機体説明
形式番号 RX-77D。ガンキャノンの量産型として開発された機体。コア・ブロックシステムを廃止し、装甲材質はチタン合金セラミック複合材に変更する等、生産性を重視したコストダウンが図られている。
しかし、装甲自体は非常に厚く、カタログスペックでもガンキャノンを凌ぐ。
コストダウンと共にガンキャノンの実戦運用で得たノウハウが投入され、姿勢制御スラスターの増設によって宇宙空間での機動性が向上している。
両肩の240mmキャノン砲は、伸縮してバックパックに収納されることによって、近接戦闘の際に障害にならないよう配慮されている。
また、尻には砲撃時の姿勢安定用にジャッキを備えており、ガンキャノンのように腹這いにならずともある程度安定した砲撃支援を行う事が可能。
なお、RXナンバーである事から、正確には量産型ではなく「量産先行試作機」の位置付けとする資料もある。
事実、量産型と銘打ってはいるものの少数の量産に留まり、以後「ガンキャノン」名称の機体は開発の系譜から一旦途切れることとなり、本格量産機としての火力支援MSはガンタンクⅡやジム・キャノンⅡ、後にはハイザック・カスタムなどが担った(ガンタンクⅡは厳密にはMSではないが)。
実際の中距離支援機としては、圧倒的な製造数を誇る主力量産機、ジムとの共用パーツが多く量産コストに優れるジム・キャノンが量産された。
ジム・キャノンには空間突撃仕様のような「ある程度マイナーチェンジを加えたバリエーション」が確認されているのと比べて、本機のバリエーションは「塗装変更しただけのもの」しか確認されていないことからも生産数の少なさがうかがえる。
劇中での活躍
『0080』第4話において、ケンプファーの進撃を止めるべくグレイファントム所属のスカーレット隊の機体(2機)がジム・スナイパーⅡと共に出撃したが、登場した直後に撃墜されて市街地を直撃、大きな被害を出している(前述の諸設定はまったく演出に生かされなかった)。
アニメ作品での出番はこれだけ。
また、この交戦の結果を原因として、本機の量産が見送られたとする設定もあるという。
ただ素性自体は中々の物であるためか本気にもエースパイロット専用機が存在しており、漫画『GUNDAM LEGACY』では、アフリカ戦線にてMSパイロットに転向したばかりの「踊る黒い死神」ことリド・ウォルフ少佐がMSキャリアー・ライトライナーへ搭載した本機に搭乗。彼のパーソナルカラーである黒に塗装されていた。ゲーム作品などでも彼専用の黒い本機が登場することは割とよくある。
他にもゲーム『機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…』での、オーストラリア反攻作戦で活躍したホワイト・ディンゴ隊機(灰色に塗装)が登場している。
こちらは本当に量産機しか回されなかったため、ホワイト・ディンゴ隊に限らずオーストラリア戦線では重宝されたようだ。
登場MSとしての説明
デザインは出渕裕が担当。肩にデカデカと配されたブチ穴が彼の手による事を主張している。
他の「0080」登場MS同様、ガンキャノンのリファイン機らしく外観はおおむねガンキャノンを踏襲しているが、キャノン砲の収納機構や頭部の大幅な形状変更などによりガンキャノンと外見の印象を変える事に成功している。
リアル等身のガンプラはHGUC(2004年2月発売)のみ。OVAの商品展開時は発売されなかったため、ガンプラ化まで15年を要した。ワンカットだけのやられ役とはいえ、曲がりなりにもあのガンキャノンの直系の子孫なのに。
HGUCとしては古いキットゆえ、ごく最近の1/144・HGのガンプラと比べると可動域やらなんやらには不満があるがそれでもガンプラとしては十分。
ジム・スナイパーⅡと並べてやろう。