概要
フォルトゥナは運命、特に時に応じて変化する不安定性である偶然の女神である。
それゆえにフォルトゥナは、豊穣の角(コルヌー・コピアイ)や帆(移ろいやすさ)を手にして、舵(運命を操る道具)や車輪(運命の浮き沈み)、糸車(運命を紡ぐ道具)を操作し、球体(気まぐれ、不安定)に乗った図像で描かれ、女神自身は全裸に翼を持ち、先が読めない運命を示して目隠しした姿で表された。
もともとフォルトゥナはローマ独自の女神ではなく、ローマの東にあるプラエネステ周辺で信仰されていた預言の女神である。赤子に授乳する姿で描かれるように豊穣多産が神性の中で最も重要視されており、フォルトゥナの名は「もたらす」を意味するローマ語が源流と言われる。
フォルトゥナ信仰はローマ王セルウィウス・トゥリウスによってローマに持ち込まれたといい、ギリシャ神話の運命の女神テュケーと同一視されるにおよび、固有の神話を持つことのないままパンテオンに組み込まれた。
子宝や戦争の勝利など多くの運命を予言するフォルトゥナへの信仰は民間から皇帝まで広い層に信者を生み出し、幸運のボナ・フォルトゥナ、悪運のマラ・フォルトゥナ(悪運)等権能に応じて多種多様な別名を持っている。
ガリア地方にも伝わったフォルトゥナはその地でも独自の発展を遂げ、車輪を持った女神の彫像やレリーフが数多く発見されたという。
女神転生シリーズのフォルトゥナ
初出作品は「デビルサマナーソウルハッカーズ」で、種族は女神。
頭にかぶったスカーフから前髪だけを垂らし、胴に車輪を備えた“運命の女神”然としたデザイン。白いスカーフと黒いスカートがたなびく様に弧を描き、陰陽を思わせる形になっているのも特徴。
女神の中でも早い段階から仲魔にでき、回復・補助スキルにより優秀な後衛として扱える。また「ペルソナ3」以降は衝撃・疾風属性にも秀でたスキル構成になったことから、攻撃魔法よるアタッカーとしても活躍する。
またケルト神話の地ガリアで信仰された女神として「真・女神転生Ⅳ」のチャレンジクエスト“神の聖杯 悪魔の大釜”では、フォルトゥナがトゥアハ・デ・ダナーンに混ざってダグザの大釜を天使から取り返す描写が存在する。