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多層式宇宙空母

たそうしきうちゅうくうぼ

『宇宙戦艦ヤマト』シリーズに登場する、ガミラス帝国の宇宙空母。別名『三段空母』として親しまれている艦船である。『宇宙戦艦ヤマト2』『新たなる旅立ち』『宇宙戦艦ヤマトⅢ』に続けて登場する、ガミラス時代の空母としてはメジャーな存在と言える。またリメイク版『宇宙戦艦ヤマト2199』では『ガイペロン級多層式航宙母艦』として登場した。

概要

宇宙戦艦ヤマト

 『宇宙戦艦ヤマト』で初登場したガミラス帝国の宇宙空母。正規名称は『多層式宇宙空母』なのだが、前方に突き出た甲板が3枚あることから『三段空母』として親しまれ呼ばれており、ヤマトファンからも人気のある空母である(実際は最上甲板を合わせて4枚なのだが、そこは敢えて突っ込むまい)。因みに、プラモデル商品のメカコレでは『デスラー三段空母』と呼ばれている。

 甲板を4枚持つことから、旧日本海軍の空母『赤城』(改装前)を感じさせるデザインである。さらにアングルドデッキを最上甲板の左舷に取り付けている。飛行甲板を多層式にすることで発艦の時間を短縮することが可能であり、極めて有効的な設計であると考えられる。その一方で艦内への被弾率は非常に高いと言え、真正面から攻撃されようものなら一気に爆沈する事も有り得る(宇宙戦艦ヤマト2199の七色星団では、その致命的構造が露わになった)。

 また武装に関してはそこそこの火力を有しており、三連装ビーム砲塔を6基装備している。一方で対空火器は四連装機銃が8基装備しているが、射角が真横のみであるが故に、上下と前後方向には対応できない欠点を抱えている(ただし、三連装砲塔はその死角をカバーできている)。

 本艦の登場回数は駆逐型デストロイヤー艦に次いで多い物と思われる。『宇宙戦艦ヤマト2』や『新たなる旅立ち』に登場しており、さらには『宇宙戦艦ヤマトⅢ』でも回想の中で登場を果たしているなど、ガミラス艦隊の航空戦力として一角を担い活躍を続けてきた名鑑と言えるだろう。

宇宙戦艦ヤマトⅢ

 こちらではガルマン・ガミラス帝国が設計し建造した三段空母が存在するが、劇中には未登場のままであった。なお、二連三段空母の設計元とも考えられ、このガルマン三段空母を2隻繋げた結果が二連三段空母であると推測できる。

ゲーム版

 PS2版『宇宙戦艦ヤマト イスカンダルの追憶』では「ガミラス多層式空母級」とされ、リデザインを施されている。そのため、箱型の印象が強かったオリジナルに比べて、スマート感が付け加えられている。使用が可能なユニットとなっている。入手可能なのは3隻までで、七色星団の様に三色のカラーリング分けられている。対艦兵装と対空火器も備えているために艦隊戦にも使用可能。ただし速力が低いので艦隊の足を引っ張るのが難点である。

宇宙戦艦ヤマト2199

 『ガイペロン級多層式航宙母艦』としてリデザインされて登場した。ガミラス艦隊の主力空母としては採用年度が長いようで、建造時期によって外見に差異が生じているのは、オリジナルに無い設定であった。七色星団に登場した3隻でそれを表現されており、アングルドデッキのない初期型『シュデルグ』、アングルドデッキを付けられた中期型『ランベア』、艦首先端に索敵機器を追加した後期型『バルグレイ』が登場した。

 リデザインによって、細部に渡り細かい表現が加えられた。最下層甲板は後部の着艦用甲板と繋がっており吹き抜け状態となっている他、艦橋に回転するレーダー2基が付けられたり、アングルドデッキで発艦する際には左舷側のレーダーが懸架式で折り畳むことが可能、等といった設定も盛り込まれている。

 上部の3段(第1、第2、第3甲板)を発艦専用として使用し、最下段(第4甲板)を着艦専用として(緊急時には発艦も可能)で使い分けられている。昇降機は3基ある他、電磁式カタパルトが各飛行甲板に2基ずつ設置されている。着艦時には第4甲板の後部から進入し、トラクタービームで減速させる仕組みとなっている(描写は無かったが)。

 こういった構造上の関係で格納庫は無く、機体は慣性制御された各甲板上に繋留されている状態である(第2甲板であろうと第3甲板であろうとも、真正面からは駐機した艦載機が丸見えである)。飛行甲板の側端には発艦の可否などが映る表示パネルがあり、カタパルトの後方にはブラストディフレクターが備わっている。

 またその構造の脆さが見事に表現されており、七色星団では当たり所の悪さも有ったにせよ、『バルグレイ』が艦載機のミサイル4発で撃沈されてしまう例も見られた(2発が真正面から艦内へ飛び込んでいる)。

宇宙戦艦ヤマト

多層式宇宙空母

  • 全長、200m (180m説もある)
  • 全幅、62.5m
  • 自重、48000t
  • 武装

・三連装フェーザー砲 × 6基

・四連装対空パルスレーザー砲 × 8基

  • 搭載機数、60機

・第1空母、ドメル式DMF-3型高速戦闘機

・第2空母、ドメル式DMB-87型急降下爆撃機

・第3空母、ドメル式DMT-97型雷撃機

  • 艦長

・第1空母、ゲットー

・第2空母、バーガー

・第3空母、クロイツ

性能

 攻撃性能において、本艦自体は戦闘艦として見るに、三連装主砲6基に対空火器8機と、十分な火力を有している。ただし空母としての性質(弾薬を満載していること等)を踏まえた場合、直接の砲火には交えない方が賢明である。艦載機の搭載数は全長に比して60機と大きな規模を誇っている(初代は不明確だったが)。多層式を生かした短時間による出撃が可能であるなど、空母としては極めて能力は高いと思われる。

 防御性能において、空母である故に貧弱であると考えられる。躊躇な例として、七色星団で誘爆してしまったことがある(が、如何せん巨大な艦船の破片が激突してきたものだが)。どの道、爆薬や燃料を積み込んだ空母は、一度火がつけば手を付けられないのは想像に難しくは無い。また暗黒星団帝国との戦闘では、魚雷2発で海中に没するなど弱さも目立った(これまた構造上の問題であろうが)。

 航行性能において、目立った描写は無い。とはいえ、空母である以上は前線に出る必要はないので、あまり関係ないかもしれない。

経歴

宇宙戦艦ヤマト

 初登場を果たしたのは、七色星団の直前でのこと。ドメルが機動部隊として招集して集められたのが、戦闘機ガミラスファイターを乗せた第1空母(緑色)、急降下爆撃機を乗せた第2空母(紫色)、雷撃機を乗せた第3空母(水色)の3隻だった。精鋭と呼ぶに相応しい空母のようで、各戦線で勇戦を繰り広げていた模様。

 七色星団において、各部隊は作戦に沿ってヤマトを攻撃。特に合同訓練もしていないにも関わらず見事な連携で追い詰めて行った。第1空母のゲットーはブラックタイガー隊を引き付け、第2空母のバーガーは瞬間物質移送機でヤマトの頭上から奇襲しレーダー等を破壊。第3空母のクロイツも奇襲攻撃を敢行してヤマトの戦闘能力を大きく奪っていった。

 だが終盤戦に入り、ドメルがドリルミサイルの自爆を待たずに接近し、戦闘空母の砲撃戦を選んだのが運命を定めた。ドリルミサイルが逆転し、密集していたドメル機動部隊の戦闘空母に直撃した。その際に轟沈を辿った戦闘空母が進路をずらして、そのまま第1空母に激突し巻き添えに轟沈させる。さらに第2空母、第3空母も、業火に包まれた僚艦の破片が直撃した事で大爆発、纏め轟沈してしまい、先ほどの優勢は何処へやら、一瞬にして戦闘空母も含めて3隻の多層式宇宙空母も宇宙の塵となってしまった。

宇宙戦艦ヤマト2

 特に目立った活躍はないものの、残存ガミラス艦隊の空母として一角を担っていたと思われる。しかし、作中で艦載機を飛ばしている所は確認できず、バンデベルの戦闘空母が急降下爆撃機を発艦させているだけであった。

 また雷撃機も登場こそしていたが、多層式宇宙空母が発艦させたのかは不明であるものの、他には考えられないので恐らくは当艦が発艦させた可能性が高い。最後の決戦において、デスラーが座乗艦を放棄して退艦する際、旗艦の移設先として第1空母が選ばれる。この空母の甲板に引かれているラインは2本あり、前回登場した物とは違うラインの引き方をしていた。

新たなる旅立ち

 劇中に3隻登場したが、全て緑色に塗装されている。しかし本格的に艦載機を発艦させたのは最後のゴルバとの戦闘のみ。空母でありながら、ガミラス星では採掘作業中にあった暗黒星団帝国の艦隊に突撃。乱戦状態にありながらも3隻とも無事に生還した。

 だがデーダー率いる本隊の奇襲を受けた際に、1隻目が犠牲となる。無防備な背後を突かれ、飛行甲板に次々とビーム砲が命中し轟沈。2隻目はイスカンダルの海上で、芋虫型戦闘機の雷撃を受けて2発で轟沈、海中に没した。

 残る1隻は、ゴルバ戦で急降下爆撃機を発艦。戦闘機ではないにせよ、戦闘ヘリコプターとの激しいドックファイトを展開した。しかし、ゴルバからの直接攻撃によって艦載機は全滅し、空母も豪雨の様なビームとミサイルの嵐を浴びて轟沈、その際に隣接していたデスラー戦闘空母に衝突する事態を引き起こした。

宇宙戦艦ヤマトⅢ

 暗黒星団帝国との戦闘で一度全滅したガミラス艦隊だったが、他の宙域にいた部隊を糾合したのが数を増やしていた。その中には多層式宇宙空母も含まれており、まだ何隻か残されていた様である。これら空母は、ガルマン星の解放に尽力を突くして戦い、その後もガミラス艦隊の航空兵力として活躍を続けたと考えれる。

 ガルマン・ガミラス帝国建国後は、その姿を見せてはいない。劇中に登場こそしなかったが、ガルマン三段空母が就役した事に伴って、主力空母としての座を譲って退役した可能性が高い。或いは辺境の警備艦隊等に配属されたとも考えられる。

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