- 英語で銀行(Bank)の事。
- 競輪や自動車レースで、カーブが傾斜している競走路。
- アニメのバンクシーンの略。
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アニメで過去に使用したキャラの動きをそのまま使いまわすシーンの事を言う。手塚治虫氏が「鉄腕アトム」にて初めて採用した手法と言われている。セル画時代のアニメは一つ一つが手書きだったため、それを毎週放送するとなるとどうしても労力・コスト削減のために様々なシーンでバンクシーンが使われるのが定番だった。
2000年代に入ると手書きと比べると大幅に労力を減らせるパソコンによるデジタル作画が徐々に増えていったため、この傾向はどんどん減っていくこととなった。
しかし、この「バンクシーン」という言葉を世間一般に広めたのは機動戦士ガンダムSEEDシリーズであろう。この頃はすでにサンライズはスクライドなどアニメにデジタル作画を積極的に取り入れていた頃で、バンクに頼る必要はほとんどなくなっていた…はずだった。
上述の通り制作現場と技術に関しては何の問題もない。問題はシリーズ構成である。
当時監督の意向で素人の人間をシリーズ構成に置いてしまったせいで制作が大幅に遅延し、本編やOPではバンクシーンが大量に使われる事態になってしまった。
あまりに脚本が遅筆だったために本来なら手書きアニメでも極力新規で描かれる戦闘シーンですらバンクで埋め尽くされ、下手すれば90年代の手書きアニメ以上にバンクシーン(と総集編)が多い有様であった。
当然続編も似たような事態に陥り(むしろ前作以上にバンクが増えて悪化している)、スタッフがあまりの遅筆さにブログで怒りをあらわにした事やシリーズの合間に放送された鋼の錬金術師や次シリーズの機動戦士ガンダム00には全くバンクシーンがなかった事からもどれだけシリーズ構成に問題があったか、そのせいでどれだけ当時の制作現場が切羽詰っていたか分かるだろう。
他にも色々と理由はあるのだが、放送当時の遅筆が原因とされる余りの使いまわしの多さが批判され、それを通じて悪い意味で「バンクシーン」という概念が多くの視聴者に知れ渡るようになってしまった。
Google検索でもバンクシーンで検索をかければ関連ワード上位をSEEDシリーズ関連が占める事からも分かるようにアニメ史上においても類を見ない大惨事だったわけである。
なお、玩具販促としての傾向が強い子供向けアニメの場合は、コスト削減とは別の目的でバンクシーンの手法が現在でも使われ続けている。
子供向けアニメでバンクシーンが使われるのは基本的に「玩具化されているアイテムを使うシーン」である。こう言うシーンは刷り込みのCM効果を狙って毎回同じ映像を使うことがスポンサーから求められているので、制作現場の意向とは無関係にバンクを入れないといけない。
ヒーローもの(女性戦士含む)の変身・必殺技シーンやアイドルもののライブシーンはこのパターンの典型である。
こう言う玩具宣伝を意識したバンクシーンは毎週同じシーンを見ても飽きないだけの映像を作らなくてはいけないので、とても美麗でヌルヌル動くハイエンドなものとなる。むしろ、毎回の本編の作画がバンクシーンに引けを取らないだけの質を保つ必要があり、大きなプレッシャーとなって製作陣にのしかかる。
そしてそれだけハイエンドなバンク映像を作るコストは莫大なものとなっており、わずか15秒のCMがTVドラマ数本分の製作費用をかけるのと同じく、1分程度のバンクシーン製作にかける労力や費用はアニメの本編数話分に匹敵する。
毎回の脚本上でも必ず宣伝バンクを入れないといけない制約がつけられるため、製作に関わる総合的な手間は余計に増えており、労力・コスト削減のためのバンクシーンという考え方とは全く逆の方向にある。
スポンサーの要請だからコストがいくらかけても構わないシーンということを逆手にとって、普通のオリジナルTVアニメの製作コストではとてもできなような実験的手法をあえてこういうシーンで使うこともよくある。特に近年ではこの手のバンクシーンに高解像度かつ高フレームレートのフルCGを採用するケースが増えており、いろんなアニメスタジオのデジタル映像技術のお披露目会のような側面も出てきている。