潜水空母とは
「潜水空母」伊400型
潜水艦が第一次世界大戦で実用化されて以来、隠密性には優れるが偵察力や攻撃力に乏しい潜水艦に航空機を搭載してその弱点を補うことは世界各国で模索されていたが、実用にこぎつけたのは日本海軍のみである。その日本海軍も搭載できたのは大半が専用の小型偵察機のみであるが、伊400型(とこれを補う伊13型)は通常の爆撃機に匹敵する特殊攻撃機「晴嵐」を搭載することが可能になった。これを称えて、1隻につきわずか3機しか搭載できない(伊13型は2機)にも関わらず、潜水空母と呼ばれることが多い。
とはいえ、わずか3機、1機当たり爆弾1トン程度という攻撃力の低さや、搭乗員や機体の回収まで母艦が拘束されることを考えると、実用性に乏しくせいぜい奇襲に使える程度なのは明白である。
しかし、現時点で唯一の米本土空襲を成功させた兵器であることは評価されるべきかもしれない。損害自体は軽微だったが、米本土の一般人を怯えさせた為に米本土の警戒は非常に強化されたとか。
ミサイル(ICBMや巡航ミサイル)ならば撃ちっぱなしで、回収しなくても良いのだ。
また、核兵器は少数のミサイルにも圧倒的な破壊力を与える。
実際、冷戦の中で巡航ミサイルや弾道ミサイルを搭載した大型潜水艦が開発され、
図らずも潜水空母はアメリカやソビエトに受け継がれることとなった。
翼を持つ巡航ミサイルは無人航空機の一種とも見られるため、ある意味では巡航ミサイル潜水艦は潜水空母といえるかもしれない。
また、実戦では活躍できなかった潜水空母も架空戦記やゲームの中では活き活きと活躍している。(逆に言えば、現実には活躍できないのだ)。
冷戦終了後、戦略型原子力潜水艦の存在意義の向上と弾道ミサイル等に使用するVLSの空きを利用し、無人航空機の発射管として利用する計画がロッキード・マーティン社とスカンク・ワークスにより進められていた。(潜水艦発射回収式多目的無人航空機、MPUAV)
発進から回収まで浮上を必要としないなど過去の潜水空母の問題点の解決はしていたが、それ以外の解決しなくてはならない問題は多く、実用化せずに計画は凍結された。
2013年にも同様の計画の実験が行われており、米海軍研究事務所(ONR)の研究により、魚雷発射管からの打ち上げに成功している。