概要
鄭大均、野村旗守や山野車輪などの一部の論客によると、戦後の混乱に乗じて乱暴狼藉を働いたとされている「在日」が後から大勢押入って来て、『俺達は戦勝国民だ、おまえら被支配者の敗戦国民が座って支配者様を立たせるとは生意気だ、この車両は朝鮮進駐軍が接収するから全員立って他の車両へ移動しろ、愚図愚図するな!』と追い立て、鳩山が、我々はきちんと切符を買って座っているのにそりゃおかしい、と一乗客として穏やかに抗議したら、たちまち大勢飛び掛かって袋叩きにして大ケガを負わせた、と言われている一応の引用元。
上記のエピソードの出典先は、概して鳩山の自叙伝とされているが、実際、引用元と思われる書籍(『鳩山一郎回顧録』文芸春秋新社1957.10.20初版)によると、彼らと出会ったのは静養中ではなく、選挙の遊説中であり、乗車していた路線は東北本線であり、暴行を受けたのは鳩山とは全く関係のない別の老人男性である。なお、鳩山は付き添いの秘書の勧めで、車内から命からがら逃げ出すことができたために無傷で済んでいる。また、本文によると、列車内に乗り込んできた集団は(戦勝国である)中華民国人に引き連れられた第三国人(日本の植民地であった台湾の人、朝鮮の人など)である(参考リンク)。また帰りにも朝鮮人が列車を占領して駅長に向って「この列車は朝鮮人だけに限ると声明しろ」と強談判している。との記述があるが、この件に関しては経緯が記載されていないため不当な目的であるかは(朝鮮人の帰還事業目的である可能性も否定できないが、昭和20年の11月の出来事であるため、GHQが彼らを難民として帰国を推進させている時期にあたる)不明である(斜体部分は上記リンクより引用)。
内容もまったく異なるため、まったく別の話だったのか、別の内容を組み合わせたものかもしれない。
実際にこの話の引用は「このサイトによると日本会議宮城県支部HPの掲示板のログ」と記述されており、現在ソースが確認不能であり、信ぴょう性が低い。
そもそも「朝鮮人愚連隊」が居たのは事実にせよ、日本人や台湾人の愚連隊も存在しており、彼らもそれぞれ騒動を起こしていた背景を考慮すると、競合組織が存在する以上、『進駐軍』に擬せられる程の大規模犯罪組織に育ち得るとは考えにくい。
在特会などのように実在説を唱える人々の中には「朝鮮進駐軍によって四千人以上の日本人が殺された」と主張する向きもあるが、安田は、肝心の日本政府にもGHQにもそれらに関する資料は残っておらず、実際にその事件で死者が出たのは在日朝鮮人側であり、実際の死傷者の数も、在特会が主張するほど多くはない、と結論付けている。
在特会などのように実在説を唱える人々の中には「朝鮮進駐軍によって四千人以上の日本人が殺された」と主張する向きもあるが、安田は、肝心の日本政府にもGHQにもそれらに関する資料は残っておらず、実際にその事件で死者が出たのは在日朝鮮人側であり、実際の死傷者の数も、在特会が主張するほど多くはない、と結論付けている。
デマが生まれた背景
しかしながらこのようなデマが流れる背景としては、朝鮮人が「日本人および台湾人の愚連隊」と異なる点があり、それは彼らの自治組織である在日本朝鮮人連盟および在日朝鮮民主青年同盟(および前身である朝鮮人の自治隊など)が、自治という名のもとに愚連隊と同様の行動を行ったことおよび、日本共産党(当時武力闘争路線の放棄はしていなかった)と連携を行ったため、GHQにより激しく活動を制限され、最終的には団体等規正令(暴力主義的・反民主主義的である団体を規制するための法律)の適用を受けたことがあげられる(ただし日本人およびその他の民族にこれらに匹敵する団体が存在しなかったかというとそれは調査不足で発見することができなかったため不明である)。
なお勘違い防止のため一応述べておくが在日本朝鮮人総聯合会は「在日本朝鮮人連盟の流れをくむ団体」であり、在日本大韓民国民団は「在日本朝鮮人連盟から分裂した団体」であり、在日本朝鮮人連盟およびこの項目の団体とは直接の関係はないものとされる。
突っ込み
ただし、このデマが出回ったのはインターネットが普及した2000年代以降であり、前述の事件は20世紀中に一般社会で顧みられることはなかった。
(コアに戦後犯罪史を研究する向きならばそうでもないかも知れないが)
むしろ、このデマの流布の背景にはインターネットの普及とそれに伴う嫌韓思潮の広まりに伴い増加したネット右翼達が情報の真偽の程度も確かめずに前述のエピソードや事件に食い付き拡散した結果、彼らの情弱ぶりが露呈しただけの事でしかない、と言うのが真相と言うべきか。
関連項目
動画
デマであるとする見解の動画は以下を参照
参考リンク
国民が知らない反日の実態 - 朝鮮進駐軍の正体 - しばしば、朝鮮進駐軍実在説を主張するのにしばしば出典先として使用されているが、上記で指摘されているように一部の文章にトリミングが施されているため、情報の真偽が確認できない部分も多いので、Wikipediaや、以下のようなその他検証サイトと合わせて参照すべし(情報の出所はきちんと自分の目で確認しよう)。
朝鮮進駐軍は事実?いやデマなのか??を検証したよ! - NAVER まとめ
『朝鮮進駐軍』の嘘 _ こんなのに騙されるアホが居るんだ 中川隆 - 阿修羅