概要
CV:山口勝平
カイジと村岡が「17歩」で勝負している最中に乱入。軍資金の足りないカイジに、「返済できない分は身体にかけられた保険金で払う」という条件で手持ちの大金を貸し付ける。その真意は、桁外れのレートになるまでゲームを引き伸ばし、負け=破滅or死となるように仕向け、苦しむカイジと村岡を見物するためだった。決着後カイジのギャンブラーとしての才に感心し勝負を持ちかける。
ボンボン育ちで周囲からちやほやされながら育ったことから性格がひねくれており、父親の影響もあって人間が苦しむさまに愉悦を感じるサディストである。「保険金」として貸し付けた金をカイジが返済できなかった場合の制裁方法も「人体欠損事故ルーレット」による事故演出スナッフという常軌を逸したものだった。
中学生の頃に誘拐されそうになったとき、さんざん和也から奢ってもらっていた連中が裏切ったことがトラウマのようになっており、『人間は極限状態に追い込まれると利己的な本性が出る』といった思想を持つ。またこの性格ゆえに、金に疎く情に篤い善人を『草食動物以下』『もはや草』と卑下しており、「己の欲よりも他人への情を重んじる人間」がいることを信じようとしない。
一方で、父親の庇護のないところで自分の力で何事かを成し遂げたいという強い願いを持ち、そのために小説の執筆を行っている。小説の取材のために、重債務者や帝愛のしきたりに従わなかったものを相手に「和也プロデュース」と称して生命を賭けたギャンブルを持ちかけている。「和也プロデュース」の結果多くの死人が出ているが、それらは事故死として処理され表ざたにはなっていない。
勝負事にはシビアで、審判側に回った時には公平なジャッジを下す。「17歩」編では、カイジが偽の牌を山に忍ばせて村岡のイカサマを逆手にとったが、「不正バットを試合で使えば反則だが、カイジは偽の牌を使って和了ったわけではない」と野球を例にカイジの和了りを認めさせた。「救出」編では、ゲームの展開が自分の価値観にそぐわなくなると、さまざまな手段で光山・チャン・マリオらに心理的なゆさぶりを仕掛けたが、ゲームの根本的なルールや目標を反故にすることはなかった。
自身がカイジと「ワン・ポーカー」で対決するときも、帝愛の敷地内・帝愛の装置を使用というどんなイカサマでも可能な状況だったにもかかわらず、一切不正をおこなわずカイジとの真剣勝負にのぞんだ。
しかし、後にやはりというか装置には「イカサマ」が仕込まれており、それを発見したカイジは和也の「真剣勝負」が嘘になった事に内心失望しつつも疑心暗鬼の戦いは続く。
闇社会の魔王たる兵藤和尊の息子として生まれ、他人からの阿諛にまみれ、他人の本心のみえない子供時代を送った彼だからこそ、真剣勝負によって相手の本性を見たいという渇望を持つようになったのだと思われる。「救出」編での前述の「もはや草」発言も、取り決められたルールを守らずに仲間内で意思伝達した光山らへの失望からきたものだろう。
とはいえ結局は帝愛頼り・後述の愛よりも剣も踏まえて和也は怪人物でありながらやはり人間として器が小さいところが露見しているともいえる。
最終的にはカイジが勝利し、自身にはこれまで行ってきた所業が走馬灯となってマザー・ソフィの契約履行による制裁が下されようとするが……。
愛よりも剣
劇中劇として登場した和也の小説作品。
あるヤクザの組長の寵愛を受けながらもホストの達也と店の金を持ち逃げした亜里沙が、後に達也とともに捕まり、組長が課す命がけのギャンブルによって達也との愛を試されるという内容。
和也本人曰く、「下らねーラブストーリーと一線を画す」作品らしい。和也編での描写を見る限り文体はケータイ小説並みにくだけており、これを読んだカイジは「文章は稚拙」としている。だが、「和也プロデュース」による”取材”の結果生まれたものだからか、表現や展開には読むものを圧倒する不気味な迫力があるともカイジは感じたようだ。「自費出版ではなく商業的なルートで出版された」と和也が発言していることから見ても、他人に訴えかけるものがあるのは間違いなさそうである。
また、作中の「組長」について、「あれほどセンチメンタルな気分じゃなかったが」との断り付きで和也が自身の分身であることを認めているのだが、「組長」はあばただらけの醜い容姿として描かれている。どちらかといえば、それは和也よりも父親の和尊の容姿の特徴にあてはまり、このことから、和也が父親譲りの自身の相貌に嫌悪を持っているのではないか?と読み取ることも出来る。