解説
国家等においてその構成員(国民等)の意思を集合して意思決定が行われること。デモクラシー。大日本帝国憲法下では民本主義と称していた(当時の日本は天皇主権が建前であったため、人民主権を含意する可能性がある「民主主義」の語は避けられた)。
古代ギリシャ以来の政治概念であるが、長い歴史の中で発展してきた概念であり、時代や論者によって何を持って民主主義と称するには多様な捉え方がある。実は古代ギリシャの「民主主義」は都市部の「市民」(ギリシャ人のほんの一部)だけの特権であり、女性や田舎の住民には参政権がなかった。
最終的な意思決定の手法として多数決が用いられることが多いため、民主主義即ち多数決と捉えられてしまうことがあるが、近代の民主主義はむしろ少数意見の尊重が肝要とされる。思想・良心の自由、表現の自由、議論の場の提供は民主主義の前提として欠かせないものである。
フランス革命時代において、掲げられた民主主義に大きな影響を与えた思想家ジャン=ジャック・ルソーは、自身の代表的な書籍『社会契約論』において、民主主義的な国民国家の原則を次のように語っている。
「統治者が市民に向かって
『お前の死ぬことが国家の役に立つのだ』
というとき、
市民は死なねばならぬ。」
「なぜなら
この条件によってのみ
彼は今日まで安全に
生きてきたのであり、
また彼の生命はたんに
自然の恵みだけではなく、
国家からの条件付きの
贈物なのだから。」
※市民(citoyen シトワイヤン)=国民
参考:『社会契約論』(岩波文庫)より