概要
「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」の主人公。19歳。
1年間引きこもり生活をしていたが、育ての親であるセリカ=アルフォネアに魔術で脅され、渋々非常勤講師として赴任。
当初は早く講師を辞めたい一心で適当かつ、大雑把な授業を行っていたが、システィーナ=フィーベルとルミア=ティンジェルの夢を知ってからは真面目に授業を行うようになる。
普段は適当な面を見せるが、教え子たちが危機的状況に陥ると我が身がボロボロになろうと戦い抜く。
過去
約10年前、外道魔術師によって滅ぼされた村にてセリカに発見され引き取られる。人体実験の影響なのか名前を含めた記憶を持たず、その村で起こった事件でセリカが救えなかった少年の名をそのまま与えられた。
セリカとの生活の中で家事や一般教養、拳闘などを教わるが、童話『メルガリウスの魔法使い』に出てくるような「正義の魔法使い」に憧れ、アルザーノ帝国魔術学院に11歳で飛び級入学を果たす。しかし、魔術特性という変えることのできない現実を思い知り、せめてもの成果として固有魔術「愚者の世界」を開発する。その魔術の存在すら価値なしというレッテルを貼られ卒業名目で学院を追い出されるが、帝国軍宮廷魔導師団にスカウトされる。
だが、配属されたのは帝国の敵と死闘を繰り広げることもある危険な部署「特務分室」であり、その一員・執行者ナンバー0・コードネーム《愚者》として血みどろの日々を3年に渡って送り、やがて大好きだったはずの魔術を「単なる人殺しの道具」と嫌悪するようになる。
それでも気の許せる特務分室の仲間たち、とりわけ好意を抱いていたセラ=シルヴァースの存在によって軍にその身をつなぎ止めていたが、約1年前に帝国への反逆を企てた元同僚ジャティス=
ロウファンとの戦いでセラを喪い絶望し、軍を除隊し引き篭るようになった。
能力
魔術師としての実力は学院卒業程度の第三階梯と平凡。これは彼の魔術特性「変化の停滞・停止」が一般的な近代魔術と噛み合っていないためである。本来「男性は詠唱速度に、女性は魔力容量に秀でる」というのがこの世界の通説だが、グレンの場合は普通の魔力容量と特性の影響で極端に遅い詠唱速度という、全く良い所のない組み合わせとなっている。
しかし、「魔術を研究する」魔術師ではなく、戦闘手段に用いる「魔導士」としてならば高い実力を発揮する。その理由となる彼の魔術・技術・武器については以下のとおり。
- 愚者の世界
愚者のアルカナを模した自作の魔導器を用いて発動する、グレンの固有魔術。カードの絵柄を視認するだけで起動できるその魔術の能力は「自分を中心とした一定領域における魔術起動の無効化」。
敵の魔術を封印できる反面、自分の魔術も封印されてしまい、途中解除もできないという欠点がある。しかし、以下のような魔術ではない戦闘手段や仲間との連携によって、幾度もの任務を遂行してきた。
その特性上、作中で実際に使われた回数は少なく、全く出てこなかったこともある。
- 帝国式軍隊格闘術
アルザーノ帝国軍の軍人が身につけている実戦向けの格闘術。元々グレンには拳闘の才能があったため、同レベル以上の格闘術の使い手が相手でなければ十分立ち回れる。
- ペネトレイター
魔術加工した銃弾を放つことができる魔銃。ただし、効果を発揮するのはあくまで銃弾だけであるため、それ以外はただの拳銃。
この他、軍属時代には魔術加工を施した剣や鋼糸などを使用していた。
- イクスティンクション・レイ
セリカがかつて開発した超強力な攻性魔術。発動すれば前方を光の衝撃波が駆け抜け全てを分解消滅させるというとてつもない威力を持つが、本来はとてもセリカ以外が扱える代物ではなく、グレンも「触媒+長々とした詠唱+自分の魔力容量のほとんど」という大きすぎる代価を払ってでないと使えない。
人間関係
教え子でクラス一の優等生。生真面目な彼女とは馬が合わず着任当初は互いに嫌っていたが、事件を経て信頼関係が生まれ、彼女に魔術と拳闘の早朝訓練をつけている。
教え子。軍属時代に彼女を誘拐犯から救出したことがあり、そのことを覚えていた彼女からは他の生徒・講師陣と違って最初から信頼を置かれている。また、過去にある「約束」を交わしている。
元同僚で妹分。ある事情から彼女を軍で保護しアルベルトと共にお守役をしていたが、十分なフォローをしないまま除隊して彼女を放り出してしまったことを負い目に感じていた。彼女が任務で編入してきてからは再びお守をしつつも、学生生活を通して人間らしく成長していく様子を見守っている。
元同僚。性格は対照的だが互いに信頼し合っており、事件が起こると優れたコンビネーションで事に当たる。
育ての親。日頃悪態をつくことはあるが、なんだかんだ「家族」として大事に思っている。