概要
エウロペとは、テュロス(ティルス)の王アゲーノール(アゲノル)の娘。
海辺で遊ぶエウロペの可憐な姿に魅せられたゼウスは、白く美しい牡牛に変身し彼女に近づいた。
その牛がおとなしいと思ったエウロペは、撫でたり花輪を角にかけたりして遊んだ。
やがて安心した彼女は、座っている牛の背に跨った。途端に牛は立ち上がると猛然と走り出し、エウロペはしがみ付いているのがやっとであった。
とうとう牛はエーゲ海を渡るとクレタ島に辿り着いた。そしてゼウスは正体を現しゴルテュンの泉の畔で思いを遂げる。
この時のゼウスの姿を夜空に写したのが牡牛座であると言われる。
ヨーロッパ(Europa)の語源はエウロパの名前と言われ、ゼウスがエウロペの気を惹くため、眼前の大陸に彼女の名を付ける事を約束したとも…
あるいは、連れ去る際に牡牛が駆け回った地域をエウロペの名前からヨーロッパ(Europa) と呼ばれる様になったとも言われている。
しかし、実際のところ…
エウロペとゼウスの間には３人の子供が生まれ、その１人がミノスでクレタ島の大王となる。クレタ島の文明はミノス王の名を取りミノア文明とも呼ばれた。
ギリシア文明はミノア文明から多大な影響を受けている。言わばミノア文明はギリシア文明の母体であり、エウロペはミノア文明の母とも言える。
そのためギリシアでは、自分達の大陸をエウロペ(Europe)の名で呼ぶ様になった。
ちなみにエウロペの故郷であるテュロスは現在のレバノンの南西部に位置し、地中海に面している。
フェニキア人の造った最大の都市国家の一つで、紀元前1000年頃にはフェニキアの首都となった。
またアレクサンダー大王に対し、唯一抵抗したフェニキア国家でもあった。
その都市遺跡は、ユネスコの世界遺産（文化遺産）に登録されている。
