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この地震の本名は平成30年北海道胆振東部地震である。なお、この記事は気象庁が命名する前に作成された記事のため記事タイトルが「胆振地方中東部地震」となっている。
概要
平成30年(2018年)9月6日の午前3時7分頃に北海道の胆振地方中東部を震源として発生した地震。震源の深さは37kmで、マグニチュードは6.7(モーメントマグニチュードで6.6)となっている。最大で北海道の厚真町で震度7を観測し、41人が死亡した。また、少なくとも650人以上がけがをした。震度7の観測は北海道内では史上初である。
地震のメカニズム
今回の地震は東北東-西南西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、内陸地殻内で発生した地震である。余震は最初に発生した震源地から南北方向に広がっている。
周辺には石狩低地東縁断層帯などが分布している。1982年(昭和57年)には内陸地殻内地震の浦河沖地震(Mj 7.1)が発生している。
観測した震度
揺れは北海道全域に広がり、本州の東日本まで到達した。
震度 | 都道府県 | 市町村 |
---|---|---|
7 | 北海道 | 厚真町 |
6強 | 北海道 | 安平町 むかわ町 |
6弱 | 北海道 | 札幌市(東区) 千歳市 日高町 平取町 |
5強 | 北海道 | 札幌市(北区・清田区・白石区・手稲区) 苫小牧市 江別市 三笠市 千歳市 恵庭市 長沼町 新ひだか町 新冠町 |
5弱 | 北海道 | 札幌市(厚別区・豊平区・西区) 函館市 室蘭市 岩見沢市 登別市 伊達市 北広島市 石狩市 新篠津村 南幌町 由仁町 栗山町 白老町 |
※震度4以下は省略
観測した長周期地震動階級
長周期地震動を観測した地域は以下の通りである。
階級 | 地方 | 地域 |
---|---|---|
4 | 北海道 | 石狩地方南部 |
2 | 北海道 | 石狩地方北部・中部 後志地方北部・東部 空知地方南部 上川地方南部 胆振地方中東部 十勝地方中部 |
1 | 北海道 | 渡島地方東部 檜山地方 後志地方西部 空知地方北部・中部 上川地方北部・中部 留萌地方中北部・留萌地方南部 北見地方 胆振地方西部 日高地方東部 根室地方中部 |
東北 | 青森県津軽北部・下北 宮城県北部 |
その後の地震活動
3時7分頃に発生した地震以降、余震と思われる地震活動が続いており、震度5弱を観測する地震も発生している。2018年9月6日の午前6時11分頃に発生したマグニチュード5.4の地震。
震度 | 都道府県 | 市町村 |
---|---|---|
5弱 | 北海道 | 厚真町 むかわ町 |
※震度4以下は省略
2018年10月5日の午前8時58分頃に発生したマグニチュード5.2の地震。北海道胆振東部地震の余震と考えられる。
震度 | 都道府県 | 市町村 |
---|---|---|
5弱 | 北海道 | 厚真町 むかわ町 平取町 |
※震度4以下は省略
「北海道胆振東部地震」の一連の活動は続いており、現在も主に深さ約30~50km付近で、M1~2クラスの地震が発生している。
地震の被害や影響
電気
北海道全域(約295万戸)で大規模な停電が発生した。道内全域停電は1951年の北海道電力創設以来初の出来事である。道内完全復旧には1週間以上かかる。管内のほぼ全域で電力が止まるブラックアウトが起きるのは初めてだという。
この停電の原因は地震を検知したことで火力発電所が運転を停止し、結果需要と供給のバランスが崩れて周波数が安定しなくなり停電となったもの。特に道内の電力需要の半分以上を担う苫東厚真発電所が停止したことが大きく響いた。
政府は計画停電回避のため、20%の節電目標への協力を呼びかけている。北海道電力管内の10日1000台の節電率は、地震発生の前日の今月5日の同じ時間帯と比べて10.8%となっていた。
9月13日と14日は計画停電の予定はなくなり、その後、道内の各発電所の再稼働や本州からの電力融通、苫東厚真発電所の予定よりも早い再稼働決定により、安定した電力を送れるとして現在は道内の節電は解除されている。
停電による被害
停電による被害は農業などにも影響を及ぼした。
- 搾乳ができない農場や保存されている生乳について冷却ができず損失。
- 冷蔵庫に保存されていた栽培きのこについて冷却ができず廃棄する被害。
- ばれいしょでん粉について、でん粉乳(中間生産物)を撹拌できず、固化及び腐敗し、廃棄する被害。
- 市場に既に水揚げされていた魚や、既に解凍していた水産加工原料について、保冷ができずに廃棄する被害。
いずれも順次、再開している。
断水
北海道内の45市町村では一時期、最大で約6万8000戸以上が断水したが、水道管や浄水場の破損によって約5000戸が断水した。
電力の復旧や水道管の復旧等により、10月9日までに全ての地域において断水が解消した。
液状化現象
札幌市清田区を中心に液状化現象が観測され、交通網に打撃を与えている。
一部地域ではマンホールが1m近く迫り出すほどの地盤沈下を引き起こしている。
土砂災害
震源に接する厚真町では、山間部を中心に大規模な土砂崩れが観測され、一帯の山々の斜面が軒並み地滑りを起こして異様な光景を作り出した。
また山に接する町内の住宅地区で、生き埋めの被害が出ている。
農業用水用の厚真ダムでは9月6日、土砂崩れにより水路が埋没していることが確認され、農林水産大臣齋藤健は自衛隊の協力も含め今後の降雨によりダムが溢れることに対する対策を検討していることを語った。
通信状況
NTT東日本は、北海道内にあるおよそ5800台の公衆電話、すべてを無料で使えるようにしている。
交通機関
鉄道
最大で4事業者26路線運転休止となったが、9月7日から徐々に運転を再開した。しかし、現在も1事業者1路線運転休止中である。
事業者名 | 路線名 | 運転休止区間 | 被害状況 |
---|---|---|---|
北海道旅客鉄道 | 日高線 | 苫小牧~鵡川 | 勇払~鵡川 軌道変位 |
勇払~浜厚真 橋梁桁ずれ |
現在、復旧作業中で、12月上旬運転再開する見込みである。
道路
≪高速道路≫
上下線ともに日高道の鵡川IC~日高富川ICで50キロに制限されている(2018年9月11日午後5時00分現在)。
道内各地の一般道では道路の亀裂や路面が変形するなどの被害が相次ぐ。〔NNN〕
地震発生直後、道央道・道東道・札樽道の一部区間で通行止めとなったが、6日17:05までに全て解除された。
バス
8日は停電復旧・安全確認地域から順次運行を再開している。
7日も北海道内の都市間バスで運休継続している。路線バスについては停電復旧地域から順次運転再開予定も、時間等は未定である。
6日は、大規模停電による信号機停止等の状況から、全道で路線バス・都市間バス・空港連絡バスの大多数が運休となった。
航空
国内線の新千歳空港発着便は一部運航をしている。国際線は8日始発から再開。いずれもほぼ通常通り運航している。
<7日>
新千歳空港は国内線は12:00前から一部の便で運航再開した。国際線は終日欠航となった。
<6日>〔国土交通省〕
新千歳空港は震度6弱を観測するも滑走路に異常はなかったが、旅客の安全を確保することができないため、ターミナルビルを終日閉館した。ターミナルビル内において漏スプリンクラーの配管破損による漏水など、施設不具合が発生した。
鉄道及びアクセスバスは運行見合わせとなった。
水運
函館、苫小牧、室蘭などを結ぶ5航路について平常運航している(停電でも非常用発電等で対応)。〔国土交通省〕
避難情報
避難指示と避難勧告等がでている地域は以下の通りである。
都道府県 | 市町村など | |
---|---|---|
避難指示 | 北海道 | 厚真町(8世帯15人) 安平町 (34世帯54人) |
避難勧告 | 北海道 | 安平町(11世帯17人) |
行政
胆振東部消防組合消防本部では、地震後に通信機材が被害を受け、119番通報が受信できない状態となった。警察からの転送や、職員が巡回するなどし被害の把握にあたった。 総務省消防庁では、消防庁長官の求めにより東京消防庁・横浜市消防局・川崎市消防局の緊急消防援助隊(航空小隊)、東北地方各県の防災ヘリ、統合機動部隊が出動、現地で救助活動を実施した。 東京消防庁は、エアハイパーレスキューを派遣した。一方で警視庁は、特殊救助部隊9名と警備犬1頭が出動。
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