現代国語例解辞典とは?
日本語コーパスを活用することで、現代の日本語を独自に映し出す画期的な辞典。用例や、コーパスを活用したコラムも豊富にある。見出し表記では、類書にはあまり取り上げられない表記も多く採用されていることがある(例、終わる=了る・卒る・畢る、暗い=闇い・昏い・冥い・晦い・昧い)。数え方の欄や、和語の漢字熟語欄、用例において結びつきの強い語、表による類語の使い分けも示してある。助詞・助動詞は巻末にまとめて掲載してある。巻末には、擬音語・擬態語の一覧もあり、意味も掲載してあるので、それぞれの微妙な違いが分かるようになっている。最新版の第五版は、新しい語義の採用にもなかなか積極的なようだ(例、萌える・天然・大丈夫・速攻・炎上・上等)。
コーパスを活用したコラムの例
現代国語例解辞典では、国立国語研究所の日本語コーパスを活用したグラフつきのコラムが255掲載されている。そのうちの一つのコラムをここに掲載する。また、コーパスは見出しや表記欄にも活用されている。
重言表現の、現在の現状を見る
同じ意味の語を重ねる表現の重言は「誤り」とされることが多い。ところがコーパスで実際の使用例を検索してみると、「罪を犯す」という意味の犯罪を犯す例が145件も。「害を被る」被害をさらに被るの例も117件ヒットする。少々、違和感をおぼえるが、違和感を感じる人も125件にのぼり、もはや市民権を得て「誤り」とは言いづらい。もっとも馬から落馬する、頭痛が痛い例は皆無で、これらは「誤り」と言えそう。
書籍情報〔第五版〕
項目数
71,000語〔第四版より2,000語追加〕
監修
林巨樹・松井栄一
発行日
2016年11月20日発行
- 1985年12月1日 初版発行
- 1993年1月1日 第2版発行
- 2001年1月1日 第3版発行
- 2006年1月1日 第4版発行
ページ・価格〔税抜き〕
1,698ページ
- B6判 2,900円
その他
第4版までは欄外にアクセントが示されていたが、第5版ではなくなった。また、紙面も第5版では2色刷りから単色になった。