「人間は考える葦である」という言葉にもある通り、卓越した頭脳以外にとりえがないとされるホモ・サピエンスだが、「投げる」能力に関してはあらゆる生物の中で最も優れている。
この能力を最大限に活かし、人類を食物連鎖の頂点までのし上がらせた強力な攻撃方法が投石である。
アウトレンジから投げつけられる石や槍の前に、マンモスやサーベルタイガーといった大型動物たちはなすすべもなく絶滅していったと考えられる。
訓練を積んでいなくともこぶし大の石を全力投球すれば充分な殺傷力を実現することができる上に剣や槍とは比べ物にならない間合いを得ることができる。おまけに武器はその辺にいくらでも転がっており、剣、槍よりも調達がはるかに簡単だ。
その威力は弓矢の時代、更には銃の時代に突入して以降も簡便さと合わさって重宝されており、戦国時代には投石隊が用いられていた記録も残っている。
そして、「第三次世界大戦では何の兵器が使われるかわからない(が、おそらく核が使われる)。そして第四次世界大戦では人間は石と棍棒で戦争するだろう」とアインシュタインが警告するほど石は原始的でコストがかからず、手軽で、殺傷力を備えた武器である。
関連項目
ダビデ…まだ名もない羊飼いだった頃に、投石によってペリシテ人の巨人ゴリアテを討ち取りペリシテ軍を敗走させた。