敵に向けて下さい。 ―― アメリカ軍 ロケットランチャー 取扱説明書
概要
ロケット弾の発射と運搬をかねた兵器の総称。
車両や航空機に搭載するのから、個人携行型まで大きさはさまざま。
使用するロケット弾は基本的に無誘導弾であるため、誘導弾を発射する同様のものとはミサイルランチャーとして区別している。
誘導弾でない分、弾1発あたりの値段が安いため、火力が高くかつ安価な兵器として途上国のみならず先進国の軍隊でもよく使われている兵器であるが、精密射撃にはあまり向かない。
歩兵携行型の場合、バルカン、バズーカなどの、よく有名な機種の名称が種別名として扱われがちな兵器のひとつ。ちなみに、バズーカは第二次世界大戦中にアメリカ軍が開発・使用したM1ロケットランチャーの愛称である。
実際、ピクシブでもロケットランチャーと検索すると、結構な割合でRPG-7のイラストが見られるが、ロケットランチャーは発射から着弾までロケットモーターで飛翔するロケット弾を発射するための装置であるのに対して、RPG-7の弾の発射は炸薬で行うため、厳密に言えばロケットランチャーではない。
また、無反動砲とも混同されがちだが、RPG-7同様発射は炸薬で行うためこれもロケットランチャーではない。
もっとも、紛らわしいので特に気にしない人も多いようではあるが。
最も初期のロケットランチャー
主なロケットランチャー
M202 | パンツァーシュレック |
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MLRS | M261(蜂の巣状の断面がある円筒) |
航空機用のロケットランチャーは民間のピックアップトラックなどに載せた簡易型ロケット発射車両としても使用されることがある。いわゆるテクニカルの一種。
変則型
ジャイロジェット・ピストル
アメリカMBA社が開発した、ロケット弾を使用する拳銃型のロケットランチャー。
本体や弾丸の見た目、そしてその名前などからどう見ても拳銃ではあるのだが、銃弾がロケットモーターによって飛翔するため、世界で唯一の片手で打てるロケットランチャーである。
通常の拳銃に比べて発射音が小さい、反動が少ない、高威力という利点があり、発売直後は話題になった。
しかし、
- 有効射程を超えると命中精度がガタ落ち。
- 本体は構造が単純だが非常にもろい。
- 弾丸の値段が高い。
といった問題が露呈。
射程距離に関してもある大きな問題があった。
ジャイロジェット・ピストルの弾丸はロケット推進であり、徐々に加速していくというものである。
通常の銃弾の場合、発射された時点で弾丸の速度は最高であり、徐々に落ちていくというものなのだが、この銃の弾丸は発射した時点では殺傷能力が出る速度に到達しておらず、徐々に加速し最高速度に達すると言うものであった。そのため至近距離では威力が低く、当てたいときはそれなりに離れないといけないといけなかったのである。
有効射程距離は50メートルほどだが、上記のとおり至近距離では当たっても意味がないため、実際のところは相手にダメージを与えるためには20~30メートル離れなくてはいけないという拳銃型の武器としてあるまじき代物だった。
その登場は非常にセンセーショナルなものであり、映画007にも登場したほどである。
MBA社もジャイロジェット・シリーズとしてアサルトライフル型や軽機関銃型の構想もしたようだが、弾丸の値段が非常に高いということがネックになり、早々と市場から姿を消した。