解説
ミース・シルバー・バランシェ。一般には「バランシェ伯」と呼ばれている。
星団暦3030年代より頭角を現してきたファティマ・マイト(AFガーランド)。
かつての四大ファティマ・マイトの中でも不世出の天才マイトであったクローム・バランシェの養女でフェイツ公爵家の後継者であり、後に新たな四大ファティマ・マイトの一人に数えられる。
カーマントー星の労働者の家に生まれ、父親の死後、惑星ボォスのカステポーとシーブル(のちのバッハトマ)の境にあるツァイハイ自治区のメトロ・テカ・クロム鉱山に移る。そこで母も失い、反ウースー国ゲリラ首領の女性「A.T.」(アトロポス)に育てられた。
メイユ・スカ率いるゲリラ狩り部隊が攻めてきた際に攻撃を受けて負傷したところを、たまたまゲリラの下に身を寄せていた剣聖ダグラス・カイエンに助けられたことから彼に恋心を抱く。A.T.の失踪後はカイエンによってバランシェの許に預けられ、そこでマイトとしての才を見出され、バランシェの死後、モラード・カーバイトに師事した後に若くしてバランシェの名を継ぐファティマ・マイトとなる。
マイトとしては素晴らしい才能の持ち主であり、星団でも本来作成者のバランシェしか解くことが出来ない筈の46番目のファティマ『MAXIMUM』の生体コードを手計算で解答してしまうほど。
一人前になってからも師匠であるモラードからは小学生扱いされているが、モラード自身が作ったにも関わらず気づくことが出来なかったファティマ・ビルドがなかなか次のマスターを決めない理由を見抜いている他、魔導大戦のベイジ制圧戦の折には、愛するカイエンの仇であるバッハトマ軍の騎士やファティマに対しても中立的なマイトの立場から私情を挟まずに治療やメンテナンスを行ったことから、バッハトマ騎士団長のデコース・ワイズメルに「プロである」と敬意を評され信頼されている。
MHマイト(GTMガーランド)のマギー・コーターからは「あんなにいい女いない」とも評価されている。
本作の女性キャラクターには珍しく、穏健で優しく献身的な女性だが、恩人であるカイエンに対しては尋常ではない狂おしいほどの恋慕を抱いている。
そして「カイエンの子を産みたい」と願う一心から、バランシェから引き継いだ『MAXIMUM』のプログラムを完成させてアウクソーの卵巣に組み込んだ後にカイエンの精子を受精させ、その受精卵をファティマの物と置換した自らの子宮に移植するという常軌を逸した実験をカイエンに黙って勝手に行い、星団暦で初めての「純血の騎士」にして星団史上最強の超常の騎士、のちの剣聖マキシマム・ハルトフォラス(マキシ)を自分の子として産むことになる。
幼い頃からカイエンやヤーボ・ビート、アトロポスを始めとする様々な、そして錚々たる騎士やファティマ達と触れ合う数奇な運命を辿る女性である。
作中の動向
星団暦2989年、A.T率いる反ウースー国ゲリラの下で育てられる。メイユ・スカ率いるゲリラ狩り部隊が攻めてきた際に攻撃を受けて負傷したところを、たまたまゲリラの下に身を寄せていた剣聖ダグラス・カイエンに助けられ、A.T.の失踪後にカイエンによってクローム・バランシェの許に預けられる。
王立学校に通い正規の教育を受けるようになるが、数学のテストを計算機も途中式も無く一発で解答していたことからカンニング疑惑をかけられることになる。しかしこれは『マイト』の才能が開花したことによるもので、それを見ぬいたバランシェに『MAXIMUM』の理論と未完成のプログラムを託される。
2997年、モラード・カーバイトに師事し、その助手として働いていた時にワンダン・ハレー脱走事件に巻き込まれ、ハスハ・スクリティ隊が起こした山火事に遭遇する。モラード・ファティマのビルトに救われるが、ビルドがその身を炎で焼かれながらも自分を守ろうとした行動に何らかの影響を受け、立派なファティママイトになることを決意する。
3010年、ハスハ連合王国に入り、自身の子宮をファティマのそれに置換するなどマキシ誕生の準備を行う。
3030年、魔導大戦開戦後、死を予期したカイエンから懐園剣(光剣)を託されハスハ王宮からの脱出を促されるが、カイエンのパートナーを解除されたアウクソーの精神崩壊もあってすぐには動かず、王宮で負傷者の治療やファティマのケアに当たり、その後昏倒したデプレ皇子のいるスバース市に向かう。
3031年、イーストハスハにある自分の屋敷にてモラードやナトリウム・シング・桜子、サリタ・アス・ジンク、プリズム・コークスら名GTMガーランド達を迎えてアウクソーの扱いについて会合を開く。
メンテナンスに訪れたエストの護衛役としてついてきた騎士アララギ・ハイトに一目惚れされる。
3075年のハスハント解放戦の時点ではアウクソーともども王宮に監禁されている模様。