概要
本作の固定カップリング。アルヴィスは自分の領地で倒れていた記憶喪失の娘ディアドラの保護者となり、やがて同情が愛へと変わって婚約に至ったが、なんと彼女は未婚のまま世を去った王子のご落胤であった。偶然にも王家存亡の危機を救った若き公爵と美しい姫君の仲は老いた国王にもちろん認められ、国の未来はアルヴィスに託された。
……という筋書きによる理想の国家を築くための王家簒奪計画を恙なく完遂し、アルヴィスは事実上の大陸統一を果たした。この時点で大きな誤算があるとすれば、政略結婚の相手で、自分たちが死に追いやった王子の娘であるディアドラをアルヴィスは本気で愛してしまったこと、そして同じ母から生まれた兄妹同士だったことを知らなかったことぐらいであった。
家族やそう思える相手を何度も失いながらも1男1女に恵まれたアルヴィスだったが、ようやく築いた温かな家庭は、我が子に妻の命を奪われる形で打ち砕かれた。筋書きを書き、既に人妻にして母であったディアドラをさらってアルヴィスに宛がった黒幕の思惑通り、息子ユリウスは暗黒神の血を引く種違いの兄と妹の婚姻によってその血を色濃く受け継ぎ、暗黒神として覚醒した。
かつて国中に祝福されたふたりの結婚は、略奪婚・重婚・近親婚と禁忌に禁忌を重ねたものであり、国はおろか大陸に災厄をもたらす結果を生んだ。
世界が再び暗黒神の闇に包まれる中、ユリウスが母殺しに手を染めたように、生き延びた娘のユリアもまた光神の末裔として兄殺しの宿命を背負うことになる。