解説
主に仏教において、僧や修験者などが悟りを開くために行う、厳しい苦痛に耐える荒々しい修行法である。
ネット界隈では転じて、身を投げ出すが如き行動(ソーシャルゲームへの常軌を逸した課金等)を指すことがある。
内容
一般によく知られる主な修行として、滝行や山籠もりなどがあるが、ここではある凄絶な荒行を二つ紹介する。
大峯千日回峰
奈良県吉野山で行われている修験道の修行であり、現地の金峯山寺蔵王堂をスタートし、24㎞先にある大峯山の山上ヶ岳頂上まで登り、再び帰ってくる往復40㎞、高低差1350mにもなる山道を、16時間かけて1日で往復し、それを1000日続け合計48000㎞を歩き続けるという、下手をすれば命の危険もある凄絶極まりない荒行である。
行がはじまる5月初め頃には、下では春の暖かさでも、頂上付近に行くとまだ雪が残っていて、寒暖の差がかなり大きい。
千日と聞くと、千日間連続で回峰行をするものと誤解されることが多いが、そうではなく山を歩く時期は5月3日から9月22日までと決められており、5月3日には大峯山の『戸開け式』という山開きの儀式が行われ、9月23日の早朝に『戸閉め式』が行われる。
戸閉め式から翌年の戸開け式までは、山を歩くには危険すぎる時期となるため、その間の約4ヶ月間を目処に、毎年120日と数日を歩くのが決まりになっている。
また、はじめから入行できるわけではなく、まず百日回峰行を満行しなくてはならない。
吉野山金峯山寺の歴史上過去1300年間に、この行を満行したのはなんと2名だけである。
その内の1人、現在は仙台市秋保の慈眼寺の住職であり、著述家としても有名な大阿闍梨の塩沼亮潤氏は、後述の『四無行』も成し遂げている。
ちなみに塩沼氏は、旧皇族宮家出身の作家である竹田恒泰氏の友人でもある。
四無行
9日の間、「断食、断水、不眠、不臥(食べず、飲まず、寝ず、横にならず)」を続ける修行で、この4つがないということでそう呼ばれる。
臨む前には、通称「生葬式」と言われる浄斎の儀(心身を清らかにしておくこと)を済ませ、縁のある人々に最後の別れをした後に行に入る。
これは行を終え、生きて戻れる保証がないためであり、まさに生死をかけた行である。