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概要
『リビルドワールド』は、非公開(書籍版などでの筆名はナフセ)著のポストアポカリプス系SF小説である。
2019年5月に電撃文庫から書籍版が発行され、同7月には電撃マオウ(9月号)で漫画版の連載が、さらに同12月には漫画版単行本が発売されている。書籍版イラストは吟、漫画化は綾村切人が担当する。
小説家になろう出身の書籍化作品では数少ない純粋なSF作品(MMORPG系を除くと『僕と彼女と実弾兵器(アンティーク)』など僅か)でもある。
カクヨムSFジャンル累計1位。
2021年には「このライトノベルがすごい!2022」に単行本・ノベルズ部門で第4位にランクインを果たした。
2023年7月3日にはテレビアニメ化が発表。カクヨム公式でもアニメ化決定告知が発表されている(後述リンク参照)。
あらすじ
舞台は高度な技術を持った旧文明が崩壊したはるか後の、人々がその遺産を活用して暮らす荒廃した世界。旧文明の残した自律兵器や改造生物と戦いながら遺跡に眠る遺物を狩るハンターたちと、それを買い取る都市の支配者である企業たちでこの世界は成り立っていた。
スラム街に暮らす主人公アキラは、ハンターとなって成りあがることを夢見て踏み込んだ遺跡で、遭遇した正体不明の全裸の美女からある遺跡の攻略依頼を持ちかけられる。それはこの世界の謎に迫る物語の始まりだった。
主な登場人物
アキラ
主人公。スラム出身の少年であり、成りあがりのためにハンターを目指す。
初の遺跡探索で死にかけていた時に出会ったアルファと契約を交わし、そのバックアップのもと有力なハンターとして成長していく。スラム育ちの経験から基本的に他人を信用しない人間不信であり、頑なな性格と相まって何かとトラブルを起こしがち。
その一方で「何もないスラムのガキが払えるものは誠意くらい」という(これも頑固な)信念をもっており、相手が誰であれ自分から裏切る事はなく、また誠意ある対応には相応の誠意で応える一面がある。
これはポストアポカリプス世界においては得難い美質でもあり、その点を高く評価する者も多い。
アルファ
アキラが遺跡で出会った謎の美女。その正体は旧世界のAIであり、美女の姿は合成された映像を旧文明の遺産を活用して直接アキラの視界に投影したもの。アキラに遺跡深部の攻略を持ちかけ、十分な実力が付くまでのバックアップと訓練を保証する。
アキラにも明かしていない謎の思惑を隠し持っており、実は彼を「己の目的達成のためのコマ」としか見ていないことが当初から示唆されている。アキラにはフランクで頼れる相棒として接しているが、モノローグなどで見せる本性は冷徹。
一方のアキラも「アルファは何か隠している」とは薄々察しているものの「自分はアルファがいなければとうに死んでいた」という恩義を重視し、あえて掘り下げないようにしている。
シェリル
本作の(多分)メインヒロイン。元々はスラム徒党のひとつに属していたが、その徒党がアキラと敵対して潰された後、新たな庇護者をもとめて当のアキラに接触するという大胆な選択をする。その後はハンターとして急成長していくアキラの庇護のもと、スラム街における新たな勢力のリーダーとして頭角を現していく。
アキラとの関係は「単なるお互いの利害の一致」に過ぎなかったものの、ある出来事をきっかけに本気で彼に思いを寄せるようになる……が、積極的にアプローチしても当初の「単なる利害関係」の認識を上書きすることができず流されてしまい、関係をまったく進展させられない。そのうえ極めつけのトラブルメーカーであるアキラのせいでしばしば騒動に巻き込まれ、何かと酷い目に遭いがちな不憫な美少女。
エレナとサラ
二人組の女性ハンター。上記イラストの褐色肌&黒髪の方がサラ、2枚目白髪ロングの方がエレナ。
とある事件でアキラと知り合い、先輩ハンターとして様々に世話を焼く。出会いの経緯などからアキラが警戒心を抱かない数少ない相手であり、二人と会話するときは、アキラも年相応の少年めいた素直な反応をする。
シズカ
ハンター向けの武器屋「ウェポンフリーク」の店主。駆け出し直後の「みすぼらしいスラムのガキ」でしかないアキラに親身に接し、以降、アキラの贔屓の店となる。
エレナやサラと同じくアキラの保護者的存在であり、彼が警戒心を抱かない数少ない相手。
カツヤ
大規模ハンターチーム「ドランカム」に所属する少年ハンター。性格は明朗快活で利他的、人付き合いも良く才能にあふれているなど、アキラとは様々な面で対照的な人物。
アキラが典型的ダークヒーローであるのに対し、こちらは典型的熱血ヒーロー型の人物である。アキラとはお互い致命的なまでに反りが合わず、作中で幾度もぶつかることになるライバル。
実はアキラ同様に旧世界AIの支援を受ける身だが、本人にその自覚はない。
ユミナ
カツヤの幼馴染であり、同じく「ドランカム」所属の少女ハンター。カツヤとは互いにほのかな想いを寄せる関係だが、一方で熱血暴走気味であるカツヤのブレーキ役でもあり、彼が暴走しかけたときの対応は容赦がない。
ポストアポカリプス世界においては稀有な「素直かつ良識的な善性の人物」であり、アキラとは犬猿の仲であるカツヤの関係者であるにもかかわらず、アキラと良好な関係が築けるほど。
世界観について
- 旧世界:本作の世界は何度かの文明崩壊を経験しており、現在の文明圏もまた「新たに作り直された文明」のひとつである。そのため「現在の文明」より前の文明圏をまとめて「旧世界」と呼ぶ。管理すべき人間が滅んだ旧世界の施設・兵器は、当時さだめられたルールに従い続けており、正当な権限のない侵入者(つまりは、現代人)を見つけると排除しようとする。中でもとりわけ、武装して侵入してきては勝手にモノを持ち去っていく強盗(ハンターたち)に対しての対応は苛烈になる。
- 旧世界のAI:アキラの相棒であるアルファをはじめとした、いずれかの旧世界が作り出した人工知能。目的とする用途によって性能は様々で、アルファの場合は人間と遜色ないレベルの「人間性」を有している。そうした人格もちAIの場合は一概に現代人に敵対的ではなく、アルファのように(思惑はともかく)表面上は友好的に接するケースもある。
メタルマックスとの関連性
本作は、ポストアポカリプスRPG「メタルマックス」のオマージュ作品の一面を持つ。
分かりやすい部分では、主人公アキラなどの職業「ハンター」と、それを統括する組織「ハンターオフィス」の名称や概念はおおむねメタルマックスのそれに準じており、また作中にたびたび登場するハンターチーム「ドランカム」は、メタルマックスシリーズの名物アイテム「ドラムカン」のアナグラムである。
他にも、メタルマックスのファンであればニヤリとするオマージュが随所にみられる。
一方で作品としてのテーマは明確に差別化されており、いわば「戦車で旅するポストアポカリプス西部劇」であるメタルマックスに対し、リビルドワールドのストーリーは「近未来都市のスラムに暮らす少年が、身一つで成り上がっていく物語」であり、ゲームでいうならGTAやサイバーパンク2077などの方が近い。
関連イラスト
関連タグ
魔法科高校の劣等生:なろう掲載作品で電撃文庫から書籍化、後にアニメ化した共通個所を持つ。
創造錬金術師は自由を謳歌する:角川系での書籍化、カクヨムでも掲載という類似箇所あり。