概要
1944年10月の台湾沖航空戦による、日本軍の歴史的な大勝利を記念して作られた。
苦しい戦局に打開の道筋が見えた事から、明るい曲調に加えて「秋空晴れたり心も晴れ渡る」と歌詞にも喜びが垣間見える。
…それが全て事実ならばどれだけ良かったか……。
歌唱した近江俊郎は自身が戦時中に歌唱した楽曲の中で最も印象に残った曲と語っている。
発売
レコードは1945年2月にニッチクレコード(日本コロムビア)より発売。
- A面「台湾沖の凱歌」
作詞:サトウハチロー
作曲:古関裕而
- B面「フィリピン沖の決戦」
作詞:藤浦洸
作曲:古関裕而
歌唱:伊藤武雄、日蓄合唱団
戦時中最後のレコード
この曲は日本コロムビアが戦時中に発売した最後のレコードとされている。というのもニッチクは翌月の1945年3月にはレコードを製作するプレス機を供出し生産を停止しているのである。
前年末から始まった本土空襲によりニッチクのスタジオや工場の被災も相次ぎ、更に工場が軍需工場に指定されて上記の経緯となって本土決戦も秒読みの段階となるなど、もはや音楽活動どころではなかった。
ニッチクはこの次に「比島決戦の歌」を発表してはいるが、1944年12月26日に酒井弘、朝倉春子、日蓄合唱団によって原盤への吹込みのみが行われただけで実際には発売されなかったことが有力視されている。
作曲を担当した古関裕而も「比島決戦の歌のレコードを発売したという話は聞いたことがない」と述べており、結局その原盤も終戦後の混乱で行方不明となった。
社名を元に戻した日本コロムビアがレコードの生産を再開するのは終戦から2ヶ月後の1945年10月の事である。