概要
うつ病は精神疾患の一つ。精神疾患の中でも最もありふれたものであり、すべての人の中で7人から15人に一人は、生涯に少なくとも1度はうつ病に罹患する。
症状としては不安感、焦燥感、精神活動の低下、感情の麻痺、食欲の低下、体重の低下、不眠症などが挙げられる。ストレスや自律神経失調症などによって引き起こされることが多い。
うつ病の機序としてはセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質の関与が強く疑われているが、未だ正確な機序はわかっていない。
精神疾患のほかに器質的疾患によってうつ症状が起こることもある(橋本病など)。
精神疾患によるうつ病と器質的疾患によるうつ病では治療に使う薬が違うので、うつ病の症状が現れた時は、総合病院などできちんと検査をしないと正しい処方ができず、症状が回復しないので注意が必要である。
また、治療が必要なほど重症のうつ症状を患っている患者は、大抵自力で病院にかかることのできない状態にまで陥っているので、周りの人が気づいてあげられないと家庭の崩壊や患者の自害などの悲惨な結果を招く。
治療による経過は人により大きく異なり、再発率は高い。また、治療によりやや症状が改善した結果、自殺を起こすことがあるので(重症の場合は、自殺企図すら起こせない)、ありふれてはいるが治療が難しい疾患である。
厳重注意事項
「気分が滅入っている状態(melancholy)」と「うつ病(depression)」は、症状が似ていることからしばしば同一のものとして扱われてしまっている。
だが、前者はしばらく時間が経つと落ち着く一過性のものであり、後者は自然に直ることはないため治療を要する精神疾患であり、決して両者を混同してはならない。
また、うつ病に対する理解が低い人の中には「うつ病は甘え」という考えも持つ人もいるが、間違ってもうつ病を患う人に対してそう発言してはならない。