鉄人タイガーセブン
マグマ大使やスペクトルマンで知られるピープロダクションが制作した特撮ドラマ。
大ヒットした快傑ライオン丸のように獣の顔を持つヒーローが主役の怪奇アクションドラマとなっている。
・・・・一見するとしごく真っ当なヒーローものに見えるが、本作の特徴は無敵超人ザンボット3、魔法少女まどか☆マギカもかくやと言わんばかりの鬱展開の多さとヒーロー番組を否定しかねないほどの異常なリアルさである。
箇条書きにするだけでも
- 第一話で主人公・滝川剛は敵のムー一族によって殺されてしまい、蘇生のため父から人工心臓を与えられるが、その父もムー原人の首領に殺害されてしまう。
- 滝川とその仲間達はムー一族の危険性を社会に訴えるが相手にされない。場合によっては警察に疑われてしまう。
- 滝川は自分がタイガーセブンであることを隠しているので仲間から不信の目で見られ孤立してしまう。
- ヒーローが運転するバイクが子供を轢いてしまう。
- 少女と心通わせた怪人が裏切り者として少女と手を取り合うように殺される。二人が殺される姿を見た滝川は自分の戦う理由を見失って自暴自棄になり、戦いを投げ出し逃げてしまう。しかも滝川が自暴自棄になって失踪している間に博士など仲間たちが殺されてしまう。
- 最終的に復帰してムー一族を倒すも、人工心臓が寿命を迎えて余命数日となってしまっており、人工心臓を治す手段はないので最後まで滝川の死は回避できず仲間たちに正体を明かし、ヒロインに彼女の愛に応えられないことを詫びた後一礼して皆の前から去っていくところで物語が終わる。ちなみに最終回「今蘇るタイガースパーク」撮影現場は観光名所であった・・・
このように、それまでのヒーロー作品では絶対やらないような設定を盛り込んだ意欲作ではあったが、メイン視聴者の子供達にこんな重い物語が受けようはずもなく半年で終了した。次作の電人ザボーガーではこの点を反省してか一転して爽快な熱血ドラマとしている。
決して成功した作品ではないが、その異様な雰囲気から一部ファンの心を掴んで離さない怪作として語り継がれている。
原因の一因は撮影費低予算によるもの(?)であり低予算をカバーするためストーリーをシリアス路線で徹底したのである。