始めに
この内容は現在進行形の内容であるため、記述内容が最新であるとは限らない。また、本記事は日本での法律について扱う。
概要
現在、著作権侵害の処罰は親告罪となっている。親告罪とは「被害者が告訴を行う事で初めて公訴する事が出来る」罪のことを指す。一方の非親告罪とは「被害者が告訴を行わずとも第三者の告発や警察の捜査により公訴することが出来る」罪のことを指す。
よって、現状、著作権の侵害を第三者が発見したり、警察などの捜査機関が発見したりした場合であったとしても、被害者(作者、出版社など)が告訴を行わない限りは公訴される事は出来ず、刑事責任を問うことは出来ない。
しかしながら、これが非親告罪となった場合は被害者が告訴する気が無くとも第三者や警察などは告訴により公訴提起を行う事が可能となる。これは、海賊版などを発見した際に早期摘発を行う事が可能となり著作権者の保護に繋がるという意見もあるが、著作者の意向を無視した刑事罰の実行が専横する可能性があるという否定的意見もある。
経緯
2007年に文化審議会に於いて「著作権の親告罪の、適用範囲の見直し」が議題となった。この時は非親告罪化するとされたが、結局のところは検討するのが適当という結論に落ち着いた。
その後、2011年に日米経済調和対話に於いてアメリカから著作権の非親告罪化が要求された他、TPPに於けるアメリカの要求内容にも著作権の非親告罪化が含まれており、争点の一つになっている。
国外の状況
日本では著作権は親告罪であるが、他にはドイツとオーストリアが親告罪を採用している。
逆に言ってしまえば、国外では著作権は非親告罪であることの方が多い。但し、運用に対しては慎重な国も多く、事実上、著作者が否定的である場合は告訴されない場合が多い。
二次創作等との関係
ピクシブもそうではあるが、インターネット上では著作物をモチーフとした創作物は数多く存在する。これについては法律上は間違いなくアウトであるが、一部の公認している作品を除けば著作者が黙認しているというのが現状である。
一部の団体を除くと現在の日本の業界では二次創作が黙認されているのはあくまで著作権が親告罪であり、著作者が黙認をしているからに他ならない。間違えてはいけないのはアウトに限りなく近いアウトであり、著作者がNGを出せば間違いなくアウトという状態である点である。
しかしながら、これが非親告罪になった場合は、当然、上の状況であるため、第三者が告発したり警察が告発した場合は基本的には刑事責任であり、賠償を行うことになる。
これは言ってしまえば二次創作という文化を衰退させる危険性を孕んでいる事を意味する。
二次創作が現在黙認されている理由は一概には言えないが、二次創作というものが一次創作物の知名度向上、延いては人気、売り上げ向上に貢献しているのではないかと思われる。同時に二次創作によって生み出されている経済効果も決してバカには出来ない。
これらが禁止されてしまえば、創作の業界全体に打撃を与えかねないし、新たなクリエイター誕生の機会が削がれてしまう危険性もある。
また、他にも別件逮捕に用いられる危険性などが指摘される。