概要
元来の相撲部屋では、鍋とは違う形でちゃんこが振舞われていたが、明治末期に第19代横綱常陸山が所属する出羽海部屋が大所帯になった事により、多数の力士が食べやすいようにちゃんこ鍋が考案され、現在まで伝えられている。
ちゃんこ鍋は比較的簡易に調理出来る上に大量の栄養を摂取出来る点、大勢で鍋を囲む事で連帯感が生まれる点などから、力士の食事に最適であるとされる。
一方でちゃんこの風習に馴染めない外国人力士が一定数存在したり、新型コロナウイルス感染拡大が本格化した2020年以降は所謂「三密」に抵触する食事形式であるなどの問題も抱えている。前者の場合、ケチャップ(高見山)やヨーグルト(琴欧洲)などをかけて食べる者、ムスリム(イスラム教徒)のため豚肉やアルコールが一切入っていない別メニューを食す者(大砂嵐)と、様々である。
昭和時代までは如何に力士と言えどちゃんこを無制限には食べられないなど食糧事情が後年より良くない部屋が目立ち、白米とちゃんこ鍋と漬物だけという「粗食」の部屋も少なくなかったが、平成以降はそれが改善されたことや「新弟子は食べて体を作るのが仕事」という風潮から、番付に関わらず十分な食事を得られるようになった。寧ろ食べ過ぎと稽古不足による生活習慣病のリスクの方が大きくなっている。
ラーメンなどと同じように、扱う食材や味付けなどは相撲部屋や作る人の腕によって大きく変わってくる。現役の力士が引退後にその腕を生かして飲食店経営に乗り出す事もあり、市井では一般向けにアレンジされた様々な形式のちゃんこ鍋が提供されている。
相撲部屋以外では日本のプロレス業界においても、大相撲出身者である力道山が角界の風習を日本プロレスに持ち込んだのが由来で、鍋料理をメインに食事が振舞われることが多く、こちらも「ちゃんこ」と称されている。
関連動画
日本相撲協会 公式chより 陸奥部屋のちゃんこ
プロレスリング・ノアのちゃんこ