K2とは
- 韓国陸軍が戦力化させる予定の戦車。本項で詳述。
- 医療漫画、『スーパードクターK』の後日譚
- 韓国陸軍が独自開発したアサルトライフル。
- パキスタン・カラコルム山脈にある世界第二の高峰。
- 複数のスポーツ用品ブランドを抱える会社、K2 Sportsの略称。
戦車のK2
韓国陸軍がK1戦車の後継車として開発した第3.5世代主力戦車。
開発コードはXK-2。愛称は「黒豹(フックピョ、ブラックパンサー)」。
概要
開発初年度は1995年。主な開発目的は「古いM48パットンの更新」「北朝鮮の天馬号(チョンマホ)・暴風号(ポップンホ)戦車への対抗」「自国の軍事技術の成長」「輸出商品とする」である。
55口径120mm滑腔砲(ラインメタルRh120)、自動装填装置、モジュラー複合装甲、リアクティブアーマー、データリンクシステム、ハイドロサス、アクティブ防御システム等、第3.5世代主力戦車に求められる機能を一通り備えた国産ハイテク戦車と謳っている。ほとんどは韓国で独自開発したのではなく、ドイツやフランス、ロシアの技術供与を受け生産したものである。但し、事実上純粋にアメリカが設計したに等しいK1と異なり、韓国独自技術も追加されている。そのため実質的には韓国企業が初めて設計に関与した戦車といえるが、これが後にK2に大問題を残すことになる。
当初、配備は2011年が予定されており、開発期間が当初から長く取られていたことがわかる。しかし後述の理由により、2013年になっても開発はまだ完了しておらず生産のめども立っていない。
その後配備予定年度は2014年に先延ばしされたが実態は不透明で、実に開発開始から配備まで19年以上もかかる見通しとなっている。2013年現在、完成して走行可能な状態にあるのは試作車1両のみである。
試作車で見つかった欠陥
量産車で採用予定の国産のエンジンが所定の出力を出せず、それどころか故障率が高すぎるため実用不可能であることが判明している。さらに変速装置にもトラブルが多発している。原因もよくわかっておらず、代替策として試作車と同じドイツ製エンジンを採用する案が出ている(初期車100両についてはドイツ製エンジン搭載が決定している)。
また対弾試験の結果、複合装甲の性能に疑問が持たれている(しかし一般に漏れ伝わる情報からは、元々低性能な種類の装甲が採用されておりある程度予想できた結果であるともされる)。
これらの欠陥は発覚するやいなや朝鮮日報を始めとするメディアの厳しい追及にさらされた。
この顛末の原因としては、K2が運用実態とかけ離れた政治の道具になっている面がある事(エンジンをドイツから輸入する計画は当初からあったが、国内産業界や一部政界から圧力がかかり国産化が強行されたことが明らかになっている)と、戦車開発のノウハウの不足が考えられる。
K2のトラブル発生部分は韓国の独自技術使用箇所に集中している。K1でも独自の後天的改造でかえって不具合が発生した例があるほか、K21歩兵戦闘車にいたっては渡河訓練で沈没事故を起こし陸軍から欠陥宣告されていることから、韓国の技術水準に根本的問題がある可能性は極めて高い。
そもそも世界的にはもはや国産化には意味が無くなりつつある。諸外国ではうまく動くかわからない国産エンジンを開発せず、すでに実績のあるドイツ・MTU製を採用することは特に珍しくない。それでも韓国が頑なに国産技術にこだわるのは、政治的な意図(自国産業への利益誘導と国威発揚)があるためと考えられる。韓国政府はK2を「国産名品兵器」と称して国内外に盛んに宣伝していた。
開発期間があまりにも長くなった影響で調達価格も米ドル換算で766万ドル/両(注:アメリカのM1A2戦車は約550万ドル)と暴騰しており、配備数は当初計画されていた600両から2009年には300両に半減され、2011年にはさらに100両減らすことが検討されている。
2013年6月には先行量産車をテストの上、2014年の国会の決定に従い「戦力化の検討を開始する」という内容の発表がなされており、先行量産車の性能に問題が見つかれば配備そのものがキャンセルされる可能性も出ている。
トルコへの技術供与も予定されており契約を交わしていたが、K2自体が完成していないためトルコは契約内容の一部解消を要求しているという。
余談
かつて日本でも性能の劣る国産品を国策で使った例があった。T-1ジェット練習機のJ3エンジンである。しかしJ3の問題点は納期が遅れたことと出力が劣ることのみで、信頼性には特に問題がなく、実際にT-1は退役まで故障による損失がなかった。生産遅延については防衛事情を優先し即座に代用のイギリス製エンジンを輸入して回避した。なお元々採算の合わない事業だったため輸入に関して業界の反発はなく、政治問題化することもなかった。
K2自動小銃
韓国が独自に開発したK603の後継として採用された小銃。
使用弾は5.56mmで、プラスチックを多用している。開発目的はM16のライセンス料回避と考えられる。ストックが全て折りたたみ式であることと、M16で評判の悪かったリュングマン式作動システムを常識的なロングストロークに変えてある点が最大の違いであり、それ以外はごく普通のシンプルなアサルトライフルである。