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「あの時の悲鳴が、今も耳について離れぬ」

cv:斧アツシ


概要編集

 田中芳樹作『アルスラーン戦記』に登場する、パルス王国の敵対国であるルシタニア王国の将軍。ギスカール公爵の副将。腹心としてファン・カリエロ男爵がいる。容貌はメディアによって異なる。1990年代に制作されたOVAアニメでは、鼻の下に髭を生やし、髪の毛はオールバックかつボブカットにしており、顔つきはやや細長い印象を与える。片や2015年に放映が始まったTV放送版では、くすんだ金髪をオールバックにし、口周りには髭を生やしており、顔つきもやや角ばった顎をしている。

 ルシタニア軍では数少ない、大軍を指揮できる有能な将軍で、戦友であるボードワン将軍共々、ルシタニア軍を指揮してパルス軍と交戦している。アトロパテネの会戦で初登場し、大敗しながらもなお勇猛果敢に突撃してくるパルス軍の強さに対して感嘆していた。

 その後、パルス王国の首都エクバターナを占領したものの、度重なる失敗や敗北、ジャン・ボダンら聖職者やボダンの私兵聖堂騎士団の蛮行が発生するなど、苦労を重ね、アンドラゴラス王との戦いでは主将を務めた戦友のボードワンがキシュワードに討たれるなど、次第にパルスの攻勢に押されて行き、最期は第二次アトロパテネ会戦でギーヴによって討ち取られる。戦死した時は穏やかな表情を浮かべていた。


性格編集

 狂信的とも言えるイアルダボート教徒が大半を占めるルシタニア軍の中にあって、かなりの常識的・良識的な人物である。また弱者に対する心配り、肉親への愛情を忘れぬ高潔な騎士でもある。公正な男としてギスカールからも信頼が厚い。

 マルヤム王国を攻め滅ぼした際、捕虜を女子供問わずに火中に投じて焼き殺した場面には将軍として立ち会っており、その時の悲鳴が耳に焼き付いてしまい、戦友のボードワンに対しても「耳から離れぬ」と呟いていた。またそのような蛮行が神の祝福を受けることは出来るのか、と疑問を呈している。エクバターナ占領後のボダンの大虐殺に対しても不快感を示し、直視しなかった。

 パルス王国王妃タハミーネに対しては関わった男を悲劇に導くことから「呪われた女」として軽蔑していた。イノケンティス七世のタハミーネへの求婚にも困惑していた。


人間関係編集

 ギスカールからは第一の副将として信頼され、平時には側近として参謀役を果たし、戦場では多くの場合本陣に控えている。戦友としてボードワン将軍や、部下にファン・カリエロ男爵などがいる。ボダンら聖職者との対立は描かれず、彼らとの関係も比較的良好だった模様。

 銀仮面卿に対しては不信感、弟を斬殺(この時は珍しくも激怒していた)されて以降は憎悪を抱く。漫画版では、ギスカールがイノケンティス七世の結婚を許容する態度を見せた時も、『銀仮面に何か吹き込まれたのでは?』と疑っていた。

アニメ版では、教会の旗を降ろす際の乱闘騒ぎは省かれてしまっており、同時に弟の死は描かれておらず、銀仮面卿との軋轢も描かれていない。


経歴編集

 アトロパテネの会戦で初登場。銀仮面卿の策を用いてパルス軍に勝利したが、残存するパルス兵の勇猛さに驚いていた。その後もエクバターナ占領の為に指揮を取る。占領後はルシタニア兵の蛮行に手を焼き、イノケンティス七世のタハミーネとの結婚宣言に愕然とさせられる。

 特にボダンによる大虐殺や医学書や文学書を含む焚書に対して、戸惑いや困惑の表情を見せており、マルヤムを滅ぼした時同様後悔の念に捕われていた様子が漫画版で描かれている。

 その後エクバターナの占領統治確立に努めるギスカールとボダンら教会の人間との軋轢が決定的になると、さらに苦心することとなる。この渦中でボダン派の騎士団である聖堂騎士団の団長ヒルディゴがギスカールから贈られた美女と同衾中に魔道士によって殺害される事件が発生し、引き続いて発生した聖堂騎士団とギスカールの手兵との衝突の中で聖堂騎士団員だった弟を銀仮面卿に斬殺される。

 その後、ギスカールを人質に脱走したアンドラゴラス三世率いるパルス軍との戦いでは、ギスカールを総司令官とするルシタニア軍の副将として参戦した。


関連タグ編集

アルスラーン戦記 ルシタニア

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