概要
小市民シリーズとは、創元推理文庫より発行された『春期限定いちごタルト事件』を第一作とする推理小説シリーズのこと。タイトルには必ずスイーツ名が入り、長編は「(季節)期限定(スイーツ)事件」で統一されている。春期~冬期の4作(秋期は上下巻)及び短編集一冊が上梓されている。
※ 自動変換による誤記(〇春期 / ×春季)が頻発するためタグ付けには注意されたい。
謎を見つけると我を忘れて推理してしまう悪癖を改善したい小鳩常悟朗と、とある物騒な性癖と決別して穏やかに暮らしたい小佐内ゆきの二人が、互いを利用し監視し合う互恵関係を結び、目立たない「小市民」になることを目指す物語。
「日常の謎」と呼ばれるカテゴリに属するライトミステリであり、犯罪行為は描かれても死人は出ない。青春小説らしい爽やかな読み口をしているのが特徴で、謎解きそのものより主役二人のキャラクターと関係性に主軸が置かれている。
ヒロインが無類のスイーツ好きのため、各巻とも推理小説らしからぬ可愛らしいタイトルがついているが、内容も甘く可愛らしいかというと……。
2009年に『秋期限定~』が刊行されて以降、2020年刊行の短編集を除いて長く続編が出ていなかったが、2024年に15年ぶりの本編として『冬期限定ボンボンショコラ事件』が刊行され、晴れて約20年に及ぶシリーズの完結を迎えた。
2024年1月に『小市民シリーズ』としての『春期~』『夏期~』アニメ化が発表された。なお、その前月には『冬期~』の刊行がアナウンスされており、それとアニメ化が立て続けに発表されたのは作者曰く偶然との事。
アニメについては別途後述。
既刊
創元推理文庫
装画:片山若子
- 春期限定いちごタルト事件 (2004年12月24日刊行)
- 夏期限定トロピカルパフェ事件 (2006年4月14日刊行)
- 秋期限定栗きんとん事件(上) (2009年2月27日刊行)
- 秋期限定栗きんとん事件(下) (2009年3月13日刊行)
- 巴里マカロンの謎 (2020年1月31日刊行)
- 冬期限定ボンボンショコラ事件 (2024年4月30日刊行)
コミカライズ版
1. 春期限定いちごタルト事件
・作画:饅頭屋餡子
・構成:山崎風愛
・作画:おみおみ
主要登場人物
cvについてはアニメ版のもの
シリーズの主人公で、一人称は「ぼく」。謎を見つけると推理し、開陳せずにはいられない性質で、頼まれてもいないのに名探偵よろしく推理をひけらかし、周囲に嫌われていた過去がある。現在は反省し、目立たず、余計なことをしない小市民を目指しているが……。
自らの本性のことを自嘲気味に「狐」と呼ぶ。小佐内とは互いの本性を理解し、互いの目的のために必要な範囲で相手を利用し合う互恵関係にある。
シリーズのヒロイン。高校生だが中学生と間違えられるほど小柄で地味な印象の少女で、甘い物をこよなく愛する。情報戦に長けており、小鳩以上に危険で厄介なある性癖を持つが、それを矯正して小市民になりたいと考えており、同じ目的を持つ小鳩と互恵関係を結ぶ。
小鳩が「狐」なら、彼女は「狼」。その秘めた本性のあまりのインパクトの強さにやられる読者が多い。ヘアスタイルは尼そぎ。
堂島健吾(どうじま けんご / cv. 古川慎)
小鳩の小学校時代の同窓生で、彼の過去を知る男。剛毅で筋の通った性格の体育会系男子で、新聞部所属。小市民の仮面をかぶった小鳩を「腹黒」と酷評する一方、頼られるとすぐに駆けつける面倒見の良さも併せ持つ。いささか強引なところがあり、トラブルを避けたい小鳩には苦手に思われているが、基本的には困った人を見過ごせない好青年。姉がいて、『春期』時に小佐内に情報提供したことがある。
アニメ
ラパントラック制作でテレビアニメ化されることになった。
2024年7月からBS朝日とテレビ朝日系列(25局中24)局にて放送される予定。
『 小市民シリーズ 』の副題として「 How to become Ordinary 」(平凡になる方法)というフレーズが添えられている。
TVアニメ「小市民シリーズ」ティザーPV
TVアニメ「小市民シリーズ」第1弾PV
スタッフ
原作:米澤穂信(『春期~』『夏期~』/ 創元推理文庫)
監督:神戸守
シリーズ構成:大野敏哉
キャラクターデザイン:斎藤敦史
音楽:小畑貴裕
制作会社:ラパントラック
関連イラスト
pixiv内においては、小佐内ゆき単体や主役二人をセットで描いたイラストのほか、アニメ化した同作者の「〈古典部〉シリーズ」(氷菓シリーズ)とコラボしたイラストもたまに見られる。
イラスト傾向を見ていると誤解しそうになるが、小鳩・小佐内の二人の関係は決して恋愛関係ではなく、もっと恐ろしい何かである。