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概要

持っている投げる事。人類最初の遠距離攻撃兵器。

「人間は考える葦である」という言葉にもある通り、卓越した頭脳以外にとりえがないとされるホモ・サピエンスだが、「投げる」能力に関してはあらゆる生物の中で最も優れている。

この能力を最大限に活かし、人類を食物連鎖の頂点までのし上がらせた強力な攻撃方法が投石である。

実際のところ、素手で投げるだけではさほど威力はないが(後述)、投石紐などの器具を組み合わせることで多大な威力を発揮した。

アウトレンジから投げつけられる石やの前に、マンモスサーベルタイガーといった大型動物たちはなすすべもなく絶滅していったと考えられる。

戦争と投石

古代ヨーロッパやオリエント地域など広い地域で用いられたが、素手で直接投げることは少なく。基本的には投石紐や投石機などを利用して投石を行った。

弓矢や弩などの飛び道具が普及すると、弾が嵩張りやすく、それなりに重いため、持ち運びに不便なことや弓矢と比べ連射がし難いことから、急速に廃れていったが、メソアメリカ地域のように弓矢と長く共存した地域もある。

日本では古代においては他国同様だったと思われるものの資料が少なく使用状況は不明である。

中世においては戦が大規模化するにつれて、山岳に築かれた砦(山城)を巡る戦闘が中心となっていったことで、弓矢による射撃戦だけでなく、(弓を扱う技量のない者たちによる)素手による投石も行われたが、活躍は限定的なものであった。

……というのも「投石に向いた手頃な石」というモノは河原でもない限り、大量に落ちているものではないからである

(籠城戦のためにわざわざ河原から取り寄せるのも効率が悪いし、対抗馬である弓矢は武士でなくても、害獣駆除の観点から生活必需品になりつつあり、民間人でも扱える人は珍しくなかった)。

なお、戦国時代には投石を専門とする部隊があったという逸話があるが、史料の誤読によって生まれたデマである。

当時の軍役の記録には、兵士として赴く際には「弓矢や槍等の自分にとって得意な武器を用意せよ」という文言はあっても、投石に関しては言及はなく、投石部隊も各合戦ごとの臨時編成が常態であった。

また、「印地の党」と呼ばれる投石のプロ集団が存在したといわれるが、彼らはどちらかといえば被差別階級、または宗教的な立場の人々であり、合戦で活躍する兵士ではなかった。

「(軍忠状や注文を主とした)史料の統計から投石による死者は多かった。」という言説もあるが、書籍の孫引きが繰り返された結果生まれた誇張である。軍忠状や注文に記されているキズやケガの内容は基本的に「合戦に勝った軍勢が、自軍の兵士のケガ人や戦死者をまとめたもの」であるため、内容の偏りが大きく、統計の数値をそのまま鵜呑みにすることはできないのである(後述)。

刑罰としての投石

投石は現代においても暴動や軽犯罪だけではなく、処刑方法の1つとしても利用されている。

それが、イスラム圏で古代より行われている石打の刑である。この刑は主に不倫や同性愛などの罪を犯した者に下される刑であり、受刑者の腰から下を生き埋めにし、それを群集が取り囲み、こぶし大ほどの大きさの石を投げつけ、受刑者を嬲り殺しにするという内容の刑である。

石打の刑で使われる石は「こぶし大の大きさ」が好まれたが、これは相手をすぐに絶命させず、長い時間をかけて多大な苦しみを与えるのに最適な大きさだからである。

このため、受刑者は数撃で死亡したり意識不明になったりするようなことは滅多になく、絶命するまで長時間の苦痛を受けることになるという残虐性の高い刑罰であることに加え、罪状によっては被害者や特定の特性を備える人々も刑の対象になることがあるため、欧米諸国からは人権侵害にあたるとして批判の声があがっている。

どうやら古代から投石刑は問題視されていたらしく、有名な聖書のエピソードに「罪の女」がある。

ある時、姦通罪で石打ちにされそうになった女をイエスは庇って「この中で罪を犯してはいない者だけが石を投げなさい」と言った所、石を投げようとしていた者は己の愚かさを反省したのか次々に去っていたというものである。(当時主流だった旧約聖書では姦通罪は重大な罪だった)

教訓に関しては諸説あり、他人を大義名分や正義感で捌く前に己の罪を省みよ」だとか、「罪を犯さぬ人間はいない」などの戒めに使われる。人は皆罪人というキリスト教の価値観が現れているエピソードである。

余談

  • 「第三次世界大戦では何の兵器が使われるかわからない(が、おそらく核が使われる)。そして第四次世界大戦では人間は石と棍棒で戦争するだろう」とアインシュタインという言葉を残している。
  • かの有名な剣豪、宮本武蔵島原の乱に参加した際に敵方の投石により、戦線離脱を余儀なくさせるほどの負傷を受けたため、創作等では揶揄されやすいが、当時の合戦では、「戦闘による負傷や戦死」は武功の一つに数えられ、勇敢に戦った名誉の証として扱われるものだった
  • 戦国時代において投石による戦死者が多かったというのは誇張であり、原因まで記録されるのは生存者のケガだけである。よほどの地位でもない限り、合戦で死んだ理由が記録されることはなかった。これは戦闘によるケガはその原因によって報酬の内容が変わるが、戦死が武功としては特別扱いであり、報酬の内容は一律だったからである。
  • 古代中国には毒を塗った石を投げつける暗殺の手法があった。

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