概要
エイトメロディーズは『MOTHER(以下、1)』と『MOTHER2 ギーグの逆襲(以下、2)』のそれぞれで全く異なる旋律で構成された全く違う楽曲として2曲存在し、ゲーム中に存在する趣旨もまた異なっている。ただし、どちらにおいても主人公たちに冒険のキーとなる大きな力を与えるという点においては変わらない。
エイトメロディーズと言うように、この曲は8つの旋律から一体を成しており冒険の中で全ての旋律を集めなくてならない。ただし両作とも取得する順序に決まりはない。
音楽をも魅力とするMOTHERシリーズにおいて、エイトメロディーズはいずれも作品を代表する名曲として知られている。
『MOTHER』のエイトメロディーズ
今作のエイトメロディーは、冒険の行く先々で出会う様々な物や生き物が所持している。
メロディ
・人形
主人公の家にあるキューピー人形。中に隠されたオルゴールがメロディを奏でる。
・カナリアのローラ
カナリア村に住む♀のカナリアで、ヒナを渡すことでメロディを歌う。
・サル
シュークリーム動物園の名物である歌う猿。
・ピアノ
幽霊屋敷の最奥部にあるピアノで、ひとりでにメロディを奏でる。
・サボテン
広大なアドベント砂漠の真ん中でポツリとたたずむ顔のあるサボテン。
テレパシーを使うことでメロディを受け取れる。
・ドラゴン
マジカントの地下大河に住むドラゴンで、メロディの書かれた楽譜を持っている。倒すと楽譜をくれる。
・イヴ
主人公の曾祖父が遺した大きなロボット。内蔵されたメモリーチップが途切れ途切れにメロディを流す。
マジカントを治める女王。
メロディとストーリー
幻想の国マジカントを治める女王クイーンマリーは、長らくこの歌を思い出せずに悩んでいる。
マジカントの町はずれの一軒家に住むギター弾きは、全てのメロディの在り処を示唆する歌を知ってか知らずか作詞曲し主人公たちに聴かせてくれる。歌詞は以下の通り。
キューピーにんぎょう なぜなくの
それは カナリアが なくからよ
サルが うたえば ピアノもうたう
ピアノは おばけが ひくのかな
さばくのサボテン さみしそう
ひとりで よなよな うたってる
ドラゴンたおれて おんぷがのこる
イヴが さいごに うたうとき
クイーンマリーに じかんが もどる
音楽を集めなくてもストーリーは終盤まで進める事が可能であるが、全ての旋律が集まってエイトメロディーズが完成していないとラスボス戦には望めないようになっている。
メロディの真実
実はこの歌は、かつて行方不明になったニンテンの曾祖母のマリアが幼き日のギーグに子守歌として歌っていた歌であった。なぜ分割され地球のあらゆる場所に隠されていたのかは明かされていないが、この歌はギーグを倒すのには必須となる、いわば地球を守る力を持っていた。イヴの中のメモリーチップにも旋律が隠されていた点から見るとメロディの分割等は、前々にジョージがギーグに悟られぬよう計った結果とも解釈できる。
この歌を思い出したクイーンマリーは真の自分を思い出し全てをニンテン達に打ち明けると、夫のジョージの待つ場所へと自らの意思が作り出したマジカントと共に掻き消えてしまう。
また、覚えたメロディはマジカント内で入手できるきぼうのオカリナを使う事でマジカントが消えた後でもいつでもどこでも奏でる事ができる。
◆「きこえたかい?」
現実的な話
1のエイトメロディーズの作曲は鈴木慶一及び田中宏和の連名である。
またサントラには歌詞が付けられ編曲されたバージョンが収録されており、本作のCMでも使用されている。トラック名は『Eight Melodies』表記。また今作のエンディングも、エイトメロディーズを基にした曲となっている。
また小学課程の音楽用教材として教育出版株式会社が発行した教科書『音楽 6』には、“楽しい合奏”として今作の楽譜が収録されている。さすがに歌詞は収録されていない。ごりごりの英語だし。
『MOTHER2 ギーグの逆襲』のエイトメロディーズ
おまえのばしょと呼ばれる8つのパワースポットに秘められている。
メロディ
・ジャイアントステップ
大きな足跡のある場所。
・リリパットステップ
小さな無数の足跡が付けられた場所。
・ミルキーウェル
ミルクのような水が無限に湧き出る泉。
・レイニーサークル
絶えず雨の降る場所。
・マグネットヒル
強力な磁力を発する場所。
・ピンククラウド
乗ることのできる桃色の雲。中心部の渦が核心。
・ルミネホール
人の心を文字として映す光苔が繁殖する洞窟。
・ファイアスプリング
溶岩の溢れ出る洞窟。マグマを噴出する小さな火山が核心。
メロディとストーリー
今作は、メロディ集めと言うよりはパワースポット巡りと言った方が大まか正確である。
今作のメロディの存在意義は前作の物とは大きく異なっており、あくまで精神的な存在にすぎず実際に何かから奏でられるものではない。しかしメロディは、ブンブーンから託されたおとのいしに吸収され前作のメロディより遥かに大きく主人公に干渉をもたらす。
全作と同じくメロディを集める順序は決まっていないため、ストーリーを進めながら合間合間にメロディを取得する形でストーリーは流れる。序盤にブンブーンから渡されるグレートなアイテムおとのいしにメロディを集める事が可能で、額に当て意識を集中することで主人公だけはいつでもメロディを聴く事ができる。
前作にいたギター弾きのような立ち回りとして、今作では地底大陸にそびえる一つの岩がメロディの在り処(パワースポットの場所)を教えてくれる。
メロディの真実
8つのパワースポットを全てめぐり、全てのメロディを蓄えたおとのいしは主人公をマジカントへと導く。
今作のマジカントは前作と異なり、主人公自身が作り出した世界である。主人公を育てた物や、思い出に残る物。ママや妹のトレーシー、そしてポーキー・ミンチといった彼の成長に大きく影響を与えてきたと思われる人物たちが暮らしている。中心部には、エデンの海と呼ばれる宇宙の心理に触れる事が可能と言われる禍々しい場所があり、最奥部には邪悪なる自己であるネスの悪魔が立ちそびえている。
おとのいしで全ての旋律を聴くことができるのはこのマジカント内のみであるわけだが、前作のメロディは主人公の曾祖母が遺した物であって、主人公とは直接的な関わりを持っていたわけではない。総括的な話をすれば、前作の主人公はあくまで代理で地球を救った部分が大きいために、内面の描写などもほぼ存在していなかった。その点今作においては、一に主人公の成長の物語が主軸となっている部分が非常に大きい。主人公は行く先々のパワースポットで自らの出生から幼き日の自我の芽生えまでを垣間見ており、最後パワースポットは主人公を飛躍的にパワーアップさせる。
そのように見て今作のエイトメロディーズは単なる音楽と言うよりは、それと偏に言えるわけではないが主人公の成長の記憶を音楽的に表したものに近いと言えるのではなかろうか。
メロディを蓄えたおとのいしは、マジカント消滅と共にネスのもとからは消えてしまう。しかし、それは消えてしまったというよりネスの中に秘められたという解釈の方が正しいとするならば、彼は彼自身を改めて自分のものにしたのである。
ブンブーンがネスにおとのいしを授ける時にパワースポットについて「お前のパワーを揺り起こし、強めてくれる」とのみ語っていた。つまりパワースポットから彼が手にした8つの旋律と力は、誰から与えられたという物ではなくて、そもそも彼自身が既に持っているものだったと言えるのだ。
現実的な話
くらえとばかりに話が脱線したが、2のエンディングは前作のエンディングと同じくエイトメロディーズを基にして作曲されている。作曲は前作と同じく鈴木慶一と田中宏和が担当した。
また今作のエンディングは『SMILES and TEARS』というタイトルで糸井重里が作詞した公式の歌詞も存在している。
その後
『MOTHER3』のエンディング曲『16melodys』は、1と2のエイトメロディーズが織り込まれた曲となっている。また3ではメロディ集めといった要素は存在しない。
『スマブラ3DS/WiiU』で新規に追加された楽曲『SMILES and TEARS』は峰岸透による編曲が施されており、各所に1のエイトメロディーズが組み込まれている。ステージ『マジカント』で使用される。