山口貴由
デビュー作は「サイバー桃太郎」。
主に秋田書店系列の雑誌で作品を連載する。
デビュー前には小池一夫せンせいに師事している。
その師の教えを仰ぎ、「銀座の街を裸の女が駆けていくような」作品を描き続ける異色の漫画家である。
作風
男らしく硬派なキャラクターが主役を務めることが多い。
また、ほとんどの作品でグロテスクな描写が頻出する。わけても臓物(特に腸)に並々ならぬ執着があるらしく、幾度もド派手にピックアップされる。
同様に、男性キャラクターの全裸(またはそれに近い半裸)も頻繁に描かれる。
いわゆる「燃え」漫画の系譜に連なる作品を多く手がけるが、どれも一筋縄ではいかない、非常に癖のあるものがほとんどである。
デビュー後~「蛮勇引力」あたりまでは、シリアスな物語とユニークなキャラクターを織り交ぜた破天荒な作風が特徴だった。
しかし、2003年開始の「シグルイ」では(原作付きということもあってか)シリアス一辺倒の重厚な作風へと変化。だが、救いの無い「シグルイ」の物語を描き切ったことで、精神的に相当なダメージを抱え込んでしまい、「勧善懲悪のヒーローを描けなくなってしまった」という。
そのため、続く「エクゾスカル零」も同スタイルでのスタートとなり、ドライで陰鬱な物語が展開されていったが、同作の中盤あたりから精神的に回復していったのか徐々にギャグ的なノリが見え始める。
そして次ぐ最新作「衛府の七忍」では再び破天荒な勢いを復活させ、初期作風と中期作風のハイブリッド的なスタイルへ変化することとなった。
余談
ネット上ではしばしば「若先生」と呼ばれることがある。
これは「シグルイ」の伊良子清玄の「若先生と呼べ」という台詞にちなむ。
作中の虎眼(先生)・清玄(若先生)という関係が、「シグルイ」における南條範夫氏(原作)と山口氏の関係を彷彿させるためである。
作品
・悟空道
・蛮勇引力
・シグルイ(原作:南條範夫)