概要
長野県に伝わる怪異。山に住んでいるもので、これが通る日は人々は山仕事を休む。
『民間伝承』68号にその詳細が寄稿されている。
信州上伊郡の川島村(辰野町)の奥山で見た人の話では、黒雲に包まれた丸い玉で、下に赤や青のビラビラの紙が下がっている。両手で抱えられないほど大きく、木のうなるような音をたてるとされる。
蓼科山(たてしなやま)でも晴れた日の午後二時に、これと同じものを見た人がいるという。
山の神の日は仕事を休んだり、山に入るのを禁じたりするのは全国的によくある山神信仰であり、このビジンサマも例外ではない。ビジンサマの目撃者はその後無事だったのだろうか。
一応神の類ではあるが、書籍などでは妖怪ものに纏められている。「神寄りの妖怪」ってことだろうか。この記事でもとりあえずは先人たちに習って「妖怪」カテゴリに入れることにする。
創作におけるビジンサマ
水木しげる作品
- 妖怪画
人魂のような形の赤い胴体の中に丸い玉、その下周囲にに御幣のような赤と青のビラビラの紙…というデザイン。
こぐま社発行の絵巻き絵本「妖怪の森」では黒い体に赤い玉で青いビラビラとカラーリングが違う。
やのまんブックス発行の「鬼太郎と行く 妖怪道五十三次」では日坂に登場する。ストーリーでは一反木綿がビジンサマを恐れて姿を隠してしまっている。ここでのカラーリングは赤と黒が複雑に混ざっている胴体で、ビラビラがカラフルになっている。
おかあさんといっしょ
「ようかいしりとり」という楽曲でまさかの歌詞に採用されるという優遇を受ける。
…まあ、歌詞全体を見ても結構マニアックな妖怪が多いのだが。
ちなみにここでの姿は白い雲に包まれた黒い玉で、赤と青のビラビラがついているが、最大の特徴は黒い玉の部分に顔があること。子供向けなので親しみやすい姿になったのは仕方ないか…。