概要
荷物を輸送するための鉄道車両。国鉄式記号では「ニ」が割り当てられている。
元は旅客の手荷物を輸送するためにできたため、貨車ではなく客車として扱われる。
無動力の客車だけでなく、電車や気動車も造られた。また、新しく作られたものの他、旅客輸送に使わなくなった旅客車から改造されたものも存在した。日本では鉄道小荷物の扱いを行わなくなってからは専用の荷物車は存在せず、1両で運行できる荷物電車は通常の旅客車に改造されたりしている。
郵便車との合造車も多く、「クモユニ143」や「スユニ50」といった形式も存在した。
荷物輸送
基本的に小包などの個人の(或いは個人宛の)荷物や、新聞や雑誌などの宛先1箇所あたりの輸送量が少ない荷物などを輸送した。
同じく人ではなくものを運ぶ車両に貨車が存在するが、貨車の場合は、基本的に1両毎に1つの行き先が設定されているため、ある駅から別の駅に貨物を輸送する際には、貨車を貸し切るか、或いは発駅と着駅が同じという者同士で相乗りさせるより他はなく、個人で利用するのは大変であった。貨車よりやや小型のコンテナ(5トンコンテナ)もあったがこちらも個人で使い勝手が良いとは言えなかった。
荷物車による荷物輸送は、基本的に個人などに対して鉄道会社が荷物を募集する形態であり、ある程度以上の有人駅であれば取り扱いができたため、日本全国津々浦々で行われた。
特に、幹線道路の整備が充分に進んでいない地域では、小包などのやりとりは鉄道に頼るほか無かった。
構造
荷物車は旅客車を基に製造され、貨車と違って人(掛員)を荷室に乗せて走行できる構造である。
これは、走行中に掛員が車内で積み込まれた荷物を行き先別に仕分けたり、必要な書類を作成する作業などを行うためで、照明、換気設備、暖房といった乗務に必要な設備が備わっている。
窓は客車などとと違って必要最低限である。国鉄の荷物車の窓には内側に鉄格子が備わっているが、これは防犯上の理由もさることながら、荷崩れが起きた時に窓ガラスを割らないためでもあるとか。
パレット荷役
国鉄末期には、大都市間の長距離荷物列車を中心にパレット荷役が用いられるようになった。
これは、駅で行き先別に細かく仕分けを行い、取り扱い数が多い行き先ごとに荷物を纏めてパレット(ロールボックスパレット)と呼ばれた大型の格子状の囲いがついた台車に載せて荷物車に積み込むもので、仕分けと荷役作業の大幅な効率化が図られた。
パレット荷役の場合、車内で作業する必要が無いため、特に事情がある場合を除いて荷室に掛員を乗せない「締切車」として運転された。
これまで使用されていた車両は、床がすのこ状であるためパレットを使用することができず、パレット荷役のために事実上の有蓋貨車であるスニ40形(≒ワキ8000)や、有蓋貨車に乗務員室を追加したような格好のマニ44などが開発された。
主な荷物車
(Pixiv百科事典に項目がある車両優先)
客車
マニ36 マニ60
電車
クモニ83