「兄者にあの女との子なんぞできたらと考えるだけで・・・胃がねじ切れるわ!!」
概要
『アルスラーン戦記』に登場する、ルシタニア王国の王弟。公爵。国軍最高司令官を務める他、宰相として内政や外交と言った全ての国務も取り仕切る有能な人物。
容貌はメディアによって異なるが、劇場やOVA版ではやや細身の体躯に神経質そうな顔つきをしている。一方のテレビ放映版(荒川氏の漫画デザイン基準)では、中肉中背の体躯に肩辺りまで伸ばした甘栗色の髪、顎鬚を生やしている。
国政等を丸投げしている兄のイノケンティス七世に変わって国政を取り仕切っていることから、実質上の最高指導者と言える。だが周りの非常識な人間(兄やジャン・ボダン、狂信的なルシタニア兵等)に振り回されてしまい、日々の苦労に苛まされている常識人かつ苦労性の気質を持つ。
そういった周りの環境に置かれつつも、自分こそ王位に就くべきだと考えている。その為、苦労を背負いながらも野心を抱える強かな人物としても描かれている。また、銀仮面卿の手助けがあったとはいえ、長大な大陸公路を超えて、マルヤムを滅ぼし、立て続けにパルスの王都エクバターナを占領する功績を立てたのはギスカールである。
しかし、アルスラーンら再起したパルス軍の攻勢や、ボダンとの確執が浮き彫りになるなど、苦労をさらに背負い込むことになる。結果としてパルスを奪還され、マルヤムに落ち延びるものの、ボダンに陥れられトライカラの城砦に幽閉されるなどの苦境に見舞われながらも、のちにトライカラ侯爵となるカステロ、コリエンテ伯爵らの助力を得て勝利を収め、最終的にはマルヤムの支配者として君臨、ギスカールI世として即位しケファルニス朝を開く。
性格
苦労性があるものの、概ね公明正大な性格と言える。また、タハミーネ諦めることができるなど良い意味での保身の能力にも長ける。それ故に、周りの兵士達からはギスカールを頼ってくる事も多い(特にイノケンティス七世の問題だが)。また、戦利品であるパルスの財宝を、ボダンらが一括して管理してしまうといった問題があり、兵士達が不満を漏らした時も兵士に対して同情している。
しかし、状況が切羽詰まってしまうと非人道的な手段に出る事もある。第二次アトロパテネ会戦では、督戦隊を編成してルシタニア兵士を脅してまで戦わせようとしており、腹心である将軍モンフェラートを驚かせた。
アンドラゴラス三世が復活した際には捕虜にされ、マルヤムへ落ち延びた途端にボダンによって捕えられてしまうなど何度も苦難にあったが、逆境に負けず歳を重ねて活力を失うどころか寧ろ活性化させるなど、野心の強さが表れている。
手腕
ルシタニアの政治と軍事の双方をこなせるほとんど唯一の人材。その証拠に、彼がルシタニアを離れた後には国内で騒動が相次ぎ内紛が発生した。
軍事面でも戦術指揮能力に長けているが、肝心の兵士達はお世辞にも強いとは言い難く(加えて弓を始めとする武具の性能も劣る)アトロパテネの戦い以降はパルス軍に尽く敗北を喫している。それでも大多数の兵力を効率的に運用して、少数兵力のパルス軍を疲弊させようとする他、的確に増援を送り出す戦術眼を持ち合わせている。
しかし、第二次アトロパテネ会戦では後がない状況故に、督戦隊と言う非人道的な振る舞いをしていることもある。
その後のマルヤムにおける、対ボダン戦の決戦ザカリアの戦いでは、戦地が湿地帯で抜かるんだ地形の状況を考慮して、軽装による編成を行うなど、状況判断にも長けている。さらにはギスカール自身も甲冑を纏って戦っており、三人のボダン軍騎士を馬上から叩き落とし強敵であった四人目の剣を部下の来援まで持ちこたえることができるなど、剣術も相応の実力の持ち主。