データ
模式標本の産地(模式産地)はエジプトである事から「ナイル川のワニ」の意でナイルワニと呼ばれる。棲息地はサハラ砂漠と南端部を除いたアフリカ大陸とマダガスカル西部で、エジプトの個体群は1972年に絶滅した後、南部に再導入された個体が棲息する。
全長4~5メートルとワニの中でも大型の種類で、同じクロコダイル属のイリエワニと並んで世界最大とされるワニでもある。主な棲息地は河川や湖だが、河口や入江、マングローブ林などの汽水域にも棲息する。
肉食で魚や鳥などを食べるが、大型個体はシマウマやヌー、ガゼル等の中・大型哺乳類も捕食する。アフリカゾウやカバの成体を襲うことはないが、子供などは捕食することもある。人間や家畜が水を飲みに来て襲われてしまうケースも多い。最も悪名高いのはブルンジのタンガニーカ湖およびルジジ川に棲息する「ギュスターヴ」という個体で、現地人や関係者によると、300人以上がこのワニに捕食されたとされる(否定意見も多い)。
他のワニと同様に環境破壊やワニ皮目当ての乱獲などで生息数は減少したが、多くの国で保護動物とされたことで現在は回復傾向にある。
古代エジプトでのナイルワニ
前述したとおりかつてはエジプトにも棲息しており、古代エジプトの人々は増水時に現れる事から豊穣や永遠を司る神や神の使者として崇め、セベク等の神が誕生した。クロコディロポリスの神殿では貴金属や宝石で装飾され、上等な牛肉とワインで飼育され、死後はミイラとして葬られた。