人物
月の民ムーンレィスの女王で、ソレル家の若き当主。
コールドスリープを繰り返して数百年とも数千年ともいわれる時間を生きてきた人物であり、その実年齢は不明である。
月の民からは女王として崇められており、その絶大なカリスマ性は地球と月の間で戦闘が起こった時も、ムーンレィスを勇気づけ、希望を取り戻させる力があった。
人柄も誠実で心優しいが、一方で少しばかり世間知らずな面もあり、地球の文化に興味を抱いていた。意外と茶目っ気がある女性で、瓜二つのキエル・ハイムと二人きりになった際は服を交換し、それが2人を入れ替わるキッカケとなった。
その一方で、カリスマ性が高すぎたために地球に降下したムーンレィスには、文明に劣る地球人への差別感情や戦争の狂気、タカ派となって自分に従わなくなる者や、逆に忠誠心の高さを暴走させる者たちが多く、事態を目の当たりにするまで忠誠を妄信しており、自身の思惑に反して戦争へと招く一因となってしまった。
正暦2145年、ギム・ギンガナムとアグリッパ・メンテナーが起こした「地球帰還作戦」のクーデターにより地球への脱出を余儀なくされる。その際、自らと瓜二つの容姿を持つキエル・ハイムと出会ったことにより、時折彼女と入れ替わりながら戦争の現実と向き合い、月と地球の間の停戦に向けて奮闘していくこととなる。なお、二人の間に関連性はなく、容姿が似ていたのは単なる偶然である。
物語中盤では、月市民に恐怖を抱かせることを恐れたアグリッパの反対を押し切り、月地球双方に対し、人類の戦争の歴史である「黒歴史」を白日の下に晒す。予想通りムーンレィスはパニックとなるが、ディアナは市民に呼び掛け、冷静さと希望を失ってはならないと説き、事態の拡大を防いだ。
そして、ついにギンガナム艦隊が地球への侵攻を開始すると、ミリシャとディアナ・カウンターにこれの殲滅を命じる。物語の中で、彼女が明確な戦いの意思を示したのはこの時だけである。
戦争終結後は、キエルに女王の役目を譲り、ロラン・セアックとともに地球で生活することになった。また、それ以降、彼女は二度とコールドスリープにつくことはなかったという。これは、月の民に「生の喜び」を教えるためだとも言われている。