「6つの命が目覚め、7つ目の命が訪れる時、青い惑星の運命が決まるだろう」
商品概要
1990年11月のゾイドの商品展開終了後、トミーは次なる男児向けオリジナル玩具シリーズの展開を画策する。そして1991年、ゾイドの仕様(1/72スケール、関節キャップ使用)を踏襲する形で新たな組み立て式動力玩具のシリーズを開始する。それが「装甲巨神Zナイト」である。
1991年にはサンライズ製作のOVAも公開されたが、高価格がたたってか中心商品である「装甲巨神」はわずか3(+1)体でリリースを終了してしまう。その後は廉価キットである「メタルフット」シリーズでラインナップを固めたが、1993年をもって展開終了となった。
その後、ユージンより展開された「ゾイドコレクション」にて、シークレットの形で装甲巨神がラインナップされる。存在のみが語られていた幻の機体さえ立体化され、ファン、そしてZナイトを知らないゾイダーたちを驚かせた。
2013年、コトブキヤはHMMシリーズとしてZナイトを発売することを発表した。1/100にダウンサイズされ、装いも新たに装甲巨神が今蘇る!
ストーリー
ゾイド同様、装甲巨神Zナイトにもストーリーが存在する。ゾイドと同じ世界の物語であり、「ゾイドバトルストーリー」の実質的な続編ともなっている。
24世紀、地球の汚染は著しく、すでに「青い星」は見る影もなかった。2330年、遂に人類は地球統一国家「ブルースターユニオン」(ブルースター連邦とも)を設立し、地球環境の回復と、宇宙開拓へと乗り出した。2365年、火星の開発が進む中1隻の宇宙船が銀河の反対側を目指して地球を発ち、そして消息を絶った。
西暦2409年、消息を絶っていた調査船「グローバリーⅢ」が外宇宙より帰還した。未知の惑星の人類2079名、そして6つの「メタルハート」と共に。
そして、地球=ブルースターの科学者たちは人型戦闘兵器「アーマー」にメタルハートを搭載する計画を実行に移す。悪魔のプロジェクト、「Z・A計画」の幕開けであった。
やがて、ブルースターの2大勢力間で争いが起こった。完成したゾイドアーマー――――装甲巨神が実戦に投入され、そして地球規模の災害が発生した。装甲巨神は封印され、そして装甲巨神を操ることのできるゾイド人、そして「セカンド」の弾圧が始まった。
2600年、地球に巨大彗星が接近する。一部の特権階級者たちは火星に逃れ、そして惑星国家「キルナ」を建国した。
2997年。史上最大規模の太陽風が発生し、火星は甚大な環境被害を被った。皮肉にも、彗星衝突で汚染されていた地球の大気はこれによって浄化され、地球―――ブルースターは本来の姿を取り戻す。
ここに至って、下級国民の不満を力で押さえこんでいたキルナは、ブルースターへの侵攻を決断する。西暦2998年、装甲巨神の覚醒の時が近付いていた。
登場メカ
本作品には様々なカテゴリーの人型兵器が登場する。共通点として、「関節キャップ」の採用、「磁力ホバー」(マグネッサーシステム?)の搭載が挙げられる。
ゾイドアーマー
体内にメタルハート(ゾイドコア)をもつ、人型兵器。基本的に地球人では制御しきれない。
Z・A03 TYPE-K Zナイト
騎士型の装甲巨神で、ノーザランド(ノルウェー?)に封印されていた。ビームソードとLM(ライブメタル)シールドを装備するほか、電磁シールドの発生能力をもつ。キルナ艦隊の罠にかかって大破するが・・・。
メタルハートは甲殻竜、または甲殻類型。
Z・A01 TYPE-V マリンカイザー
バイキング型の装甲巨神で、唯一の水陸両用ゾイドアーマーである。ブリードキングダム(イギリス)の海底神殿に封印されていたが、キルナに奪われてしまう。Zナイトとの戦闘に敗れてブルースター連邦軍に奪還され、以降重要戦力として活躍する。ひげ面のおっさんに見えるが気にしてはいけない。
メタルハートは海竜型。
Z・A03II TYPE-KW グレートZナイト
大破したZナイトが再生進化を遂げた純白の騎士型装甲巨神。性能が大きく向上している。その性能を危険視されマリンカイザーともども封印されてしまうのだが・・・?
ゼロス
クレタ島の闇神殿に封印されていた、悪魔型の装甲巨神。最強の装甲巨神とされている。キルナ軍の兵士の生命エネルギーを吸収して覚醒すると、どこへともなく飛び去って行った。本機とガイムはキットの試作が作られているが、路線変更から未発売に終わってしまった。
メタルハートは翼竜型。
ガイム
YAMATOユニオンに封印されていた、武者型の装甲巨神。操縦者のないまま覚醒し、グレートZナイトと強化型ギルガの戦闘に乱入する。
イーグルヘッド
ネイティブアメリカンの酋長を模したと思しき装甲巨神。詳細不明。
フレイムソル
剣闘士型と思しき装甲巨神。同じく詳細不明。
バトルアーマー
いわゆる人型ロボットであり、メタルハートは搭載していない。ゾイドアーマーと比べてやや小型である。
A・A08 TYPE-S スカルバイパー
キルナ宇宙軍の最新鋭空挺バトルアーマー。陸自の空挺レイバーと似ているのは多分気のせい。アニメ冒頭の戦闘シーンは必見。
C・A13 TYPE-D デザートウォーカー
キルナで治安維持用に用いられていた機体を砂漠戦用に改良したバトルアーマー。巨大な爪(バトルドーザー)が印象的。厳密に言えば、キット化されたのは「C・A13-1 スコーピオン」である。
S・A11 TYPE-M エギール
火星の海洋作業用アーマーを改良した、キルナ宇宙軍の水陸両用バトルアーマー。マリンカイザー奪取の立役者だが、暴走したマリンカイザーの前にエギール部隊は壊滅してしまう。
カラウル
ブルースター連邦の主力バトルアーマー。宇宙用と地上用が存在するらしいが、外観などの差異は不明。アニメ冒頭スカルバイパー相手に宇宙戦を繰り広げるが、全く歯が立たなかった。
ボガトゥイリ
ブルースター連邦の水陸両用バトルアーマー。エギールの攻撃の前に、なすすべもなく全滅する。
ファイナルアーマー
対ゾイドアーマー用に開発された、大型のバトルアーマー。高性能ゆえに、バトルアーマーの一種と言えども操縦は極めて難しい。
F・A01F ギルガ・メシュ
もっぱら略称の「ギルガ」で呼ばれる、キルナ宇宙軍の切り札。Zナイトに右腕を切り落とされ、「強化型ギルガ」へと改良される。
メタルフット
特殊金属「メティオリック」を用いた小型高性能バトルアーマーで、正式名称はメティオリックアーマー。ストライカーと呼ばれた時期もあったがいつの間にかフェードアウトしていった。
Z・M03F ノーザグレイバー
装甲巨神の封印にともないブルースターが回収したレッドスコーピオンを元に開発した、騎士型メタルフット。Zナイトのメタルハートの破片が組み込まれたこともあり、デザインはグレートZナイトに酷似している。
Z・M01M ディバイキング
ノーザグレイバ―同様、マリンカイザーのメタルハートを組み込まれたバイキング型メタルフット。
L・A11C 鎧武
ブルースターの武者型メタルフット。装甲巨神ガイムとの関連は不明。
L・A42F ナイラス
ブルースターのファラオ型メタルフット。索敵もこなす。
M・A09F デスドール
火星の反政府ゲリラ「カルド」の旗機。メタルフットの中では最高クラスの機動性を誇る。
M・A05C ガイザック
サソリの意匠が施されたカルドのメタルフット。量産型である「M・A 05CS レッドスコーピオン」を率いる。あちらはガイ「サ」ックであり、こちらはガイ「ザ」ックなので注意。
M・A07AS ブラックホーネット
カルドの対艦メタルフット。一応セル設定画は存在するが、カラウル、ボガトゥイリ、レッドスコーピオンと同じくキット化はされなかった。
M・A07A メガホーネット
ブラックホーネットの強化型。蜂の意匠を与えられており、ブラックホーネット部隊の隊長機を務める。
M・A06C バイガス
クワガタの意匠を施されたカルドの新型メタルフット。ガイザックの改良設計型らしいが、共通なのはフレームだけである(メタルフットは全てフレームが共通)。
M・AT10F ダークシザー
バッタの意匠をもつカルドの新型メタルフット。顔がバッタの改造人間のようだが、気にしてはいけない。
F・A05F ゼルガイア
ギルガのデザインを踏襲したメタルフット。ノーザグレイバ―の前に立ちはだかる。
バトルメタルフット
メタルフットの中でも特に高性能なものは区別してこう呼ばれる。Zナイトシリーズ最後の商品である。
ZMX02-S ソルセイバー
地下深くから発掘された謎のメタルフット。そもそもいつから地下に埋められていたのかなど、謎が多い機体である。学年誌掲載のストーリーでは、最強最悪にして最後の敵を前に・・・・・・
FBA98-D デスバトラー
キルナ軍の開発した最強のメタルフット。学年誌掲載のストーリーにて、ソルセイバーと共闘することになるのだが・・・
主な登場キャラクター
ここでは、アニメに登場したキャラクターを取り上げる。
ブルースター連邦
ベル・ランス(cv.緑川光)
ノーザナイツ軍の若き中尉。スカルバイパーの攻撃で所属部隊は全滅し、彼だけが生き残る。地球人の父とゾイド人の母を持つセカンドである。
搭乗機体はカラウル→Zナイト→グレートZナイト→ノーザグレイバ―→ソルセイバー→???
アディルス・オーディン(cv.堀内賢雄)
近衛師団「グレイヴ」所属の大尉でセカンド。奪還されたマリンカイザーのパイロットとなる。ランスの従兄。
登場機体はマリンカイザー→ディバイキング
オーラ―ブ・オーディン(cv.岸野一彦)
ノーザナイツ最高司令官。ブルースター連邦を構成するユニオンがノーザランド以外制圧される中、ブルースター解放のために徹底抗戦を決意する。ゾイド人を迫害から保護した高潔な人物。アディルスとサラの父であり、妻はゾイド人である。
サラ・オーディン(cv.平松晶子)
オーラーブの娘であり、アディルスの妹。本作のヒロインにあたる。Zナイトの心を感じることができる。
キルナ
アルフレッド・ゼルダン(cv.目黒裕一)
キルナ宇宙軍の将軍にして、ブルースター方面作戦の司令官を務める。キルナの大統領をひそかに目指す野心家。装甲巨神奪取のため、自らギルガに乗り込み出撃する。
搭乗機体はギルガ→強化型ギルガ→ゼルガイア
クレスト・ギスカール(cv.島香裕)
キルナ第56代大統領。キルナを軍事国家として発展させた張本人である。実はゾイド人であり、ブルースター侵攻は自分たちゾイド人を迫害した地球人への復讐でもあった。
ルシェル・ギスカール(cv.天野由梨)
ギスカール大統領の娘にして、ゼルダンの婚約者。
エリック・ベルゲン(cv.星野充昭)
装甲巨神奪取のために設立された「グリオン小隊」のパイロット。奪取したマリンカイザーに乗り込むがコックピットの中で発狂、友軍に向かって攻撃を開始してしまう。
カルド
ギネビア
反政府組織カルドの女首領。ゼルダンと密かに協力関係にあり、ゼロス奪取のためにカルドを動かす。ゼルダンに想いを寄せている。
搭乗機体:デスドール
こぼれ話
●アニメの製作はサンライズが担当した。原画担当者の中には庵野秀明もおり、短編とはいえ非常にクオリティの高い作画が楽しめる。のちに静止画で構成された2話も製作されており、紙芝居とはいえ作画のレベルはこちらも非常に高い。
●アニメにてZナイトが装備しているLMシールドは、キット付属のものとはデザインが異なる。アニメに登場しているものは、改造作例のシールドのデザインの流用である。
●学年誌掲載ストーリーには、Zナイトがギルガを倒して終了するものも存在する。
●ストーリー上でゾイドとのつながりを示しているが、なんと学年誌にはゾイドが直接登場する話が存在する。シールドライガーMk-ⅡのコアがZナイトのメタルハートと融合する描写まである。
●「7つ目の命」としてまことしやかに囁かれるキングゴジュラス(学年誌のストーリーのラスボスは確かに本機である)だが、アニメ制作時点(91年)でこれを想定していたかどうかは定かではない。6つの命=装甲巨神のうち、最終的にストーリーに登場したのは4機だけであった。