概要
霊夢が『東方深秘録』に登場した際のものである。
『深秘録』では二つ名は「!」の記号の前後の二つの節から成り、霊夢においては「神秘」と「結界の巫女」の二つが、本作における霊夢を象徴する語として関連付けられている。
「結界」とは、霊夢が幻想郷を構成する要素の一つである博麗大結界を管理する博麗の巫女である事と、さらに『深秘録』ではそれを巡って展開されるエピソードとの両者の方面から関連するものとなっている。
「神秘」の語は弾幕アクションとしての『深秘録』の前作である『東方心綺楼』においても霊夢に関連して登場しており、こちらでは霧雨魔理沙と対峙した際に魔理沙の「魔法」と対を成すように描かれている。
『心綺楼』時の霊夢の二つ名は「八百万の代弁者」。
オカルト・都市伝説
霊夢が関連したオカルト・都市伝説は「隙間女」である。物事の僅かな間から他者を見つめる存在であるところの隙間女は、広く結界の守り人であるところの霊夢とは対比的である。一方で様々な存在を内包する幻想郷にあってその境界に立つ博麗の巫女として多様な存在の隙間に立つものでもある霊夢とみるとき、その特性は類似するものとも言えるものである。
その要素は怪ラストワードの<*あんな隙間に巫女がいるなんて!*>などに特徴的に見られるが、オカルトアタックの「博麗大結界の隙間」、あるいはCPU専用スペルカードの<結界「至る所の青山」>などでもその特異な性質を見る事が出来る。
なお、空間に巨大な亀裂を発生させる様子や、その向こう側から何かを飛び出させる様は、霊夢の他に、東方Projectにおいて境界を操るとある存在をも彷彿とさせる。
「神秘!結界の巫女」の物語
『深秘録』における霊夢のストーリーにおいて、本二つ名によるステージは他のストーリーと比べて短い。
相手が展開するスペルカードなども、他のストーリーに比べて少数である。
本エピソードの構成は製品版発表前の体験版段階のものとほぼ同様で、この体験版エピソードがそのまま『深秘録』のストーリーの導入でもあることから、製品版でも同様にこのストーリーが霊夢ルートとして設定されている。
これで霊夢が主体となるエピソードはひとまず終了する。
『深秘録』では、霊夢は主に他のキャラクターのエピソード中に登場してストーリーに関与しつつも、物語の主格としては以後長らく登場しないという特徴的な展開をたどるのである。
もう一つの霊夢の物語
「神秘!結界の巫女」としてのストーリーが展開された後は、霊夢以外の他のキャラクターの視点を通して『深秘録』の物語が様々に展開される。
その過程で様々なキャラクターたちがオカルトボールを巡る一件に関わりあるいは巻き込まれ、そして各々の物語の先で霊夢ルートではシルエットでしか確認されなかった『深秘録』の異変の起点とも言える宇佐見菫子に出会うのである。
『深秘録』では霊夢以外のキャラクターたちを通して菫子と『深秘録』での異変が多角的にアプローチされるという展開をたどる。その後全ての物語を越えた先に、菫子を主格としたストーリーが登場する。
そして更にその菫子のストーリーを越えた後に、再び霊夢のストーリーが登場する。この最終盤の霊夢ストーリーこそ、『深秘録』の最後の物語である。
この際には霊夢の二つ名も「怪奇を追え!異変を終わらせる巫女」に変化する。
終盤のエピソードにおいて結界の巫女は、二つの世界と菫子をも守るべく、異変を終わらせる巫女として自ら「外の世界」へと急ぐ。
『深秘録』の物語は、「結界の巫女」である霊夢のエピソードに始まり、「異変を終わらせる巫女」としての霊夢のエピソードで締めくくられる物語なのである。
「 私は楽園の巫女 博麗霊夢である! どうあっても結界は守る!
そして人間を軽々しく死なせるもんか! 」 (霊夢、『深秘録』、「真・秘封倶楽部の決意」)