている。

作中で銃の腕が獠以上と描写されているのは海原だけであり、そのうえ親子として過ごしていた相手でもあるため、技量的にも心情的にも、獠にとってはまさに最強最悪の敵である。


エンジェルダスト

ユニオンが主に売りさばく『違法薬物・PCP』の俗称。

非常に強力な麻薬であり、投与するだけで、マインドコントロールや筋力の増強、痛覚の麻痺といった様々な効果をもたらし、額を銃で撃ち抜かれ、顔面をマグナム弾で吹き飛ばされてもすぐには死なない身体になる。

実際に投与された獠やミックは、凄まじい戦闘力と生命力を発揮し、槇村は投与されたチンピラ相手にマグナムで応戦するも驚異的な怪力でズタズタに破壊された車のドアの窓枠を背中に突き刺されて殺害されている。

しかし、投与された者はその洗脳効果によって、死すらも恐れない人間兵器(もしくは爆弾)に変えられてしまう(ミックが投与された新型に至っては、海原の声以外は全く届かなかったほど)。

更に筋力を人間の限界以上にまで高めるため、その反動で死に至る者もいる。

生き残ったとしても禁断症状により生死を彷徨い、地獄の苦しみを味わうことになるため、まさに悪魔の薬である。

ユニオン・テオーペはこのエンジェルダストを用いて、裏社会の人間や市民を洗脳し刺客に仕立て上げて戦力を増強し、組織力を温存しながら、組織にとって邪魔な存在を次々と抹殺しては勢力を拡大させていた。


映画「シティーハンター・天使の涙」でも登場するが、時代背景に合わせてかナノマシンとなっている。

ただし、投与後の症状に関しては原作漫画とほぼ同じ。

映画作中で投与されてしまった人物は、直前まで冴羽獠に敗北し鎖骨や両腕など複数箇所に銃弾が打ち込まれて銃を構えることすらままならなくなっていたのにも関わらず、筋肉の収縮によって自力で弾丸を体外へと排出し、更に凄まじい再生能力で傷を全て塞いでしまった。

そして驚異的な身体能力や動体視力を発揮し、獠を終始圧倒していた。

そしてナノマシンによって凄まじい闘争心も得られるが、本来戦いたくないのにも関わらず戦わされることへの精神疲労が見られ(たびたび声を荒げて頭を押さえていた)、最終的には自我がすり減り、体の意思も奪われて自決さえも出来なくなって死ぬまで戦わされることになる。


現在

海原神は麻薬密売組織という枠を遥かに超え、最早「世界の戦争を裏で操る死の巨大犯罪組織」と言っても過言ではない程のスケールにまで急成長したユニオン・テオーペの総帥として麻薬の流通や軍需事業の開拓を行う一方で、自らの最高傑作とも言うべき「息子」である冴羽獠と密接に関わった槇村やミックをはじめとした多くの人間を殺害、もしくは生き地獄を味あわせ苦しめることに至上の喜びを見いだしている。

ユニオン・テオーペが再び日本へと進行を開始し、獠たちと全面抗争となる前には、わざわざ冴羽アパートを訪れて獠と香に宣戦布告した。

一人で対応した香には世界的犯罪組織のトップとは思えないほど礼儀正しく、優しく穏やかな雰囲気で接していた。

しかし、彼の存在を感知し怒りに満ちた獠が現れると、その狂気じみた素顔を露わにし、彼の前でユニオンの実績を嬉々として語る。

この際に、獠は狂気に取り憑かれ変わり果てた「親父」である海原を見て深く悲しみ一筋の涙を流した。


その直後に獠と香、海坊主は海原との決着をつけるため、マリィーが潜入した混乱に乗じて海原の客船を急襲し乗り込む。

海原は客船の時限爆弾を始動させた上で、彼らを閉じ込め、自分の元へ来るよう仕向ける。

エンジェルダストにより洗脳されたミックと獠が戦うことになった時は、「友と引き合わせるためにエンジェルダストを投与した自分に感謝して欲しい」と嘯き、戦いを仕向けた張本人でありながら、それを「ショー」と呼び、観客として大いに楽しんでいた。

香の命懸けの説得により、ミックは僅かに正気を取り戻し海原を攻撃するも、避けられたうえに誤って船の制御装置を破壊したミックは高圧電流で感電して倒れてしまう。

「エンジェルダストでもミックの女好きは押さえられなかった」と海原は皮肉混じりに挑発をするが、それでも獠は全く動じなかった。


獠との一騎討ちとなった最後の戦いは長引かず、互いに一発撃ちあった末に海原は心臓を撃ち抜かれて鼓動を止める。

この時、偶然にも床に落ちていたミックの『幸運の御守の弾丸ペンダント』が海原の足に絡まって僅かにバランスを崩させていたのだった。

その後、心臓の鼓動が完全に止まっているにも関わらず獠に「親父」として語りかけ、自分の義足に詰まった爆弾を使って船底に穴を空け脱出しろと伝えるとともに、自らの今までの行為を詫びる。

地獄のような戦争の中で人間の狂気しか見えなくなっていたという心の内を獠に伝え、狂気の暴走を止めてくれたことに感謝をし、かつての戦場で見せた様な優しい微笑みを浮かべると一筋の涙を流し、静かにそのまま息を引き取った。




ありが…とう…  息子……よ…



余談

  • ミックは海原が自分にエンジェルダストを投与した理由は、獠と戦わせるためではなく瀕死の自分を助ける方法がエンジェルダストだけだったからではないかと考えている。
  • 獠はそのことに対しては明確な返答をしなかったが、狂気と正気が葛藤するあまり、海原自身も自分の行動が狂気なのか正気なのかわからなくなっていたのではないかと答えている。

  • 作中の博識さが感じられる言動や獠の名前を見るに、獠の教養深さは海原の影響によるものと考えられる。なぜ「海原」の姓を名乗らせずに「冴羽」という苗字をつけたのかは不明。

  • 設定的にラスボスに相応しいキャラクターだが、この後でエンディングへと続くエピソードが1巻分待っているため最期の敵ではない。

  • なぜ心臓の鼓動が止まっている筈の海原が獠と会話が出来たのか?海原もエンジェルダストを投与していたのか?と読者からの疑問に対して作者の北条司氏は「あの時の海原は完全に死んでいました。では獠は幻覚を見ていたのか?それとも海原の幽霊か?それは私にも分からない。御想像にお任せします」と答えている。

関連タグ

シティーハンター

(義理の)息子:冴羽獠 息子のパートナー:槇村香

息子殺しを依頼した人物:ミック・エンジェル

過去の同志:ブラッディ・マリィーの父、教授

哀しき悪役

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