国語辞典
こくごじてん
大多数の人が誤解しているが、辞典は「正しい言葉・文字・意味を載せるための本」ではない
辞典を語る前提の知識として、言葉の概念である「規範文法」と「記述文法」の違い、言葉の学問である「語学」と「言語学」の違いの理解が必要である。
簡単に言うと、規範文法とは「正しい言葉」で、記述文法は「間違いだが使われている言葉」である。そして語学と言語学の関係は規範文法と記述文法の関係と考えれば解りやすいだろう。
辞典は言語学の実用書であり、言語学は記述文法に寄り添った学問である。辞典とは「正しい言葉を載せる」ための本ではなく、「現在の、国内で、多用され、意味が伝わる言葉を、元来自国の言葉か外国の言葉かは無視し、外国での意味・字・用法も無視し、元来の正誤に関係無く、編集者の語感によって言葉・文字・意味・正誤を決めて載せる」ための本である。
要するに「みんなが使っている言葉を載せている」だけである。
あくまで言語学である辞典は言葉の正誤をどうこう言う立場にない」のだ。
辞典の言う正用・誤用とはあくまで「世間に受け入れられている=実用的かどうかでのみ判断」したものであり、辞典では「正しい言葉・誤った言葉」の理解の何の助けにもならない。
なお出版社が同じであっても各辞書編集部が別々なので、同じ出版社だからといって同一の見解であることはない。
主な国語辞典
日本最大の国語辞典は、小学館の日本国語大辞典で、
第二版では50万語収録されている。全部で13巻ある。
以下には、主な中・小型国語辞典を掲載する。
マークの凡例
大型の国語辞典(20万語規模)
大辞泉(小学館)★◆●
進化し続ける国語百科事典。幅広い分野の言葉を採集する。その勢いはとどまることはない。
大辞林(三省堂)★◆●
現代語に強い国語百科辞典。電子版の「大辞林4.0」では書籍版に載らなかった項目も掲載されている。
小型(主に一般向け)の国語辞典(6~9万語規模)
旺文社国語辞典(旺文社)★●
サービス精神旺盛な王道の一冊。和歌や俳句なども含めた幅広い分野の語を収録。購入特典でアプリ版を無料で使える(2024年春から)。
角川必携国語辞典(角川書店)●
百科事典との機能を兼ね備えた国語辞典。言葉の使い分けの解説が充実。
学研現代新国語辞典(学研)★●
現代語ならこの1冊。語釈が詳細で、用例も豊富。言葉や漢字の使い分けについても充実。
現代国語例解辞典(小学館)★●
日本語コーパスを活用することで、現代の日本語を独自に映し出す画期的な辞典。
三省堂現代新国語辞典(三省堂)★◆●
高校教科書に載っている語を丹念に採録した、高校生向けの国語辞典。新語やスラングも豊富に採録。
三省堂国語辞典(三省堂)★◆●
新語と現代語に一番強く、語釈は簡潔平明。中学生から一般まで幅広い層を対象にしている。
集英社国語辞典(集英社)
類書中最多の9万5000項目。国語+漢和+百科+アクセント辞典の機能を併せ持つ。
新選国語辞典(小学館)★●
最も伝統のある本格派国語辞典。巻末には品詞別の語数を表示。アクセントも示してある。
新潮現代国語辞典(新潮社)
近代文学や、著名な小説などの作品から採録される、生きた用例が豊富な国語辞典。
新明解国語辞典(三省堂)★
日本で一番売れている国語辞典。語釈や用例に独特な表現を用いていることで有名。
ハンディ国語辞典
デイリーコンサイス国語辞典(三省堂)
手のひらサイズの国語辞典のトップセラー。類書中最大の語数で、新語も豊富に収録。
小型(中学生向け)の国語辞典(4~5万語規模)
旺文社標準国語辞典(旺文社)●
大きな見出し文字。人名や地名などの固有名詞や、和歌・俳句の語も収録。
学研現代標準国語辞典(学研)★●
ルビが漢字の横に振ってある。語の用法について多く記述してある。巻末には古語・英語略語集を収録。
例解新国語辞典(三省堂)★◆●
中学生向けのベストセラー。各社の中学校教科書に収録されている語をカバー。誤用解説も充実。
新修国語辞典(ベネッセ)●
豊富なコラムと、語感を表すアイコンで適切な言葉を使う助けとなる辞典。
小型(小学生向け)の国語辞典(3万語規模)
新レインボー小学国語辞典(学研)●
チャレンジ小学国語辞典(ベネッセ)●
オールカラー。本文全ページに50音つき。コラムも豊富。付録に小学校で習う漢字のポスターがある。
例解小学国語辞典(三省堂)●
使いやすさと分かりやすさが特長。教科書から必要な言葉を採録。