日本号

にほんごう

『天下三名槍』の筆頭に数えられる至高の槍。

概要

天下三名槍(てんかさんめいそう)の一本に数えられ、『日の本一の槍』と称えられる槍。

使い手は賤ヶ岳の七本槍の筆頭・福島正則、槍の名手として名高い後藤基次(後藤又兵衛)が有名。

元は皇家所蔵の名品で、槍でありながらその出来の素晴らしさから正三位の地位を与えられた。

のちに皇家から足利義昭へと下賜され、それが織田信長、豊臣秀吉と巡り、秀吉から福島正則へと渡った。その後、黒田如水の部下が正則から受け取り、朝鮮出兵で窮地を救われた縁から後藤基次の手に渡る。

酒は呑め呑め　呑むならば

日本一（ひのもといち）のこの槍を

呑み取るほどに呑むならば

これぞ真の黒田武士

日本号が福島家から黒田家に渡った逸話として、上記の『黒田節』が伝えられている。

あるとき、福島正則の下に黒田如水からの使いで母里友信(もりとものぶ)という武将が訪れる。当時泥酔していた正則は友信に酒を進めるも、遣いである身の上で辞退されてしまう。

そこで正則は「この酒を飲み干せば何でもやろう」と豪語し、さらに黒田武士(黒田領下の武士)に対して難癖をつけ、友信を挑発して見せる。さすがの友信も黒田武士を侮られは黙ってはおれず、この勝負に乗り、見事に何杯もの大盃に注がれた酒をすべて干してみせた。

そして友信が所望したのが天下の名槍たる日本号であり、正則も「武士に二言はない」と約束通りに日本号を授けたという。

この出来事は黒田武士の男意気を示す逸話として後世に伝えられ、現在も民謡『黒田節』として広く知られるようになった。

ちなみに、この話をその名の由来とする黒田武士という日本酒も存在する。