ウォルフガング・ミッターマイヤー
うぉるふがんぐみったーまいやー
『銀河英雄伝説』のウォルフガング・ミッターマイヤー
cv:森功至(石黒監督版)、小野大輔(Die Neue These)
田中芳樹による小説『銀河英雄伝説』の登場人物。銀河帝国サイドの軍人として登場する。
pixivでは姓である『ミッターマイヤー』タグのみ付けられている場合が多い。
蜂蜜色の髪にグレーの瞳、やや小柄だが引き締まった体躯を持つ男性。妻のエヴァの作るブイヨン・フォンデュが好物。
麾下の艦隊の並外れた機動力から「疾風ウォルフ(ウォルフ・デア・シュトルム)」の異名を持ち、ローエングラム陣営の中で親友・ロイエンタールと並んで「帝国軍の双璧」と称される主要提督の一人。乗艦は「人狼(ベイオウルフ)」。
民間人に蛮行を働いた門閥貴族出身の部下を軍規に則り処断したことで、彼の遺族に逆恨みされ抹殺されかけるが、ラインハルトの介入で事なきを得ており、以後彼の陣営に加わる。
造園技師の子に生まれ、父の跡を継がずに16歳で士官学校に入学。翌年、実家に引き取られていた母方の遠戚にあたる5歳年下で12歳のエヴァンゼリン(エヴァ)を見初める。24歳の時に念願叶って彼女と結婚し(実はエヴァンゼリンもミッターマイヤーに想いを寄せており、二人は両想いだった)、ローエングラム陣営でアイゼナッハ、妻と死別したワーレンとともには珍しい妻帯者となり、贅沢とは無縁な暮らしをしている。
貴族に叙する、という話もあったようだが「ウォルフガング・フォン・ミッターマイヤーなどと言う名前は冗長に過ぎる」と言って、断ったという逸話がある。
愛妻家で、子宝には恵まれないことを気に病んでいる様子はなかったが、ロイエンタールの反乱後、遺児となったロイエンタールの息子を養子として引き取ってフェリックスと名付け、同時にロイエンタールの近侍を務めていた少年兵ハインリッヒ・ランベルツの保護者となった。
妻を新帝都フェザーンに迎える直前、軍務省からミッターマイヤーに邸宅をあてがわれたが、ミッターマイヤーは「広過ぎる」としてこれを断り、夫妻と養子・フェリックス、少年兵・ランベルツといった血のつながりがない4人が暮らしたのは実際にはさして広くない借家であった。
だが、間もなくラインハルトの最期を見届けることになってしまう。
後の「獅子の泉の七元帥」の一人で、その中でも首席元帥に任命される。ローエングラム朝銀河帝国では宇宙艦隊司令長官となった。
ロイエンタールに比べると部下を信任して権限を預ける向きがあり、このためか彼の艦隊からはバイエルラインら大将級の提督が数多く輩出されている。
能力
先述のように、「疾風」の異名を取るほどの速さで艦隊を操る劇中屈指の用兵家である。対峙した艦隊の体勢が整う前に怒濤のスピードで肉迫し、苛烈な先制攻撃を加えることで相手の出鼻をくじいて勝利をもぎ取ることを得意としている。もっとも、艦隊進行のスピードが速すぎて脱落者が出ることも多く、ミッターマイヤーが前線で戦うときはスピードについて行ける直属の艦隊のみを率いる場合も多い。
人材の育成やラインハルト陣営の諸提督達のまとめ役なども勤めており、それら全てを優秀にこなす一級の組織人である。
一方でミッターマイヤーは軍人としての能力は一級であるが、政治的な能力を有しておらず、ラインハルトやロイエンタールのような政戦両略の人物では無い。これは本人も自覚しており、自身が持ち得ない”政治力”を有するロイエンタールには引け目を感じてもいた。
軍人を離れて一人の人間として見ると公明正大で義侠心に富んだ人格者であると同時に近づき難い性格でもなく、ロイエンタールからは「常に正道を行く」と評され、かっての同僚の提督を宇宙艦隊司令長官として束ね、バイエルラインなど部下からも慕われ、帝国軍将兵内でロイエンタールより僅かに人気があったというのは軍人としての能力以外のこの差であったとも思われる。
前述の政治力のなさに対する引け目についてはヒルダの父で国務尚書を務めていたフランツ・フォン・マリーンドルフ伯が娘が后妃となり、皇帝の義父となったことで、軍務尚書からいらぬ疑義を持たれるのを恐れ、(専制君主の身内が高位の政治的役職についていてロクなことになったためしがない、という持論もあって)自ら国務尚書職を辞することを決め、次期国務尚書としてミッターマイヤーを推した際のミッターマイヤー夫妻の会話からもそれが窺える。