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概要

スマイルプリキュアにおける妖精の世界。第22話、第24話の舞台。

本作のプリキュアは、メルヘンランドに伝わる伝説の戦士という設定である。

この世界出身の妖精としてキャンディポップ がおり、統治者としてロイヤルクイーンがいる。

世界をバッドエンドにしようと企むバッドエンド王国の襲撃をロイヤルクイーンが皇帝ピエーロを封じることで撃退したが、彼女も力を失い眠っている。その為に統治者が不在となっており、その代わり現在はポップがメルヘンランドを守護している。

プリキュア達はこのロイヤルクイーンを復活させるためキュアデコルを集めている。

世界観

おとぎ話の登場人物を模した妖精が集まっている。

また、おとぎ話に登場するような場所(精霊の泉、竜宮城)や建物(お菓子の家など)やアイテム(玉手箱、魔法のランプ、かぼちゃの馬車など)が存在する。

ただし、魔法のランプがあっても、それで願いが叶うわけではなかったり、桃太郎や長靴をはいた猫など有名なおとぎ話の主人公を模した妖精でも怖がりだったりと、それぞれ本物のおとぎ話のように特別な力を持っているわけではない。

この世界の妖精は「人間が作り出した物語のキャラクター」を「役割」として演じることが要求されている。つまり、本当は臆病でも自分に与えられた役割が勇者なら、人前では勇者らしく振舞うことが要求されるというわけである。

物語のキャラクターがそのまま住んでいるのでなく「演じている」というのは、メルヘンランドの重要な要素の一つである。この王国はいわばテーマパークのようなものなのだ。

ロイヤルクイーンが眠った状態であり、バッドエンド王国が盛り返している状況下では活気がなかったが、バッドエンド王国をプリキュア達が一度倒した後は活気を取り戻したようである。

メルヘンランドの住民は基本怖がりであり、初めて見た人間であるみゆき達(キャンディとポップが連れてきた)を最初は怖がっていたから、ポップやキャンディが説明しても信じてもらえないらしくポップの尻尾の毛でみゆきたちを妖精化させてキャンディと共にメルヘンランドを散歩するもみゆきがくしゃみしたら変身が解けてしまった(例え複数でもその内何人かがくしゃみすると元に戻ってしまう欠点があるからである)。結局キャンディの説明で、みゆき達が伝説の戦士プリキュアで、優しい性格だとわかると心を開く。

妖精たちは異世界などに長距離移動する際に、本に入ることがある。キャンディの場合はみゆきと初対面の際に彼女と互いに顔面キャッチを受けて、ポップの場合は殆どみゆきが顔面キャッチ受けるのがお約束。

ミラクルジュエル

メルヘンランドに伝わる伝説としてミラクルジュエルがあり、「どんな願い事も叶う」という。ただし、その所在は住人達にも知らされていない。

作中ではたまに話題に出る程度で、本筋とはほとんど絡まないという裏設定のような存在であったが・・・?

唐突な真実

※ ここからはネタバレになりますので閲覧は自己責任でお願いします。 ※

このメルヘンランドに関しては、大きいお友達の視聴者さえも気づけなかった意外な真実がいくつか隠されていて、本編の終盤でそれが明かされている。

一つ目の真実は、実はロイヤルクイーンは最初の侵攻を食い止めた際に既に亡くなっていたことである。

クイーンはデコルを集めたところで復活しない。「デコルを集めてクイーンを復活させる」というプリキュアに与えられた使命はフェイクであったのだ。

ロイヤルクイーンの本当の目的は、メルヘンランドの次代のクイーンを誕生させることであった。

メルヘンランドのクイーンは代々、ミラクルジュエルから孵化する。そしてプリキュアのサポート妖精であるキャンディはそのミラクルジュエルの化身であった。

キャンディ自身もそんなことは知らず、自分はクイーンを復活させるためにプリキュアをサポートする妖精だと信じ込んでいた。プリキュアたちはいつもキャンディと一緒にいるので、結果的にキャンディはプリキュアたちに守られていることになる。「キャンディが孵化するまでプリキュアに守ってもらえる」という状況を作り出すことこそがクイーンの目的であった。

なんでプリキュアたちに本当のことを言わなかったかというと、敵の目を欺くためである。プリキュアたちが本気でクイーン復活のためにデコル集めをしていることで、敵もクイーン復活というウソを信じ込んでしまっていたのだ。

より詳細なことについては ロイヤルクイーンの項目を参照。

二つ目の真実は、三幹部の正体はメルヘンランドの妖精で、この世界で酷い差別を受けていた住人であったことである。

彼らは「物語に出てくる悪役」がモデルなため、別に悪い心などもっていなかったが「悪役」という理由だけで、悪として振舞うことが強制され、そして悪役として正義の味方にひどい目にあわされることが宿命づけられていた。その理不尽な世界へ復讐するため、心まで悪に染めてしまったのである。

なお、みゆき達が初めてメルヘンランドを訪れた24話では、悪役がメルヘンランドからいなくなったから、善玉役の妖精ばかりになって、彼らがまともに童話を演じられなくなっているという状況がちゃんと描かれているのだが、みゆき達は誰ひとり違和感に気付くことができなかった。また、童話を演じられない妖精たちの様子はシリアスなものではなくギャグ描写のようにしか描かれなかったので、視聴者側にしてもスマイルプリキュアがもともとギャグが多めの作風もあって、特に気にせずスルーした人がほとんどだったようだ。

これら二つの真実が本編で言及されたのは終盤に入ってからと、歴代でもかなり遅い伏線回収となった。

「物語の役割」を国民に強制し「虐待される悪役」を人工的に作り出しているこの王国は、見方によっては管理国家ラビリンスもびっくりのディストピア社会である。そもそもテーマパークのような「外からやってくる観客」なんて想定していないこの世界で、なぜ住民は絵本のキャラクむターを演じなくてはいけないのだろうか?(観客となりうるみゆきたちはやってきたとき、妖精たちはむしろ想定外のことが起こったとして萎縮してしまっている)

このような社会をロイヤルクイーンがなぜ望んだのかという点についても一考の余地がある。この世界のクイーンはミラクルジュエルによって代替わりする存在なので、むしろクイーンこそが「童話を再現する世界」というメルヘンランドのシステムのメンテナンス役として生み出されたとも考えられる。そうなるとクイーンさえも「決められた役割」に縛られてそれを演じていたということになる。

卵が先か鶏が先かという話になるが、これらのことは終盤のクライマックスに明らかになった事実ということもあり、あまり深く突っ込まないまま物語は終わっている。三幹部たちは最終的には復讐心から解き放たれ元の悪役妖精の姿に戻ったが、平和が戻ったメルヘンランドで彼らがどのように扱われているのかは触れられていない。

しかしこのような事実を放置したままでは、いずれまたメルヘンランドに悲劇が訪れると思うが…。

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