概要
シュメール語でムシュフシュ(Mušḫuš)。シュメール語のムシュフシュは古バビロニア語ムシュフシュからの借用語。
字義的には「怒れる蛇」。『古代オリエント集』では炎の竜頭サソリ尾獣と訳されている。シュメール語のフシュは「怒れる」と訳されるが、より正確には「畏敬の念を起こさせる」という意味になる。また、フシュは「赤い色」をも意味する。
ムシュフシュは、頭は蛇、2本の長い角と2つの耳がはえており、ライオンの前脚、鷲の後脚、そしってサソリの尾を持っている。翼が生えた形で表わされることもある。最古の時期はライオン頭で、時代が下るにつれて様々な要素が合成されるようになったらしい。その図像はアッカド時代からセレウコス朝時代まで一貫して見られる。
古代バビロニアの地母神ティアマトが若き神々を滅ぼすために生み出した魔獣で、母ティアマトが軍神マルドゥクに討ち取られた後はマルドゥクの軍門に下った。その後はマルドゥクやイシュタルの乗竜として活躍した。