もしかして→エース
もしかして→A.C.E./アナザーセンチュリーズエピソード
ACEとは、近畿日本鉄道の所有する汎用型特急専用車両の愛称。名前の由来は、「エースカー」と呼ばれていた10400・11400系の置き換え用車両であったことからという説があり、「ACE」という3文字のアルファベットにはAdvanced(進化した),Confortable(快適な),Common(汎用の),Easy-operation(容易な操作),Express(特急・急行)の頭文字からとっていると思われる。
概要
「ACE」には22000系グループと22600系グループの二つが存在し、一般的に、前者は「ACE(エースまたはエーシーイー)」、後者は「Ace(エース)」とつづる。
汎用型特急車なので、塗装は伝統に従い、橙と紺である。
貫通扉を持っている。両開き式スイングプラグドアで、扉の割れ方は非対称。
どちらも2連と4連が存在し、単独2連,単独4連,2連2併結の4連,2連3併結または2連+4連の6連,4連2併結の8連,4連2併結+2連の10連など、さまざまな編成が可能。また、12200系や30000系などの既存車両とも連結可能。ただし、既存車両と連結する場合に限り、最高速度が130km/hから120km/hに落とされる。
車両
22000系
初代ACE。ただし、3代目とも言われる(後述)。
近鉄の特急型車両で初めてVVVFインバーターを搭載した。メーカーは三菱電機。オールM車構成である。
汎用車のため、内装はかなりシンプルとなっており、運転台も簡素なつくりとなっている。
断面は卵型で、先頭部の見た目はトンボに似ている。今までの汎用型特急車に比べ、側窓が高くなっている。
16400系
22000系の南大阪・吉野線版。基本的な構造は22000系と同一だが、若干配置が異なる。南大阪・吉野線は狭軌なので、狭軌台車をはいている他、最高速度も110km/hに落とされている。
近鉄のVVVFインバーター搭載車で初めて、素子にIGBTが使われた。メーカーは日立。
これにより、MT構成はオールMから1M1Tとなり、パンタグラフはM車に集中的に配置された。パンタグラフは下枠交差式。
2連2本のみの存在で、汎用型のため、いつ、どのタイミングでやってくるかは予測不可能。
22600系
2009年から増備されている近鉄の最新鋭汎用型特急車。
22000系グループには「エース」と「エーシーイー」の2つが存在したが、22600系グループでは「エース」に統一された。
制御装置は三菱電機製のIGBT素子VVVFインバーターで、MT構成は4連は2M2T,2連は1M1Tで比は1:1。2連ユニットとした際、それぞれの難波寄りの車両がM車となる。
車内の座席は赤系を使用。21020系では仕切り扉上に液晶モニターが付いていたが、22600系では設置を見送った。
前面表示機はフルカラーLED式、側面表示機は3色LED式となっている。
一部編成は阪神用ATS及び列車選別装置を装備し、阪神線への乗り入れが可能。2014年2月に阪神線内での試運転が行われ、3月22日以降、この車両を使用した団体専用列車の運行が開始される予定である。
16600系
22600系の南大阪・吉野線版。2010年に登場。
狭軌台車をはき、設計最高速度は120km/h、運転最高速度は110km/hに下げられている。2連のみの存在。
制御装置がどう変化したかは、2011年1月15日現在では不明である。
運用
22000系は、近鉄の標準軌区間で、湯の山線以外であれば、どこでも見ることができる。
22600系の場合、名古屋線の冨吉車庫や明星車庫にはまだ所属していないので、基本的には伊勢志摩方面行き特急に、土休日には名阪乙特急の運用にも就く。
16400系や16600系の所属する南大阪・吉野線は、旧型車両がゴロゴロ走っているうえ、それらと共通運用のため、見つけるのが難しい。
特に、16400系は増備の見込みがないので非常に困難である。
エースカー
ACEファミリーの車両愛称名の元となったとされる、すでに全車退役した近鉄特急汎用車。
近鉄の看板である名阪ノンストップこそビスタカーが登場して華やかになったが、名阪乙特急や伊勢志摩方面への観光特急などには依然、ツリ駆け駆動の2200系などが現役という状態であり、その刷新を迫られていた。
そこで登場したのが、ビスタカーのようにある程度まとまった単位で運用するのではなく、2Mユニット基準で編成を自在に長短できる10400系エースカーである。
エースカーの愛称の由来はポーカーでストレートを組むときに“A・2・3・4・5”でも、“10・J・Q・K・A”でも成立するということから、事実上名阪ノンストップ専用車のビスタカーに対し、冗長性のある車両としてトランプのエースに由来している。
このことからACEファミリーを3代目、あるいは22000系・16400系を3代目、22600系・16600系を4代目と見る向きもある。
当代ACE同様、乙特急用として生み出された初代エースカー10400系だったが、その直後に東海道新幹線が開業、名阪ノンストップの乗客は激減し、従来の定数だった10100系ビスタII世2重連では収容力がありすぎるため、ビスタII世3連接1ユニットにエースカーを付け加えて定員を調整することになり、思わぬ形で名阪ノンストップにも進出することになった。
しかし特徴的なビスタカーがフラットカーのエースカーと手を組む姿はビスタカーだけの編成とはまた違った趣があり、VistaとAceの組み合わせであることからVA編成と呼ばれ親しまれた。
10400系
現役時の通称は旧エースカー。前面の構造などはビスタII世の貫通型構造を引き継いでいた。制御機・主電動機も当初はビスタII世と同じで電動機出力125kW。
当初は採用した冷房装置が能力不足で、固定式窓のため夏場は車内の不快指数が上がり乗客から不評を買った。この為、11400系登場後早々に更新改造が行われ、冷房装置や制御機・主電動機を11400系と統一している。また、前面構造は12000系スナックカーなどで採用された「ヒゲ」種別・行先表示付の構造に改造された。
11400系
現役時の通称は新エースカー。前面の構造は一新され、腰部にフォグランプと一体になった尾灯を装備し、貫通扉に電光式の種別・行先表示機を装備した。
10400系の反省からビスタカー由来のセパレート式エアコンをやめ、オーソドックスな分散型ユニットクーラーを搭載し冷房の能力を強化した。
また主電動機と主制御機も改良が加えられ、電動機出力は145kWに向上した。
この為、名阪ノンストップにエースカーの電動車が入ると荷重出力比が良くなり、青山峠越えが楽になると乗務員からは好評だった。