概要
任天堂で発売されたRPGシリーズで、全3作から成り立っている。コピーライターで有名な糸井重里がゲームデザインを手がけており、独特のユーモラスで且つ大量のテキストやすっとぼけたキャラクター、世界観で繰り広げられる壮大な物語が特徴となっている。
特に舞台設定は『MOTHER』と『MOTHER2』は現代的世界であり、現実世界すなわちアメリカ等を意識した世界観であるのが特徴。『MOTHER3』は前者2作とまた異なり開拓時代に似た雰囲気を持つ。
3作でそれぞれ趣きがかなり異なるが、『PSI』という超能力が使える主人公の少年が冒険をするという点は共通している。
糸井によると、マーケティングの上に成り立った美麗なグラフィックと壮大な世界観のRPGを“父性的"なゲームと位置づけ、それらに対するアンチとして敢えてプレイヤーに想像の余地を多く残す“母性的”なゲームを目指したと公言している。 それまでのRPGとはかけ離れた世界観や雰囲気に魅了されたプレイヤーが多く、伊集院光や柴咲コウ、太田光、星野源など有名人にもファンが多い。
一時は、プレイ時に必要なハードとソフトの減少に伴いプレミア化した作品となっていたが、現在ではシリーズ全3作ともバーチャルコンソール版が配信され対応ハードさえ買えばプレイ出来るようになっていた。
しかし1と3は現役ハードを退いたWiiUのみでありニンテンドースイッチへの移植を望む声も少なくなかった。
2022年2月10日に放送されたニンテンドーダイレクトにてNintendo Switch Onlineにて『MOTHER』と『MOTHER2』が同日配信開始と紹介され遊べるようになったものの、2023年3月28日にバーチャルコンソールの新規購入が不可能になり『MOTHER3』だけはGBAの中古を購入かバーチャルコンソール版が入っているWiiU本体の中古を譲ってもらうしかなくなった。
翌年の2024年2月21日より『ゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Online』で配信開始となりシリーズ全作品が同じハードで遊ぶことが可能になった。
なお、本シリーズは全3作で既に完結している為、今後続編が作られる予定は無い。
ゲームシステム
特徴としては、多くのRPGにあるフィールドマップではなくオープンワールドに近いスタイルとなっている。また、建物内も俯瞰よりはサイドビューに近い方式を取っている。
世界観もそれまでのRPGに於いて一般的だった剣と魔法の世界ではなく、現代社会をモチーフにしている。但し『MOTHER3』は少々異なる。
戦闘においても一般的なRPGでは敵を倒すと"~をたおした"が多い中、本シリーズでは"~はわれにかえった"や"~はかききえた"、"~はおとなしくなった"、"~はポンコツになった"と比較的マイルドな表現になっている(似たような物では『桃太郎伝説』の"こらしめた"に近い)。
また、武器も一部を除いては本来は武器として使われない物が多い。
作品一覧
MOTHER
1989年7月27日から発売されたFC専用ソフト。当時のRPGでは珍しかった1980年代のアメリカが舞台という点や斜め移動、当時のハードでは膨大なマップ量など斬新な設定が散りばめられている。
後に、2003年6月20日から『MOTHER1+2』としてGBAに移植された。
2015年には、国内版と未発売となった海外版『EarthBound Beginnings』と共にWiiUでVC版が2023年3月28日まで配信された。
更に2022年2月からNintendo Switch Onlineで配信開始。
MOTHER2 ギーグの逆襲
1994年8月27日から発売されたSFC専用ソフト。前作との繋がりは特に無いものの、その作風を受け継ぎつつ新ハードでの多彩な表現によって本シリーズならではのコンセプトを確立させた。
後に、こちらも『MOTHER1+2』としてGBAに移植された。
2013年にはWiiU、2016年にはNew3DSでVC版が2023年3月28日まで配信された。
また、1995年6月5日から『EarthBound』として本シリーズ内で初の海外版も発売された。
更に2022年2月からNintendo Switch Onlineで配信開始。
MOTHER3
2006年4月20日から発売されたGBA専用ソフト。前作の続編となっているが、開発時点で世界観や物語などで前2作から大きく異なる展開が話題となった。
2015年には、WiiUでVC版が日本のみで配信が開始され上記にもあるとおり2023年3月28日に終了したが翌年の2024年2月21日より『ゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Online』で配信開始。相変わらず日本限定であり、海外で落胆するものも居るらしい。
キーワード
全作品で登場する超能力の名称。他のRPGで登場する『呪文』や『魔法』と同じ物と考えると分かりやすいだろう。
一部の技は作品ごとに違う効果が見られるが、主に攻撃・回復・アシスト・その他の4つに分類されている。使用時には" ◯◯◯◯(キャラ名)は ****(技名)を こころみた! "と表示され、PP(サイコポイント)を消費して発動する。
『MOTHER』ではFC版『ドラゴンクエスト』(『DQ1』〜『DQ4』)のようにシンプルな演出だったが、攻撃PSIに限っては属性別にSEが用意されて差別化されていた、『MOTHER2』以降からはハードの進化に伴い独特のエフェクトもつくようになり、SEの種類も増え『MOTHER』とは違い上位の物を使えば別のSEが使われるようになり豊かになった。
- SMAAAASH!!
全作品で登場するクリティカルヒットの名称。元々の英語表記では"smash"で"強い力で粉々に打ち壊す"という意味を持っている。
発動すると独特のSEと共に、大ダメージを与える。
全作品で登場する丸型のバッジ。但し『MOTHER2』でのみ名称が「フランクリンバッジ」となっている。不思議な力があり『MOTHER』では「PKビームγ」、『MOTHER2』及び『MOTHER3』では雷を跳ね返す効果を持っている。
全作品で登場する回復アイテムで、その名の通りイチゴ味の豆腐。『MOTHER』では高額な割に回復量が低く、冒険のヒントを聞くためだけのアイテムという印象が強い。『MOTHER2』では一品物であまり活躍しなかった。『MOTHER3』で市販品に戻るも値段は良心的、回復量は大幅アップと、ようやく回復アイテムらしくなった。
全作品で登場するアイテム。但し『MOTHER3』でのみ名称が「えんぴつロケット」となっている。敵にダメージを与えられる小さなロケット。『MOTHER』ではロイドのみ、『MOTHER2』ではジェフのみ、『MOTHER3』ではパーティ全員が使用出来る。
なお、『MOTHER2』のみ上位版の「ペンシルロケット5」と「ペンシルロケット20」も登場するが、両者共あまりにも高火力で殆どの敵を瞬殺出来るバランスブレイカーとして有名になっている。
『MOTHER』と『MOTHER2』に登場する重要なメロディ。両作品では、旅を通して各地のスポットに存在する音を集めるのが大きな目的となっている。
なお、途中で何処まで集めたか聞きたくなった場合は『MOTHER』では「きぼうのオカリナ」、『MOTHER2』では「おとのいし」で確認する事が出来る。そして、終盤に8つ全てが揃い1つのメロディが完成した時……きっと何かが起こるだろう。
大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ
『ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ』から『MOTHER2』のネス、『大乱闘スマッシュブラザーズX』から『MOTHER3』のリュカがファイターとして参戦している。
また、『大乱闘スマッシュブラザーズDX』以降の作品ではステージ、BGMが採用されている。キャラクターもフィギュア・シール、アシストフィギュアなどのアイテムで出演している。
更に、『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』では各作品で何名かがスピリットとしても登場している。
余談
- 『週刊少年ジャンプ』の代表作の1つ『銀魂』で2013年に連載された第416訓『鼻の穴のデカイ奴は発想力もデカイ』(アニメ版では2015年に第274話で同題を放送)では、いつまでも終わらない状況が続く現状を打開するアイデアを考えた際に『MOTHER』の宣伝ポスター画像を坂田銀時と志村新八、神楽が弄っているシーンがある。
- MOTHER2のSFC版発売の6日後に『LIVEALIVE』というRPGが発売されているが後にWiiUで共に初VC化(配信開始年は異なる)を果たしたり、New3DSで同年にVC化したり、2022年2月10日に放送されたニンテンドーダイレクトにてNintendoSwitchOnlineにてMOTHER2配信開始の傍らNintendo SwitchでHD-2Dリメイク版が発表されリリース日こそ離れているが同年に同じハードでリリースされ遊ぶ事が可能になるという奇妙な偶然が2回ほど重なった。(HD-2Dリメイク版は海外では任天堂発売の予定)
- 日本では殆ど知られていなかったが、海外で『EarthBound』が発売された頃は古臭いグラフィックのRPGとしての印象が強く、あまりヒットしなかった。
- しかし、ネスが初代の『スマブラ』に参戦した事で「このキャラクターは一体誰なんだ?」と話題になり、後に『EarthBound』の主人公であると判明して以降は海外でも再評価されファンが増えたと言われている。一方、日本ではサムスがこのようなパターンになっていたらしい。
- 2020年4月30日に始動した『ほぼ日『MOTHER』プロジェクト』で、様々な企画の実施や本シリーズの文章を収録した書籍が同年の年末に発売予定である事が明らかになった。
- 第1弾では、本シリーズの公式トリビュートコミック『Pollyanna』が同年6月12日に発売された、第2弾はフランクリンバッヂやどせいさんタオルなどのオリジナルグッズである。
- 同年11月2日にて、コロコロオンラインで「MOTHERのお店」の告知が行われた、大阪と東京で期間限定で開催予定とのこと。
- NHKで2024年3月13日に放送された番組『ゲームゲノム』にて糸井は離婚父子家庭で育ったことと、ほとんど母親の事を知らないことを明かし、『MOTHER2』で(恐らく『MOTHER』も)マイホームにいつでも主人公のママがいるのは、無意識に過去の理想像や欲しかった幸福を投影したのかもしれないと述べた。
同番組は『MOTHER2』がテーマだったので言及しなかったが、『MOTHER』と『MOTHER2』が過去の理想像ならば『MOTHER3』は実体験の投影だった可能性がある。
関連タグ
メインタグ
ニンテン ロイド(MOTHER) アナ(MOTHER) テディ(MOTHER)
ネス ポーラ(MOTHER) ジェフ(MOTHER) プー(MOTHER)
リュカ(MOTHER) クラウス(MOTHER) フリント ヒナワ
スマブラ 大乱闘スマッシュブラザーズ 大乱闘スマッシュブラザーズDX
大乱闘スマッシュブラザーズX 大乱闘スマッシュブラザーズfor
フランクリンバッヂ いちごとうふ ペンシルロケット どせいさん
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その他
MURDER2:※グロ注意
女神転生シリーズ:こちらも現代社会・特に東京を主にした世界観を持つ作品が多い。
ファイナルファンタジー7:シリーズの中でも現代っぽい世界観(どちらかと言えばスチームパンク寄り)であり、登場人物それぞれに専用の武器、鎧ではなく腕輪といったアクセサリーが防具と似たところがある。
ポケットモンスターシリーズ:当初はMOTHERの弟分的な性格もあった作品。
外部リンク
MOTHER
- MOTHER (『MOTHER1+2』公式サイト)
- MOTHER | Wii U | 任天堂
MOTHER2
- MOTHER2 ギーグの逆襲 (公式サイト)
- MOTHER2 (『MOTHER1+2』公式サイト)
- MOTHER2 ギーグの逆襲 | Wii U | 任天堂
- MOTHER2 ギーグの逆襲 | New ニンテンドー3DS | 任天堂
MOTHER3
- MOTHER3 (公式サイト)
- MOTHER3 | Wii U | 任天堂