概要
マツダのコンパクトカー。初代の競合車種はキューブ、2代目の競合車種はフィット、3代目と4代目の競合車種はスイフトなどとなる。2代目及び4代目(現行モデル)は車両重量が全グレード1tを超えるため、維持費が若干高い。
また、2代目は3代目フォード・フィエスタと兄弟車であった。さらに初代に関しては、フォードでも「フェスティバ・ミニワゴン」という名前で発売された。
歴代デミオ
初代と2代目のメイン市場は日本であり、ファミリー向けに広々とした車室を重視し角ばったボディを持つミニバン寄りの設計であった。3代目と4代目は背の低いスタンダードなハッチバックである。
初代が開発された頃、マツダの経営は相当傾いていた。そのため、すでにあったシャーシを活用することでコストを抑えすぐに市場に送り込めるようにした。車高を153cmに抑え立体駐車場に入ることができるようにし、ライバルの日産・キューブのようなトールワゴンとの差別化を図った。かくして誕生した初代は、期待を大きく越えた大ヒット、さらにはマツダ自体も経営立て直しに成功したことで、「マツダの救世主」と高く評価された。
初代のCMには、NBAシカゴ・ブルズで活躍した名選手スコッティ・ピッペンが起用されていたが、本人が飲酒運転で検挙されたため放送中止になってしまった。後にピッペンは、当時のマツダの親会社だったフォードを通じてマツダに謝罪している。
2代目は日本国外での市場競争力を確保するため、エンジン・プラットフォームを一新した。日本国内では引き続き好評ではあったが、同コンセプトのホンダ・フィットという強力なライバルが現れ苦戦を強いられた。フィットは新技術の「i-DSI」エンジンを搭載し低燃費と低排出ガスを実現、「センタータンクレイアウト」の採用により革命的な広い室内空間と多彩なシートアレンジを実現しており、デミオは燃費とスペースユーティリティの両面で劣っていたのである。またこの代で初めてヨーロッパ市場に投入(ヨーロッパでの名称・マツダ2)されたが売上は芳しくなかった。
3代目では思い切ってヨーロッパ市場を重視した背の低いスタンダードなハッチバックに変更された。ファミリー向けだった2代目までとは異なりプライベート志向が強く、ハンドリングなどの走りを重視していた。2011年にはマツダの次世代技術SKYACTIV TECHNOLOGYを搭載したモデルが発売され、アイドリングストップ機能や電子制御式ブレーキアシストなども実装された。
現行4代目ではさらに欧州志向を強め、エンジンにディーゼルエンジンが追加されただけでなくそれをメインにして売り込んでいる。生産工場が3代目までの広島市宇品の工場から、海外向けメインの山口工場(防府市)に変更された。