蘇我屠自古とは、東方Projectの登場キャラクターである。
登場作品は13作目「東方神霊廟 ~ Ten Desires.」Stage 5の中ボス。Stage 6のボス戦(のオプション)。
設定
種族 | 亡霊 |
二つ名 | 神の末裔の亡霊 |
能力 | 雷を起こす程度の能力 |
概要
西行寺幽々子以来の亡霊となるが、こちらは足が無いタイプの霊。
今から1400年前の古代日本にて猛威を奮っていた豪族、蘇我氏の者のひとり。その死後霊。
豊聡耳神子に仕える者であり、彼女の門人でもある。屠自古と同じ立場の人物にもう一人、物部布都が居る。現在その布都に良いように扱われているようだ。
東方神霊廟では、Stage5の中ボスとして登場。豊聡耳神子が復活する寸前の夢殿大祀廟にて現れる。中ボスのみの単機登場なので、少しの弾幕と1枚のスペルカードを突破すると撃破となる。
しかし彼女の出番はこれだけでは終わらない。なんと続くStage6で、驚くべきことにラスボス豊聡耳神子のとあるスペルカードにて物部布都と共にオプションとして召喚される。しかも台詞付き。
バックストーリー
1400年前の日本では、仏教を巡って豪族の物部氏と蘇我氏が対立し争っていた。屠自古はその時の蘇我氏の人間だった。
物部布都とはどうやらこの時代から、豊聡耳神子を慕う者同士という仲であったようだ。しかし物部姓を持つ布都とは本来敵対関係にあった。そんなある時、布都は屠自古に交渉を持ちかける。その内容は「今は共に仏教を広め、豊聡耳神子が後の世で権力者として復活した際には二人でその参謀として復活しよう」というものだった。
つまり三人で尸解仙になろうという誘いだ。屠自古はそれを承諾し、自らの体に術を施す準備を始めた。要するに神子・布都の二人が行った尸解仙の術を、実は屠自古も実行していたのである。
以後は陰ながら共謀して物部氏を滅ぼしたのだった。
さて、彼女らが選んだ尸解仙の秘術は「今の人間の肉体を完全に捨てて何かの物品に魂を宿らせ、時が来たらその物品が自分の肉体に変化するのでその身体で仙人として復活する」という方法であった。この方法には、死後に自身の魂の器となる憑代の物品が必要であり、その物品は長期でも朽ちないものが望ましい。屠自古はその物品として「壺」を選択した。だが、いざ尸解仙になろうと眠りにつく際に、壺はいつのまにか布都によって「焼かれていない壺」にすり替えられており、術後屠自古の魂が宿ったそれはすぐに朽ちて崩れてしまった。結果、屠自古の魂は戻る肉体を失い、亡霊として彷徨うことになる。
これは、仏教を広めるためとはいえ、物部氏を滅ぼされた恨みを布都がはらした為であるとされている。
亡霊になってすぐに布都に騙された事に気付くが、亡霊の体が人間の体よりも意外と快適な事を知ると、むしろこの体を受け入れる決意をした。まさに自らを古(いにしえ)に屠る亡霊である。
復活した後の布都からは、霊体のままで良いように扱われているようだ。しかし布都と屠自古の現在の二人の関係性は悪くなく、持ちつ持たれつの間柄。今は二人とも仏教を嫌っている。
神子と布都が復活したことで一緒に幻想郷へ出てきた。
実は最初、幻想郷で暮らす妖怪や降り掛かるであろう祟りに布都と一緒になって怯えていた。それからしばらく経った現在は、布都と共に「祟りを持つ怨霊亡霊」として逆に周囲を畏れさせることに成功している。
屠自古が亡霊化した後の経緯や、布都の設定.txtに「二人の復活まで随分と時間が掛かってしまったようだ」とある事から屠自古は、神子や布都と違って最近まで眠っていたわけでは無いように推測できる。
元ネタ
モデルとなった人物は聖徳太子(豊聡耳神子の元ネタ)の妻の一人とされる刀自古郎女(とじこのいらつめ)と思われる。
刀自古郎女は、蘇我馬子の娘である。母親は「物部氏の女」とされ、史料によっては物部布都のモデルと思われる太媛(ふとひめ)とされる。
蘇我屠自古≠刀自古郎女
ZUN:物部ボスにするんだから、おまけ的に蘇我氏の屠自古を出せば意外性が出るかなと
―おまけですか。でも一応聖徳太子の奥さんということなんですよね
ZUN:一応ね
―でも二人とも女の子なんですけど
ZUN:それは名前が似ているだけで別の人だから
なお、時々神子との間柄を「公式夫婦」と表記している作品があるが、元ネタが夫婦であるだけで、彼ら自身はただの上司部下の関係であり、特別に深い繋がりがあるわけではない。同じことが布都についても言えるので注意。
容姿
非常に薄い緑色(錆青磁色)をしたウェーブのかかったボブの髪に、同色の瞳をもつ。
服装
頭には紐が付いた黒い鳥帽子のようなものを被る。烏帽子の側面には御札が1枚貼られている。
濃緑色のロングスカートのワンピースを着ている(各所に若竹色が混じる)。スカートの裾には大量の御札がある。
服の袖は細く、袖口には白のフリルが施されている。
胸元には×のような紐とボタンの組み合わせが二つある。
首元は、とっくりのような白い襟元。
御札を除けば装飾が少なく、線の細いスッキリとしたデザインをしている。
身体的特徴
人間の脚が無い。その代わり、幽霊のような足が2本ある。
このような特徴を持ったキャラは旧作の魅魔以来であり、幽霊キャラは他にいるのにも関わらずWin版では初となる。ちなみに東方神霊廟はタイトルや「霊」をモチーフとしている事から、魅魔が再登場するのではないかと一部で噂されていた。
種族
亡霊。
しかし屠自古の場合は特殊で、尸解仙の術に失敗して戻る体を失ってしまったが霊体のみが現世に残ったのでそのまま活動しているタイプとなる。一般的な、自害・殺害や事故死・病死・老衰などの果ての未練で現世に留まった例とは異なる。
布都に嵌められた結果望まずになってしまった霊体だが、当人は肉体を持たないこの霊の体を不自由が無くて壊れなくて快適だと感じて満足しており、人間の体への未練は無い。自分を騙した布都に対する怨恨がチャラになっているのはこの為だろうか。
亡霊は、幽霊とはかなり性質の違う物である。
幽霊とは、人間だけでなく生物・無生物あらゆるものに宿っている「気」の塊であり、特定の形を持っている訳でもなければ、誰かの前に姿を現して何かを喋ったり襲ったりする事はないし、出来ない。
亡霊は、人間が死んで幽霊になった際、強い生への執着や怨みによって生まれる。その中には生前の姿を保ち、そのうえ触感のある実体や体温まで持つようになる者もおり、そうなった者は物質を通り抜ける事がほぼ出来なくなるらしい。
だが、亡霊は強い怨みを持っている怨霊であることが多いので、存在するだけで周囲の生物に害の影響を及ぼすことが多い。
ZUN氏のイメージでは彼女は怨霊的なイメージだと語っている。
怨霊とは、亡霊の一部で基本的には同じである。悪意に満ちた人間の亡霊や強い恨みを持った人間の亡霊が、輪廻転生の輪から外れ未来永劫亡霊のままになった存在を指す。死後地獄に落とされる人間の亡霊がなる事が多く、そのため地獄や旧地獄には数多く居る。亡霊と怨霊は一目であまり区別が付かないが、怨霊は人間にも妖怪にも取り憑いて害をなすので非常に危険。
特に精神を拠所とする妖怪は怨霊に取りつかれることによってその精神が変質してしまい、結果的に別の妖怪へと生まれ変わる。つまりその妖怪の死を迎えると言う事である。この事から怨霊は妖怪の数少ない天敵と一つとされている。
実際彼女はかつて人間に怨みを持っていたので、性質的には怨霊寄りである。そのため彼女の特徴は怨霊に近いものが多い。そこそこ格の高い怨霊であるらしく生物にとっては危険な存在。現在はその怨みもほぼ消え、ただの雷を落とせる亡霊へと変化しつつある様子。
能力
雷を起こす程度の能力
自分の周りに雷を落とす。
怨霊によくある能力である。怨霊は怒りの塊であり、雷を操れるものであるらしい。
小さな怨霊程度では「ゴロゴロ」「バリバリ」といった音を鳴らす程度だが、彼女ほどのレベルの大怨霊ともなると、落雷を実際に引き起こすことも可能だとか。雷を扱うのは怨霊にありがちな力であるようだが、彼女は一般の怨霊とは違い人間への怨みが消えているので、怨念のパワーで働く力ではない模様。
彼女の能力の元ネタは、蘇我入鹿、菅原道真など古来の大怨霊からだと思われる。彼らの死後に起きた死傷者を出す落雷が祟りだとして結び付けられ、彼らは怨霊として扱われた。遥か昔から怨霊=雷のイメージは存在していたようだ。
屠自古の元ネタ人物、刀自古郎女の父親である蘇我馬子が建てた「元興寺(がんごうじ)」の妖怪(元興寺(がごぜ))を雷神が授けた子供が退治するという話がある。(スペカの一つである雷矢「ガゴウジサイクロン」のガゴウジ(化け物を意味する児童語)は元興寺が由来とされるが、民俗学者 柳田國男は否定している。)
そういえば雷の能力者と言えば既に永江衣玖がいるが、衣玖の能力は「空気を読む程度の能力」であり、弾幕と能力の間に直接的な関連性はない。
性格
ガラが悪く、情に脆い。いわゆる「アネさん」気質だろうか。
怒りっぽい面もあり、怒らせると文字通り雷が落ちる。性質が怨霊寄りであるゆえ人間も妖怪も彼女に近付かないのが賢明だが、どうしても近付かねばならない時は、雷の被害を受けないために刺激しないよう接すること。
神子のスペルカード「豪族乱舞」で再登場する際に小さい吹き出しが四つある。
二次設定
「やってやんよ!」が決め台詞。
足の霊体化がいったい体のどこから始まっているのか、日々議論が交わされている。
幽霊の足が二股大根として扱われることも。
千四百年前の人物関係
神子の従者兼門人で、布都とは因縁はあるが同志。原作設定を重視するとそうなる。
だが、屠自古が千四百年前にどのような人物で、どう神子や布都と関わっていたのか、それは作中の設定でもほとんど語られていない。なので、詳細部分はさまざまな解釈が可能である。
ただ漠然と「蘇我の人間の一人(=屠自古)」「物部の人間の一人(=布都)」「当時の為政者聖徳王(=神子)」としている作品もあれば、実在する蘇我の家系図を重視した人物関係に設定している二次作品もある。
カップリング
カップリング相手としては、自分と関わりの強い物部布都または豊聡耳神子がどちらも同じくらい多い。
召喚「豪族乱舞」の影響か、神子布都と3人一緒でもよく描かれる。
スペルカード
- 雷矢「ガゴウジサイクロン」
- 雷矢「ガゴウジトルネード」
- 怨霊「入鹿の雷」