オオナマケモノ
おおなまけもの
概要
現在に生きている樹上性ナマケモノはニホンザルくらいの大きさで中南米の熱帯雨林に住み、もっぱら樹上をのんびりと移動する姿がよく知られているが、このオオナマケモノは肩高2m、全長6m、体重3tもあったので、流石に木には登れなかった。しかし骨組みは頑丈かつ柔軟に出来ており、尾と後脚で体を支えて上体を起こすことが出来、木の枝を鉤爪で引き寄せ、木の葉を長い舌でしごき取って食べていたようである。代表種のメガテリウムは前歯がなく、頬の内側に杭のような歯が並んでいるだけである。彼らは栄養価の低い木の葉を大量に食べる必要があった。メガテリウムの頑丈な顎には逞しい筋肉が付いており、口に入れた植物を強く磨り潰して食べることが出来た。現生のナマケモノも元々は地上生で、彼等はオオナマケモノの祖先と枝分かれして「木の上で緩慢に動く生活をする」という進化をとげたようである。一方で地上に残った者達は捕食者に対抗したり、寒冷化に適応するために巨大化していったようだ。
故地の南米は勿論のこと、北米のかなり北の方まで進出するなど大繁栄していたが、氷河期の終焉という環境変化や同じ頃に南北アメリカに進出した現生人類の影響もあって、1万年前頃に急速に絶滅してしまった(一部の種はカリブ海の無人島でもう少し長く生き残っていたが、そこにも人類が移住を開始し、数千年前には滅んでしまったようである)。
尚、現生人類(古代人)はこの巨大で動きが緩慢な動物に接触すると、これを只、考えもなく乱獲して滅ぼしてしまったわけではなく、丁度いい家畜になるのではないかと何度も家畜化を試みたようである(洞窟等を利用した飼育施設の遺跡まで見つかっている)。しかし、残念ながら、習性等に何らかの大きな制約があったらしく、結局、上手くいかなかったようである(これはオオナマケモノに限らず、現生人類が接触したほとんど全ての、特に陸棲の中大型動物に対しても言える。古代人も飼って家畜に出来るなら、その方がずっと継続的にかつ安易に食料等が入手できるのは理解していたであろうから、あらゆる動物の飼育を試みたはずである。しかしほとんどの野生動物では飼育、家畜化に成功できなかった。結果、幾つもの種を家畜化も出来ないまま結局滅ぼしてしまったし、現在も家畜・家禽となっている動物種は極めて少ない)。もしオオナマケモノの家畜化に成功していれば、現在の牛などがそうであるように野生種を絶滅させてしまっても、家畜としてのオオナマケモノなら今でも普通に見る事が出来たのかもしれない。